やっぱりあの爺を黙らせられるお人なだけありますね(震え声)
…いや、まぁ作った飯を奇麗に平らげてくれるのは良いんだけどさ、俺食堂とかシェフとか料理人とかに就職した覚えはないよ?
…美味しい美味しいって言ってくれるんだから、まぁいいけどさ
暫く飲み物を口にしてのんびりしているとレシェルナさんから鏡電話で呼び出しがあった
鏡電話の呼び出し音に周りの生徒会の人たちはびっくりして部屋中を見渡したり警戒したりしたけれども俺とルールウド君は俺の持っている手鏡を覗き込んだ
『ショージちゃん、今いいかしらぁ?って、あらルールウド君もいるのねぇ?』
「はい、一緒に食事をしていたので。」
『仲が良くていいわねぇ。ふふふ。』
レシェルナさんが朗らかに笑うけれども、手鏡だと小さくてちゃんとは見えてないはずなんだよなぁ…と思いつつも俺は手鏡の映像をそのまま大きく見せるため、壁にかかっているまんまになっている大きい姿見の鏡に“移動”させた
繋がっているまま大きい姿見の鏡に魔法の対象を“移行”させればいいだけだから楽なんだけどね、魔力少し使っちゃうんだよねー…
『あら、一気に視界が広がったわね…って、そこに居るのお兄ちゃん?』
「あぁ、レシェルナ、一寸ぶりだね」
『やだ、一寸ぶりって何よ。もう20年よぉ?久しぶりが正しいんじゃない?家に一向に顔を出さないんだから!学園が忙しいっていい訳にならないわよぉ?』
「あはは…(汗)そのうちに帰るよ」
『そのうちって言ってもう20年なんかたったら、とか言い出さない?』
「そ…れはその時にならないとわからないよ」
おお、レシェルナさんに校長先生がたじたじだ
暫く兄妹仲がいいと言う事を見せつけられた
うん、仲が良くて何よりです
暫く雑談していた校長先生とレシェルナさんだったが校長先生が俺に何のようだったのかと尋ねると思いだしたように手を叩いて俺を呼んだ
呼んだっていうか話を逸らしたの、レシェルナさんの方だったんだけどね、なんて思いながらも鏡の前に行った
『ショージちゃんのアイディアのお薬包む、ゼリーが出来たのよ!』
「あ、出来たんですか」
『おばあちゃん頑張ったのよぉ?そのまま飲むゼリーなんて、考えたこともなくって。』
「子供は薬が苦いから飲みたがらないでしょうからね」
『でもこれちゃんとお薬効くのかしら』
「病院の方で検証して貰えばいいんですよ。患者さんに了承を貰って定期的に様子見たりとか」
『あー…そうね、でもまずはあれかしら。』
オブラート(ゼリーバージョン)ができてはしゃいでいるのかレシェルナさんは鏡の方にゼリーが入っている器を映してきた
『これ、位の粘度でいいのかしら』
「あー…そうですね、それ位ならいいとおもいますよ」
『味はプートウ味なのよ』
「色を付けて味が分かりやすくした方がいいと思いますよ」
『色、ねぇ…』
色をゼリーに着けるには薬の邪魔にならないよう気を付けないといけないし味が混ざらない様にしているゼリーの成分と喧嘩しない様にとか色々とあるのだろうか…
難しい、とレシェルナさんの顔に書かれていたから俺はすぐに他の案を伝えることにした
「入れ物に色を付けるだけでもいいですけど」
『あ、そうね、そうしましょ!最初は入れ物にプートウの皮の色を入れて味が分かりやすくしましょ。まぁまだまだ先だけれど、ね。ちゃんと魔族や人に協力して貰って試験しなくっちゃ。病院の人の反応も見なくちゃ!ふふ、ショージちゃん、後でお小遣いも上げるわね。じゃあ私やることがあるから切るわね。』
「はーい。またなんかあったら気軽にどうぞ―」
手を振って電話を切った
鏡電話の通じている無属性の魔法を手鏡に“移し”直してから俺は胸ポケットにしまい込んだら爺がガシっと俺の頭を掴んだ
「いってぇ、なにすんだよくそ爺!はーなーせー!」
「なんだ今のは、わしにもくれ!!」
「やだ!」
俺は爺が頭を放しそうになかったので俺が無理やり土属性の魔法で爺の足元に落とし穴を作ってやった
「む!?」
ボコッと音を立てて爺の立っている所だけ穴が開くが爺の奴…!!
