キューリャさんにはやはりバレてた(後が怖いなぁ)
緊張感はある物の、歩き続けていたら、何だか段々眠たくなってきた
ミーシェちゃんもルールウドくんも疲れてるのか、欠伸をしている
「むー・・・」
「眠たい・・・そろそろ、テントでもはろうか」
「そうだね。」
ルールウドくんも大きく口を開けて眠たそうに欠伸をしながら紐をポケットからとりだして四角くなるように地面においた
どうするんだろうかと思って見ていると紐が光って、あっという間に家が出来た
「すげえええ!」
「すごぉーい!」
一気に眠気が引いた
紐だったのに、立った四角くしておいただけなのに、地面にくさびとかテントを張るときに布とかを止める金具類など打っている様子はなかったのに、家がスッとまるでその場に最初から在る下のようにまばたきの間に建設された
ミーシェちゃんも同じだったらしく、二人して目を大きく開けて今建てた建物を見上げていた
ルールウドくんは何も言わず、苦笑しているだけだったけれど行き成り何も無い唯の紐が家になるなんて凄いと思う!
「良いから、中に入って。シャワールームと、ベッドルームしかないけれど」
「「すごーい」」
建物の中に入ると中は広くて一部屋12畳位で6人分スペースがあり、シャワールームはもっと広くて暖かった
これは・・・凄いぞ!俺ここがホテルだと言われてもビジネスホテルと言われてもすぐに豪華なホテルだなと納得するけれどな
適当な部屋に行き荷物を降ろしてからシャワールームに行くとルールウドくんが扉越しにシャワーの使い方が分かるのかと聞いて来たから大丈夫だと返事しておいた
一応それ位聞くまでもないし、何となく試していれば分かるから問題ないのだがルールウドくんとミーシェちゃんは貴族だから一人でシャワーや風呂には入らないのかも知れない
まぁ何度となくこの世界に来てからもシャワーを使っているので平気なんだけれどな・・・?
シャワーを使って持って来た寝間着に着替えて部屋へ行きベッドに横になった
そのまま眠ったら夢の中に入り、ミーシェちゃんが俺より早く寝たのか、雲やら可愛いユニコーンやら鳥やらがいる夢に入った
***************
夢の中でユニコーンに乗っているミーシェちゃんが思い出したようにスミレを探しているのか、キョロキョロと周りを見渡した
残念ながら今スミレはどこにいるのか分からないんだよな
今朝から姿が見えない、というかローエン?って言うところに行ってくれていると思っているくらいだし、違和感なかったな
『所でショージお兄ちゃん、スミレちゃんは~?』
『朝からいなかったんだ。散歩に行っているんじゃないかな?』
『そっかー。少し残念だけど、スミレちゃん猫ちゃんだもんね。気まぐれだ』
ミーシェちゃんは少し残念そうにしたけれど、その次の瞬間俺の方に向きお菓子を出して欲しいと言われた
カップケーキやクッキーを出してあげるとミーシェちゃんがユニコーンにクッキーを上げて一緒に頬張るのを見て少しだけほのぼのした
『そういえば、お兄ちゃんりゅーのたいじゅに本当にお薬あるのー?』
『あるみたいだよ。でも、大樹になる木の実と、その大樹の下になる薬草が欲しいの。』
『りゅーのたいじゅはね~、お父さんの方のおじいちゃんちのお庭にあるんだよー?』
『え?と言うと・・・おじいちゃんってことは・・・龍だったりするの?』
『なのー。お父さんのおじいちゃんちとお母さんの方のおばあちゃんち、近いんだよ』
OH・・・
初めて知ったぜ、ドラゴンパパさんとエルフママさんのご両親のこと・・・
エルフママさんがフロストエルフと言うことは分かっている、が・・・ドラゴンパパさんのご両親さんの事を考えてなかった
え、まって?
これから行く龍の大樹は、ドラゴンパパさんのご実家のお庭にあるんですか?
勝手に庭に入って薬草取って良いのか?
