暗殺されない為に……
勇者に頼るのは良いものの、どう話しかければ良いものか……。
てか、この世には暗殺者なんてものがいるのかよ。世界は広いな。
じゃねぇか。なんで僕が殺されなきゃいけないんだよ。
くそっ、情報量が多過ぎる。僕の高校生活はどうなってしまうんだ。
あ、そうだ。
とりま、自称暗殺者は僕はお前の存在に気づいてるぞ。っ的な牽制で睨みつけてやろう。
『なんでそうなるのよ』
と、思ったけど辞めた。
自称暗殺者が僕の前の席に座った。
背後から刺したろか?
そんな意味を込めて美しい背中を睨みつける。
すると、ビクッと体を強張らせた自称暗殺者。
『さ、殺気!何処から!?』
どうやら僕は、殺気を放つ事が出来るらしい。
『あまりきょろきょろしてはターゲットに疑われてしまう。けれど、このまま放置しておく訳にも……』
もし、僕が心を読めなかったなら、きょろきょろしたくらいで相手を疑う事は無かっただろう。いや、読めていてもその程度では気にならな……くもないな。どうしたんだろう?って心を覗くわ。
『情報によれば今回のターゲットも異能を使うとか。怪しまれては暗殺の確率が落ちてしまうかも知れませんし、ここは一旦気付かなかった事にしておきましょうか』
衝撃の事実。異能持ちは密かに暗殺されるらしい。
くそっ、ここは心が読める女子高生を売って道連れに……
『は?一人で死ね!』
くっ、辛辣過ぎる。語尾に!が付いてたぞ……。
『しかし、私は1番後ろの席を指定していたはずなのですが、どうしてターゲットの前なのでしょうか?』
もしかして、学校がグルなのか?
じゃあ、勇者や心が読める女子高生も……?
いや、態々殺す相手を集める必要はないよなぁ……。
てか、ここを受験したのは自分の意思なわけで……。
まあ、考えても仕方がないか。どうせわかんないし。それに、心を読めばわかるか。
『それにしても、見れば見るほど冴えない顔ね……』
は?
訳のわからないことをほざくのは隣に座る勇者様。
思わず視線を向けると、頬杖をつきながらこちらをガン見していた。
『あ、こっち見た』
あ、こっち見た。じゃぁねぇよ。いつまでこっちを見ているつもりだ。みせもんじゃねぇぞ?あ?このまま睨めっこ始めるぞ?ええのんか?
『ずっと見てくるけど、何か用かしら?』
ええ。その用があります。すごく文句が言いたいです。
『しょうがないわね。私から話し掛けてあげるわ』
「なに?」
「いや。何でもないです」
僕は前を向き直り、自称暗殺者の背中を眺める事にした。