軽々と躱して俺を放り投げて逃げやがった
俺は放り投げられたので魔力を背中に流して羽を出して無事に着地した
「落ちればよかったのに!」
「そうはいくか。がっはっは!」
「ッチ、落ちてくれればそのまま閉じ込められたのに」
「ふぁっふぁっふぁ!残念じゃったのぉ!」
「一遍死ね!くそ爺」
しかし爺はケロッとしたままにやにや笑うだけだった
誰かこの爺を何とか病院に連れて行ってくれ
そしてそのまま閉じ込めとけ!
俺がそう思っているとルールウド君がコホン、と咳払いしてジトリと俺を睨んだ
「…俺悪くないぞ」
「悪いでしょ。」
「ぃて!」
結局ルールウド君にデコピンをされた…いてぇ
額を押さえると校長先生も爺を注意してくれていた
そのまま爺を檻の中に入れちまえ
「ショージ君はレシェルナに何か頼んでいたのかい?」
「子供や年寄りって薬が飲み辛かったり、するからゼリーとかに包んでそのまま飲めたらいいのにって言ったら作ってみるって言ってくれたので」
「あぁ…成程ね」
俺がそういうとコントロル君がゼリータイプのオブラートは子供には便利だよなー、と言ってなんか納得してくれたみたいだった
「ショージ君がアイディアを出した薬ってまだあるのかい」
「あるよ」
「へ~…益々パブリックと仲が良くなりそうだねぇ。これは勝ち目ないなー」
「アルト君達が嫌なら他のチームにもいく気ではいますけどね」
「成程、ショージ君以外を風紀委員に入りたいと思わせればいいのかな」
ひょえぇ…校長先生も恐ろしいぞ
ゴクリ…
ほとんど笑っていないような目でぞくっとしているとカフィーユ君達もぞくっとしたのかブルブルと震えた
恐ろしいな、流石あのくそ爺を諫められるだけはある…
そしてルネア君達は俺の後ろに隠れるようにしつつ、俺を盾にしているかのように校長先生の視線から逃れた
いや俺を盾にしても困るんですがねぇ?!
「校長先生、顔が怖いですよ」
シェンフ君が注意してくれたし、生徒会長さんが苦笑してそれじゃ爺とやってる事大差ないですよと言ってくれたため、やめてくれたけどね
怖かった…
俺は紙を剥して部屋を片付けるとシェンフ君がそれをどうするのかと聞いてきたから剥した状態なら影の中に入れて置けるからそうするつもりだと言っておいた
そして影の中に入れて、炉とか窯とかを全部解除して消した
「そうだ、教頭先生、僕ショージが作ってくれた剣の試し切りがしたいので練習場に行ってもいいですか」
「む、構わんがそれは授業で使ってないか確認してからじゃないといかんからなぁ」
「じゃあ僕のプレイルーム貸そうか?」
「あ、お願いします、シェンフ先輩」
プレイルームとか言うとパッと思い浮かぶのが(―自主規制―)っていうね…
ゴホンゴホン…なんでもないよ、本当だよ?
いい子は大人の人に聞かないでね
決して親とかに聞いちゃだめだぞ(にっこり)
プレイルームって何とルールウド君に聞くと個人でできる一人用の練習場だと応えられた
いわゆる個室で的がある部屋って事だな?