・・・・・・・よし、ドラゴンパパさんのご両親に先に事情を話してから許可を貰ってから獲らせて貰おう
ミーシェちゃんとルールウドくんがいるから、二人に説得して貰えれば何とかなるよね・・・
なると思う・・・うん
『ミーシェ、お爺ちゃん初めて会うの!』
・・・・・そっか、うん
期待できそうにないと言うことが分かったよ
そっかぁ、ミーシェちゃんはお爺ちゃんに会ったことないのかー
ドラゴンパパさんより大きいだろうドラゴンお爺さん・・・どんな龍なんだろう
怖い龍(人)じゃないといいな・・・
『お父さんのお母さんはいるのかな?』
『いるよー?お父さんのお祖母ちゃんはね、お父さんよりでっかいの!絵で見たよ!』
『ほぇー・・・』
あのドラゴンパパさんより大きい・・・ゴクリ・・・
俺は最近ミーシェちゃん達に家族認定して貰ったとは言え・・・他人、しかも異世界人なのだけれど、それでも・・・ころころされない、かな?
うん、今から会うのが凄く不安です
でも今更止めて引き返したりなんかしないけれどね!
ここの次点で引き返すようなら最初から調べている時に止めているからね!
その後雑談しながらお菓子を食べて、朝になるまで夢の中でユニコーンたちと遊んでいた
***********
朝起きると病室じゃないから驚き、一瞬でここはルールウドくんが出してくれた紐から作りだしたテントだった、と思い出した
顔を洗って、着替える・・・
あぁ、なんで俺適当に服を選んでしまったんだろうか、と思わずにいられないくらい変な服だった
レースつき、フリル付きの服で、下のズボンはチュニックみたいなひらひらした物だった
普通のズボンは持って来てなかったOTL・・・
俺、急いで用意してたから服は着れれば良いと思ってて適当にひっつかんだ物だったから・・・ちゃんと選べよ、昨日の俺・・・
ズボンなのにどこか女性用っぽいデザインの、レースやリボンがついている物を履き、無言で上からズボン事すっぽりと隠れるほどのロングコートを着て誤魔化した
ロングコートのボタンをぴちっと全部締めて中が見えないようにした
これで誤魔化せると良いんだが・・・
髪をミーシェちゃんに貰ったリボンで一纏めにして、部屋を出るとミーシェちゃんとルールウドくんがすでに俺を待っていてくれたらしく、二人して俺の方を向いていた
「「おはよう」」
「ショージ」
「ショージお兄ちゃん」
「おはよう、二人とも」
二人のいる部屋に入り、俺は二人の近くの椅子に座りながら挨拶を返した
朝食としてか、朝から部屋のテーブルには、紫色の、肉の塊がのっていた
・・・・・・・・・・ミーシェちゃんとルールウドくん用だ
明らかに食べられるような色をしていない、紫の色をした肉の塊は美味しそう(?)に湯気を出していた
焼いたのかな、と言うか、これは食べ物なのだろうか
美味しそう・・・には、俺には見えないけれど・・・
ミーシェちゃんとルールウドくんは、今にも食べたそうにしているにかかわらず、俺が来るのを待っていてくれたようだ
「「食べても良いかな?!」」
「ど、どうぞ?俺に遠慮して待っていなくても・・・」
ルールウドくんとミーシェちゃんは二人して普段はそこまで似ていないようだったけれど、今だけはそっくりだった
可愛らしいけれど、きっちり俺の分も切り分けてくれた
そして二人とも早々に紫の肉に思い切りかぶりついた
貴族らしくはない物の、口いっぱいに頬張る姿はとても満足そうに見えた
二人して口をモゴモゴとさせながらも両頬に詰め込めるだけ詰め込んで食べている、そんな意外なところが似ている兄妹に、一寸だけ疎外感を味わいながら俺は朝食をどうしようと思っていると、ルールウドくんが思い出したかのように席を立ち慌てて昨日ルールウドくんが選んだ部屋へと行って早々に戻って来た
手にはバスケットを持っているが、何故部屋から持って来たんだ?
