第7話 みんなで海へ③
今度はディタがサーブを打つ。
ボールがネットを超えて落下を始める。
「ほいっ、ビート」
ピノがレシーブ。
ネット際のビートにボールを返す。
「はいっ」
ビートがトスを上げる。
「よっし!」
走り込んで思い切りジャンプして打つ。
バシッ!
「甘い!」
ズコットが両手を上げてジャンプし、ピノのアタックを跳ね返した。
そのままピノたちの陣地にボールが着地、2点目を取られた。
「ふっふっふ、なかなかいい球だったよ」
挑発的な笑みを浮かべるズコット。
「もー、ブロックもうまいとかどうすりゃいいのよ」
ピノが尻餅をつきながら言うと、
「ピノちゃんちょっといい? 作戦があるんだけど」
「ん?」
ビートが口の横に手を添えて、ピノの耳元で囁いた。
「あーそれいいかも」
「でしょ?」
ピノの手を引いて立たせるビート。
「ありがと」
「うん、じゃあ作戦通りに」
——3本目
またディタのサーブからスタート。
打ち出されたボールが、相手側コートに向かって放物線を描く。
ピノがボールの落下地点で構える。
「よっと、ビート」
ピノがレシーブ。
ネット際のビートにボールを返す。
「えい」
ビートがトスを上げずにそのまま打った。
「甘い!」
ズコットが反応し、滑り込んで態勢を崩しながらもボールを拾う。
ディタが乱れたボールの落下地点に移動し、トスを上げた。
素早く起き上がり、トスに合わせて走り込んできたズコットが思い切り飛んだ。
すると目の前に巨大な影が。
「!?」
動揺するズコット。
見るとそこには、砂でできたゴーレムの姿が。
ピノとビート二人で協力して補助系魔法の 『お手伝いゴーレム(大きめサイズ)』 を作り出していた。
「どいて!」
アタックを打つズコット。
バシッ!
「わー」
ズコットのアタックを受けて、崩れ去るゴーレムと吹き飛ばされるふたり。
また点を取られた。
「ピー!」
「魔法は反則です!」
エレルがまともに審判の仕事をした。
「ズコットの方が反則でしょ、どちらかといえば……」
「魔法、ダメだったんだ……」
そしてそのままあっという間に負けた。
「はっはっは、私に勝つには100年早かった見たいね」
「あとはランセさんとエレルさんに勝つだけね」
勝ち誇るズコットとディタ。
「なんか悔しい」
「本当にね」
うなだれるピノとビート。
そんなふたりに背を向けて、腕組みしながらランセが言った。
「ふたりの仇は、わたしがとります!」
「ランセちゃん……」
「ランセ……」
ビートとピノの声を背中に受けるランセ。
「ランセちゃん、せっかく話せるようになったのに……、死なないでね」
「ランセ、もしもの時のために聞いておくよ、埋めてほしい場所はある?」
「お前ら、怖いことゆーなよ」
エレルがふたりに突っ込む。
「えー、死にたくないよー」
ランセは二人の言葉を間に受ける。
「バレーボールで死ぬわけねーだろ」
エレルがランセに言う。
2試合目が始まった。
◇
ドン!
「わー」
「ぎゃー」
ランセとエレルは、あっという間に負けた。
「やったね、ディタ!」
「やったわね、ズコットさん!」
ハイタッチしてよろこぶズコットとディタ。
「っていうか今度からズコットはなんかハンデ入れなきゃダメだろ」
「勝てる気がしないもんねー」
冷静なエレルと、負けはしたが、無事生還できた事が嬉しいランセ。
コート際でケーキを立ち食いする、お行儀の悪い勝者たちを眺めていると、声をかけられた。
「あれー、ピノ、アンタたちもきてたんだ」
「あ、お姉ちゃん」
声の先にいたのは3年の生徒会長ベルと首席魔法使いレイ、あと3年生ふたり。
ピノとベルは姉妹だった。
「いやー、どこもコート埋まってんだよね。アンタたち使ってないなら一瞬コート貸してくれない?」
ベルがピノに聞く
「うん、もう私たち終わったからいいよ、ってまって、あの子たちに勝てたら貸してもいいよ」
ズコットたちを指差しながら、思いついたようにピノが言う。
「え? あの子たちと試合すればいいの?」
「うん」
何故か悪い笑みを浮かべるピノ。
「ちょっと、3年生と試合とか無理だよ」
ズコットが焦りを見せた。
「大丈夫だって、ズコットなら余裕よ」
「面白そうだしやってみましょうズコットさん」
何故かディタも説得してくる。
「うーん、まあディタもそう言うなら」
◇
ベル&レイ VS ズコット&ディタ
「よーし、悪いけど勝たせてもらうよー」
「一年生相手に本気にならないでよ、ベル」
余裕の表情の三年生ふたり。
対する一年生ふたりは、緊張の面持ちだった。
「いけーズコットー!」
「ズコットちゃんがんばれー!」
応援するピノとランセ。
「勝てると思う? これ」
「うーん、どうだろ、でも、頑張ってほしい」
初めてビートとふたりで話して緊張気味のエレルと、初めてエレルとふたりで話して緊張気味のビート。
——試合開始。
ドン!
一瞬にして、三年生ふたりの間をボールが通り抜けた。
ズコットのアタックが決まった。
驚きの表情を浮かべるベルとレイ。
「……なるほど、こう言うことね」
「うーん、困ったね」
——2本目。
試合が再開される前、三年生はタイムをとって何かをしていた。
2本目は三年のベルがアタックを打つと見せかけて、フワリとしたボールを打って得点した。
——3本目
ベルがサーブを打った。
ボールが一年生側のコートに入る。
ボールの落下地点でズコットが構える。
「ディタ、いくよ」
ズコットがレシーブを決めた。
「はいっ」
ディタがトスを上げる。