それって周りに迷惑かからないから魔法使いたい放題じゃあないか
「いいなーやってみたい!」
「「駄目!」」
「止めておこう」
何故か、ルールウド君とシェンフ君とテンツァー君が慌てて否定してきた
何となく引っかかる否定の仕方だったので俺は若干心当たりがあるようなない様な今までの練習所での出来事を頭の隅っこになげうっておいて聞いてみた
「…なんで―?」
「ショージはちょっとやり過ぎちゃう所があるから駄目だよ」
ですよねーなんていうのを思いながらもルールウド君が何とか俺に止めさせようとしているのが面白かった
「僕の魔法のプレイルームって部屋のダメージが僕に跳ね返ってくるんだ。的にだけ当たる位ならいいんだけどショージ君の攻撃はちょっと…遠慮して欲しいかな…」
「なんでー」
「身に覚えがあるでしょう?的に向かって鞭振ったら地面抉ったの誰だっけ?」
「俺だけどさぁ…ちぇー。」
ルールウド君に諭されてしまった…ブーブー…
態とじゃ無いやい、あそこまでの物になるとは思ってなかったんだもん!
…まぁ地面ごと抉って的どころか周りの生徒さんたちに迷惑かけたのは謝るけどさ…
まぁ止めてくれと言われたら止めとくしかないけどね
一寸いいなーとか思ったんだけどなぁ
「そんな残念そうにしても駄目だからね」
「へーい。いいよ、俺魔法を思いついたら影の中で練習するもん」
「派手にやりすぎて漏れないようにしてね」
「そこは気を付けているからばっちり大丈夫!」
「…半分くらいは信じるよ」
なんで1/2になったし
全部信じてよ
俺はちゃんと今までやってきた魔法の練習を影の中で試した奴は漏れてないよ?
失礼しちゃうぜ、全く
その後シェンフ君が空属性の魔法でどこでもドアーみたいなピンク色の扉を作り出したのを見てちょこっとテンションが上がったものの、そのままルールウド君がもう一度俺に駄目だからねと念を押した
ブーブー…そんなに羨ましそうに見えたんだろうか…
そしてシェンフ君が出した魔法をコピーすることが可能かどうか分ちゃんに聞いてみたら分ちゃんからは一言無理と返ってきた
無理だそうです、悲しいなぁ
まぁこの魔法は空属性の魔法で俺の不遇属性、というか不適正属性なので仕方ないね
諦めることにしたよ…本当だよ?
ちょっと他の属性の魔法でなんかできないかなとか
似たような魔法出来ないかなとか
思ってないよ(目を反らしつつ…)
ルールウド君が扉を開けて中に入ってしまったら扉が一人でにパタンと閉まってしまった
扉の先、部屋の中で何が起こっているのかはシェンフ君とルールウド君だけが分かるようになっているらしい
そういうものだと言われるとますます欲しくなってくるしやってみたくなってくるんだけど、シェンフ君がもう一度やめてねというので仕方なく本当に諦めた
ブーブー…仕方がない事だとは言え…
ちぇー
まぁいいさ、思いついた魔法は影の中でひっそりと試してからにするからね!
暫くキキョウさんに貰ったフルーツをちまちまと食べて魔力に変えようと思っているとルールウド君が帰ってきた
突然扉が開いて、ルールウド君が怖い顔をしてやってきたから怪我でもしたのかと思った
「そんな顔してどうしたの?怪我した?」
「……ううん、怪我はしてない…」
「?」
なんでそんな顔をしているんだろうかと謎に思っていたら遊技君がはっきり言ってくれた
「じゃあなんでそんな顔しているのさ」
「ショージの作ってくれた短剣、軽く振っただけなのに遠距離攻撃しちゃって的が壊れちゃったんだ。的に当ててなかったのに…」
「あぁ…思っていたよりもオーバースペックだったって事か」
「まだ魔力を通してない段階で、降っただけなのに切れたらオーバーだと思わない?」
「……………うわぁ……さすがは昇次さん…」
何が流石、なのかはわからないけどそれでなんで怒った顔をしてるんだろうか
だって作ったのは俺だけども、材料自体が特殊だしあの巨大なカマキリの鎌の部分を使った物だよ?短剣に加工したってそれ位は出来なきゃ可笑しいでしょ
…??なんでそんな顔をされているんだろうか、一向に不思議だ
「なんでそんな不思議そうにしているのショージ…」
「だってそれ今回行った迷宮のカマキリからとった材料で作った物だよ?ただの短剣が出来る訳ないじゃない。なんでその位で驚いて、怒ってるの?」
俺がそういうと爺もうんうんと頷いた
すると生徒会メンバーたちが大きくため息をついた
んー…そんなに、変な事を言ってしまったのだろうかねぇ
【一般的に子供の持つ剣のレベルを超えているから戸惑っている可能性が微レ存。】
【因みに先程作った剣の鑑定結果は以下の通り】
【バガモール製の短剣(闇)(昇次作製 レア度7) 取扱説明書】
【バガモール製の短剣(闇)分析結果;魔法伝導率:秀 材料;剣の部分 スズクリスタル2本、鉄の塊1本、魔石2、3、砕いた魔石2個分、セレージュの木の実1個分、バガモールの鎌足1本、ルルイエの枝1本 柄の部分;頑丈で魔力伝導率の良い物、木の根元の丈夫な物を組み合わせた物、布、鍔、柄共に竜の鱗】
…?レア度高くね?