そのバスケットを俺の目の前においてくれたルールウドくんがバスケットに掛かっている布をとったので中身を見てみると美味しそうなパンが数個入っていて、更にそのパンとバスケットの少しだけ在る隙間にはサラダと美味しそうな赤いジャムが入っていた
「ジャムまで・・・これ、俺が食べて良いの?」
「だって、僕達それ食べられないよ?君以外に誰が食べるの。」
「ジャムって美味しい?ミーシェも食べて良い?」
「ミーシェは駄目だよ、それはショージの分の朝ご飯だよ。」
「はぁーい」
俺は嬉々としてパンにジャムを塗り、頬張った
んまい!サラダも美味しい!はぐはぐとパンとサラダを口に頬張ったらルールウドくんが微笑ましそうに目を細められた
一寸がっつきすぎてしまったのだろうか・・・恥ずかしいところを見せてしまったな・・・
「所で、これどうしたの?用意しておいたの?」
「え?キューリャが用意してくれたんだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え、怒ってた?」
「ううん、怒ってはいなかったよ?ただ、後で幾つか注意されると思うけどね」
ですよねー!
と言うかキューリャさんどこにいるんだ?
え、今近くにいるのかな、キューリャさん
思わずキョロキョロと見回してみたけれど、キューリャさんは見当たらなかった
どこにいるんだろう・・・全く見えないから分からないけれど、一体・・・どうやってここに?
俺ちゃんと透明になる魔法使って姿消すのを鏡見て確認したし、こっそり上手く準備もして完璧だと思ったのに・・・!
「キューちゃん追いついたの早いね~?」
「そうだね。僕達が今食べているのは全部キューリャが用意してくれた物だよ。後でお礼言わなくちゃいけないね。」
「そーなんだぁ。キューちゃんも一緒におばあちゃんちに来てくれるのかな?」
「このままついてきてくれるなら、そうなるんじゃないかな?」
何故、平然とルールウドくん達はキューリャさんに怒られるかも知れないというのに、お肉にかぶりついていられるんだろうか謎だがサラダはありがたかったので全部平らげた
・・・
・・
・
朝食を終えてから、準備をして家を出るとルールウドくんが家のあった所の地面にしゃがみ込んでピッと黄色い紐を引っ張りだした
すると袋を縛っている紐を引っ張り口を閉めるように、簡単に気軽に手前に引く用に、家が紐に引きつけられ、立ち上がる絵本の絵が仕舞われるように一気に、しかし後かたもなく綺麗に一本の長い紐になった
「「凄ぉぉい!」」
「昨日も聞いたよ」
「「だってその紐凄い!」」
「ふふふ、学園に上がると誰でも買う事が出来るよ」
「本当に?!」
「学園凄いな!」
俺とミーシェちゃんが二人して目を輝かせてルールウドくんのもっている紐を見詰めているとルールウドくんは苦笑を溢した後、気を抜かないように気を付けてと注意してくれた
テント代わりの家の外は、昨日散々歩いた山の中にある森だから危険は危険なのだ
そんなことは分かるけれど先程のことは衝撃的だったのだから仕方ないよ
「さぁて、じゃあいこうか」
「はぁーい!」
「うん」
再び俺達は森の中を只管歩き出した
でも、今でもキューリャさんいるんだろうか
影ながらついてきていると思うと、何だか・・・アレをパッと思い浮かべた
子供の後を、影ながらひっそりとついてきて見守る『はじめてのおつかい』のTV番組
アレ結構好きだったんだよな、俺のお袋が。
子供がかなり小さい年齢での初めてのお使いってはらはらするし、ターゲットの子供の親と一緒になって涙ぐんで番組最後を何度も繰り返し見ていたなぁ・・・
何だろう、少し懐かしい気がした
キューリャさんもそんな感じで見ているのかな
だとしたら何だろう、少しいたたまれない・・・
だって初めてのお使いっていうような年じゃないぞ俺
外見はその通りかも知れないけれど中身はちゃんと大人・・おと・・・
人間の感覚では、大人になっている歳だからな?!
まぁ大人なのに病院を抜け出すとかは会うとかも知れないけれど若気の至りと言うことで・・・等と一寸どころじゃない矛盾した思考をしているとミーシェちゃんに速く歩いて早くお祖母ちゃんの家にいこうよとせかされてしまった
確かに何日かかるか分からないのだから速く歩き出すのに異論はなく、俺はすぐに頷いてトテトテと三歳児の小さな足で歩き出した
ミーシェちゃんも一緒になって歩いている
「それで、アルトくんの様子はどうなんだい?」
「うーん・・・実は手紙では書いてないけれど、あれから一度も会えてないんだ。」
「あれから結構立っているのに、かい?」
「・・・うん。心配だなぁ・・・」
俺がそう言うとルールウドくんとミーシェちゃんが二人して慰めつつ励ましてくれた
だからこそ、これから向かう龍の大樹になるという薬の元になる物を探しに行こうとしているというのだから、落ち込む必要もないんだろうけれどね?