俺そんなに高く作れないはずなんだけど…材料だって、あ、分かった
柄に使っている、ドラゴンの鱗のせいで高くなっているのかな?
ミーシェちゃんがくれた物だけど使いどころがなくてかたくて加工し辛いから今回思い切ってルールウド君の剣の柄とか鍔に組み込んだものにしたんだよね
【バガモールの鎌自体レア度が高い。】
【バガモールの鎌足;レア度4】
なんだ、俺のせいじゃあない…じゃ…???
あれ、まって?
待って、俺、親方の工房しか言ったことないけどさ、もしかして、もしかしなくとも割と…バガモールの鎌、初心者に扱うの、一般的じゃない…?
【いや、しっかりしたところの大手の工房では初心者向けに下手に加工しないなら成功するため、大手の工房や、ちゃんとしている工房でならバガモールの鎌足を使わせる。下町の酷い工房や酷い大量発注性の工房なんかだと鉄だけだったりするから。あまりまともな材料を使って練習なんかさせない】
ほぉ、そういう事かぁー
うん、俺悪くないよね、カマキリの鎌での練習は親方の工房ではわりと慣れてきた人ようにさせていたけどねー
具体的に言うなら俺や俺と同期の奴らなんかは1年半でカマキリの鎌の加工してたけど
「大丈夫だよ、ルールウド君。俺の教わった親っさんの工房ではカマキリの鎌の加工はね、初心者でも簡単だからさせる事だから!1年も経過して鉄とかに慣れてきたら加工させてるから!」
「あ、そうなの?じゃあ一般的なのかな?」
「うん!分ちゃんが言ってたこと言うとね、しっかりしたところの工房とかでは初心者向けで、下手に加工しない限りで失敗がないからさせるって!で、材料もレア度が4もあるって!俺のせいじゃないぞ!」
俺がそういうと皆固まった
特にルールウド君が、笑顔が引きつって固まった
レア度に驚いたかな?と思っているとテンツァー君が驚きつつももう一度、なんて言ったのかを聞いてきた
「?レア度、カマキリの鎌は4だよって。だ」
「だから!ショージやりすぎなんだってばあ!」
「え、え、ええ?」
ルールウド君はガクッと何故か膝をついて頭を下げて抱えだした
ルールウド君、カーペットは土足だから汚いよ!
一応きれいに見えるしキューリャさんが魔法で日々奇麗にしているだろうけど
俺が慌ててルールウド君に止めるよう言うとぐったりしながらゆらりと立ち上がってハアーッと大きな溜息をついた
そんなに大きなため息をつかれなくてもいいのになぁ
俺が首を傾げているとルールウド君の肩をシェンフ先輩がポンと叩いて うん うんと頷いていた
・・・?なんでそんな反応何だろうねぇ
「ショージ君ちなみに聞いていいかな」
「?はいなんでしょう」
生徒会長さんが俺を呼んだから素直に生徒会長さんの方まで行ってみた
「ショージ君が作った、ルールウド君の剣は闇属性の魔法を纏うとどの位の物が切れるのかな?後レア度はどのくらいの物かな」
「えーとね、ルールウド君に作った剣はレア度が7だって、分ちゃんが言ってたよ。」
「な…な?」
「うん、7。」
なんだか俺がレア度を言っただけでルールウド君が急いで剣を影の中に埋め込むようにしてしまいこんだ
そして問答無用で俺の所まで来て、デコピンを喰らわせてきた
「ぃたい…」
「あまりにもレア度が高くて動揺しちゃったからつい黙ったけど、ショージ、やりすぎ!」
「うー…そのうち穴でも空きそうな気がしてきた」
「大丈夫、そこまでじゃないから。」
「痛いんですけど…」
俺はおでこを押さえて摩ったりして痛みを誤魔化そうとした
しかしルールウド君はお構いなしに俺の練度が高いからと注意することを促してきた
何ゆえに…
いや、ルールウド君の反応を見たらわかりそうなものだけどね
「僕は通常時に使える物を作って欲しかったんだよ、ショージ…こんなに高価値なの持っていたら誰かに盗られちゃうよ」
「なんで?幻影魔法かけてただの剣として使えばいいじゃない」
「……さやから抜いて使う前にばれそうなんだけど…」
「そこは何とか頑張って!」
俺がそういうとデコピンを喰らわせてきた
痛いんですけれども?!
俺が痛みに悶えていると鐘の音が聞こえてきた
あー、今の鐘は何時間目の鐘なんだろうね
【お昼休み終了時の鐘】
アッハイ
授業やらなくていいから一瞬如何だっけー、なんて思ったら分ちゃんが教えてくれたよ
午後ヒマになった俺はどうしようかなー
あ、そうだ!
魔力はエリクシェルで回復しているんだから、またたき草を使った薬を作ろう!
せっかく爺に沢山摘んでいいって言われて摘んだからね!
俺は再び紙を出して部屋中に敷き詰めた
「今度は何する気なんだい、ショージ」
頭を抱えたルールウド君が、そう聞いてきたから俺は抽出作業をしたいといった
テーブルに布を敷き詰めて、またたき草を大量に出した
校長先生が驚き、目を見張る
「結構大量に摘んだんだね」
「うん!だけど抽出すると少なくなるから…」
「そうだね。火はどうするんだい?」
「またたき草の抽出は火を使わないんですよー?今回採った植物の中で加熱するのはセレージュの木の実、位ですかねー。ヒカノ草は刺激の弱いし…」
俺はざるの下にボウルを置きそこにスミレに水を入れて貰ってまたたき草をざる越しに水を付けた
布で軽く汚れをふき取り、今度は水に直接つけて、繊維の細かい布を使って搾り上げた
またたき草の搾りかすとまたたき草の水を分ける
そのまま搾りかすを乳鉢の中に入れておいて、水の方を先に薬にしようと思った
成分の溶けだした水を今度はコーヒーメーカーみたいな物にセットして火を魔法でつけた
コーヒーメーカーみたいな物は薬専用の抽出器で、火を直接フラスコに入れた水に当てて沸騰させた蒸気を使って浄化させたり、成分を抽出させたり色んな事の出来るセットで、中には圧力をかけたりできる機械もある
温度までわかるようになっているし他の薬を混ぜたりできる
またたき草水の沸騰温度は80度で水より早く沸騰するので温度に気を付けつつも他の薬品を…
「んーと」
俺がおいておいたはずの薬品を探してテーブルの上を見ていると清爽君が俺に四角くて小さい小瓶の赤い蓋の薬品を手渡してくれた