早くとって戻ろう
「アルトお兄さん元気になるように早く薬の元になる物見つけて戻らないとね!」
「そうだね。」
「うん」
暫く道なき道をなんとか歩く
自然のままの山道だから歩き辛いし、足下は草や枝、石や泥、果ては木の根っこなどに覆われていたり邪魔されたりでとても危ない
転びそうになりつつもミーシェちゃんは何とか置いて行かれないように、転がらないようにして木の幹に手をついたりルールウドくんに手を引いて貰ったりしていた
「んー、歩き辛い><」
「だよね。でも上を飛んで言ってしまうと途中でフロストエルフに見つかって攻撃されちゃうし下手するとハーピーや羽根老人に捕まってしまうからね。それに見つかると逃げたり戦闘になったりして道を見失うかもしれないから・・・」
「うん・・・頑張る!頑張って歩くね!」
ミーシェちゃんが頑張ると言ってくれたので俺も頑張ろうと思った
暫く歩いて行くと木の上の方から甲高いキーキーと言う鳴き声が聞こえてきた
ミーシェちゃんはすぐにレイピアを抱えてキョロキョロと周りを見渡しながら不安そうに
「何?この音」
「これは・・・多分、ハネオイビトの鳴き声だ」
ルールウドくんがキーキーと甲高い声を聞いてから急いで茂みに隠れるようにと促したから隠れたら、複数のキーキーという甲高い鳴き声がして羽ばたき音が俺達の頭上のあちこちからしてきた
「ハネオイビトってまだそんなに高く昇ってないよ?!」
「たまに、ハネオイビトは山の麓ぎりぎりまで降りてきて闇馬などの家畜を食料として巣まで持って行こうとするときがあるんだ。恐らく、闇馬を僕達以外の誰かが率いて連れてきてしまったんだよ。」
闇馬ってなんだろうと一瞬思わなくもないが、家畜と言っていたから魔族に馴れるようにした馬だろう・・・闇馬、と言うくらい何だから、馬だろうと納得した
闇馬と言うくらいだから、きっと黒い馬なんだろうな
黒馬って言うとなんだか中二病患者が喜びそうな気がするがまぁ俺も嫌いじゃない
格好いいからな、馬自体可愛いし
そんな事考えて半分現実逃避をしているとキューリャさんが俺の前にパッと突然現れて、なんか、手を頭上にかざしていた
何だと思う暇もなく上から針みたいななにかが雨のように降り注いだ
ズガガガガガと激しく削れるような音がして耳を塞ぎ蹲る
大雨が降ったときのトタン屋根のような音を響かせて何かが降り注ぐ
音が止むまで頭を低くして蹲っていると暫くしてから漸く音と衝撃が止んだので、慌ててルールウドくんとミーシェちゃんが心配してくれた
「ショージ、大丈夫?!」
「ショージお兄ちゃん大丈夫?!」
「な、何とか・・・」
凄い音だったけれど、キューリャさんのおかげで何とか怪我はしていない
・・・まぁキューリャさんが何をして俺を助けてくれたのかは分からないけれどね
「キューちゃんめっけ!」
「早くこの場から逃げた方が良いと思います。ハネオイビトが此方に気付きます」
「「いそごう」」
俺とルールウドくんが慌てて先程いた茂みから離れて走り出すとミーシェちゃんケタケタと笑って楽しんでいる様子だった
子供は暢気だけれど今だけは良いなとか思わない
だって、獲物を見つけたと言わんばかりにキーキー言う鳴き声が俺達の頭上、しかも割と近くをくるくると回っているのが聞こえるからだ
寧ろなんでそんなに暢気になれるんですかミーシェちゃん!