「またたき草からとれる、睡眠薬でしょう?スクイーズ液です、どうぞ。」
「ありがとう!」
俺は受け取ってスポイトで一滴スクイーズ液を垂らした
そして色が奇麗な緑色から青色に変化した
そこにさらに栄養回復薬を出して3回に分けて入れながら掻きまわした
「…睡眠薬ではないのですか?スクイーズを入れた後沸騰させ、完成するのでは…」
「睡眠薬とはいってないよ?」
「?何を作っているのです?」
「何って、またたき草の水溶液だよ?抽出液を作るんだ。」
「?」
そんな物を作ってどうするんだと言う顔をされてしまった…
そんな顔をされても便利なんだよ、またたき草の抽出液
俺はさらに今度は水を下にしてビーカーを冷やしながらもまたたき草水を全体的にとろみが出るまでかき回した
段々棒が重たくなってきたので持ち上げてみるとドロリと粘着質な液体になった
小瓶に入れて、コルクを閉めた
小瓶は菱形を縦に引き伸ばしたような形で、底は平たく、ちゃんと立つようになっている
瓶2本分しかならなかったまたたき草抽出液をみるときれいな青色だった
「出来た。」
「それはどんな薬なの?」
「またたき草の抽出液はね、武器に塗って使うと相手が眠る、眠り薬になるんだよ」
「睡眠薬じゃないの」
「これは武器に使うんだよ。」
俺はスミレに言って再び火の精霊と水の精霊を呼んできて貰って再び炉に火をつけて貰った(スミレにはあとで葡萄を寄越せと言われた…)
再び暑い中で鉄を叩いて、短剣を打ち出していく
そして途中で何度か休憩しつつも普通に魔石を含めない、純粋な剣を一本作った
あえて真ん中に筋が空いている剣が出来上がった
「真ん中空いてるよ?」
「これでいいの。」
俺はその真ん中に強化ガラスを入れ込んで、そこにさっき作った睡眠薬を仕込んだ
取り外しができるようになっているので問題ない
そしてそのまま金属に魔術語を書き込めるペンで任意の魔力で中の睡眠薬を剣に巡らせるようにと刻んだ
剣をルールウド君に握って魔力をなじませるためだして貰うとあっという間に剣は強化ガラスのあった部分まで普通の剣みたいな金属のような鈍い色になった
「出来た、どう?これならそこら辺の剣と大して変わらない威力しか出ないと思うよ」
「…う、うん、レア度…ちょっと高いけどね」
ルールウド君がそういうけれども、睡眠薬入りの剣のレア度は5だよ
下がったよ?魔石入れてないし、カマキリの鎌も使ってないから、そんなに高いグレードにならないと思って頑張ったんだけどなぁ?
「これなら、見た目の方もわからないし、普段使い出来るよね?」
「……う、うん、そうだね、ありがとうショージ」
「がんばったよ?」
「う、うん。」
若干ルールウド君は引いているのか、眉が寄ってはいるものの、頷いてくれたと言う事はこれ位ならやはりいいんだと理解した
頑張ったのだからこれはご褒美をくれてもいいよね?
「フルーツちょーだい!」
「さっき食べたでしょ?」
「火の精霊達にお礼したいだけだよ。」
「なんだ、そっちか。はいどうぞ」
ルールウド君はマクスェルさんに言ってフルーツを用意させた
俺が出してあげるとスミレが嫌がるんだもの、仕方ないよね
スミレ、いいよね?俺が直接上げているわけじゃないよ?
『ミャ…仕方にゃいにゃ。ゆるすにゃ!』
スミレの許可も貰ったので俺は水の精霊と火の精霊にお礼を言いつつもルールウド君に(出したのはマクスェルさんだけど)貰ったフルーツを上げた
犬の火の精霊が嬉しそうにパタパタと尻尾を振ってグルグルと俺の周りを回った
水の精霊は同じ犬の姿なのに、きちんとお座りしている…
何だろうか、この差は…
火の精霊は犬の犬種がゴールデンレトリーバーで、水の精霊の方はコーデリアっぽい小型犬に近い姿だ
それぞれ犬の背中に、羽があったり尻尾の先が変化していたりまるまっていたりしてて可愛い
『ショージ?駄目にゃよ?』
何でもないですスミレ様、そんな目で見ないで下さい
浮気はしとりませんよ?本当ですよぉ?
スミレに向けて俺は必死にアピールを心の中だけでしたらスミレはため息とも諦めともつかないような息を漏らしてその場で丸くなった
………なんだかすごく悪い事しているのを見られて戸惑っているのを見て呆れた、というような反応だったんですけど?
まだ何もしてないのに、浮気を疑われた気分だ…
ハァ、にゃおチュール一本だけだったら駄目みたいだな
仕方がない、ネズミのおもちゃを出してやるか
俺は素直にネズミのリモコンのおもちゃを再び出してあげた
スミレは最初こそやはり抵抗をしていたが、本能に邪魔をされたのかすぐさま追いかけっこを始めた
『ニャー!ニャー、にゃ、捕まえたにゃ!』
パシッと音を立てて満足そうに鼻息を荒くして俺に自慢しに来たのかネズミのおもちゃを咥えて俺の所まで来て俺の膝の上で玩具を落とし、ハッとした顔になって顔を拭いだした
『み、ミャーはレディーにゃ!ショージに付き合って遊んであげただけにゃからにゃ!』
お、おう…必死の様子のスミレに俺はついつい、にやにやしてしまう…
するとスミレが俺の肩までするりと登って猫パンチを頬に食らわせてきた
しかしいつもよりは若干、弱めだった
よほど恥ずかしかった、と見たね
『笑うとはニャにごとにゃ!付き合ってあげたにゃの!』
「何にも言ってないよ?」
『いってるにゃ!顔が物語っているにゃ!』
「ふふふ」
『失礼しちゃうにゃ!』
あーあ、とうとうスミレはいじけてスウッと姿を消してどこかへと行ってしまった
多分、ミーシェちゃんの所かな
スミレは単純だからね
「あぁ、スミレちゃんを怒らせちゃったね?ショージ」
「いいの。どうせミーシェちゃんの所に行っているだけだよ。さっきの揶揄ったのが恥ずかしかったみたい。」
「後で謝りなよ?」
「可愛かったけどなぁ、ネズミのおもちゃに夢中になるスミレ。」
俺がそういうと精霊達はくぅん、と一鳴きしてフルーツを食べてからまたねと言ってどこかに行ってしまった
多分家とかに帰っていったんだろう
さて次は何をしようか
炉と冷却水、紙を影の中へと放り込んで奇麗に仕舞ってからどうしようかなーと思っていたらルールウド君は大人しく教科書でも読んでなさいと言いたそうな顔で教本を俺に押し付けてきた
「昇次君、さっきのまたたき草の抽出液は他にどう使うんだい」
「ふぇ?あぁ…薄めて使ってもいいし、そのままルールウド君の剣の中に使ってもいいしって思っているよ?あると便利だもの。もっと欲しい位だよ」
「じゃあもう一回行くか?」
「結構です調子に乗んなじじい」
「…悲しいのぉ…」
ボケの爺がなんか言いだしているけれども俺は何も知らない
苦笑している生徒会メンバーたちと校長先生は何も言わないからいいよね?
ルネア君なんかはおろおろしているけれどもカフィーユ君はなんとなく、俺が嫌がっている理由がわかるのか苦笑いして何も言わない
「ノブレはとことん嫌われているようだね。ショージ君、私はノブレのように強制したりしないよ?生徒会より風紀委員も面白いんじゃないかなと思うのだけど。」
「やり方は主の方がせこいわい…」
「う ん ? 何か言ったかな?」
「……なんもないわい」
校長先生に爺が脅されている…
校長先生、怖い…
ゴクリと思っていると校長先生はにっこり笑った
俺はそのうち検討しますと言って逃げた
校長先生は残念だなー、なんて言ってはいるけど何とも言えない目で俺とか見ているのですが…まるで獲物を見つけた猛獣か何かの様なんですが…何だろうねぇ、怖いねぇ…
俺、なんで学園に入ってまだ一週間も経っていないのにこんなに命の危機に合わないといけないのだろうか…ハァ…(ぐったり)