怖くないのか?!と思いながらも走っているとヒュンッと何かが風を切る音がすると同時にトスッとルールウドくんの目の前の木の幹、しかもど真ん中に何かが刺さった
よく見るとそれは、羽根だった
刺さった羽根は青白く光って、刺さったところから木を凍らせ始めた
もし、そんな羽根が俺達に刺さりでもしたら・・・どうなるかなんて考えたくもない
ぞっとして息をのむとルールウドくんが掌に魔力を集めて薄い膜みたいな、布みたいな物を作り出した
そしたら羽根が刺さって凍った木を包むようにそれを巻き付けた
何をするつもりなのだろうか、本当に分からないが、まぁルールウドくんのやることだし無意味になるようなことじゃないのだろう
多分
「なにしてるの?」
「ハネオイビトの羽根から身を護るために必要なんだよ」
そう言ってルールウドくんは木に巻き付けていた黒い布をとると頭から被ってしまった
するとなんと布は唯の黒い布から、凍った木に見えるように擬態した
・・・猫型(げふんげふん・・・の出す、未来道具みたいだなとか思った
なかったっけ、こんなの・・・あったような気がするんだけれどな
ルールウドくんは俺とミーシェちゃんに同じ物を作ってかぶせた
あれ、キューリャさんにはあげないのかと思ったけれど、いつの間にかキューリャさんはいなくなっていた・・・多分ルールウドくんが魔法を使っている時に、自分も見えないように透明になる魔法を使ったんだろう
意外に素早い魔法・・・俺は結構透明になる魔法、使ってもそんなにすぐに透明になれなかったんだよね。なんかこう・・・徐々にじわじわと透明になるような感じになった
うーん、そこは、やっぱり要練習って事なんだろうか
魔法って難しいなと考えていると、ミーシェちゃんに背中を押されて、ルールウドくんには手を引かれてしまった
うん、早く行かないといけないのは分かっているんだけれど、ついうっかり考え事してしまうんだよね
何度かハネオイビトに見つかるんじゃ無いかと思うほどキーキー音や羽ばたく羽音を身近に聞いたり羽を飛ばしているのだろうヒュンヒュンと風を切って飛んでいる音がする
一寸したホラーだよ
命の危機的な感じで
何とか通り過ぎたらしく、後もう一寸で山に登ってお昼になる頃
逃げたり、隠れたりで一寸疲れてきたのだろうか、ミーシェちゃんがへたり込んでしまった
「うー・・・足痛い、疲れたぁ・・・」
「・・・休憩にする?」
「も、もう一寸くらい進んで置いた方が良い気がするけど」
だってまだこの今昇っている山の麓と龍の大樹への中間にあるだろう、フロストエルフの里にすらたどり着いてないのだ
ちょっとだけ、焦る・・・さて、どうするか
でも進んでいないのは本当だし、でも二人の体力的に疲れたんだろうな・・・
ミーシェちゃんは子供だし、ルールウドくんも子供だし・・・
「・・・そうだね、進んでないのは確かだけど・・・じゃぁ少しだけ休んでから行こうよ」
「・・・そうだ、一寸待ってて」
「「?」」
俺はリヤカーを思い描いて、土属性の魔法を使った
掌に魔力を集めて地面からもこもこと土がリヤカーの形に集まっていく
二人が座りやすいように固定された椅子付きのリヤカーが完成!リヤカーと言うより人力車に近いような荷台になったけれど、リヤカー並みの大きさしかないし、引いていくのは人じゃないのでリヤカーと言い張るよ
ついでに、自転車も作り出し、リヤカーと自転車を繋いでおいた
さて問題は
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
|これを三歳の小さい幼い子供の体の俺に動かせるかどうかです!|
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そこまで体力がないのは、俺も同じだし、勿論魔族のミーシェちゃんが疲れているのに俺も疲れていない訳がない・・・
まだ傾斜が緩やかな所なのでぎりぎりこれでも通れるし最初はマウンテンバイクで昇っていこうと思っていたくらいだしと思って魔法を使った訳で・・・
「後ろの・・・荷台?」
「うん、でも歩くよりマシでしょ?のって。自転車こぐから」
「うーん、ショージだって疲れているでしょ?」
「大丈夫!まだいける・・・と、思う」
俺が自転車に乗るとミーシェちゃんは嬉々として荷台にのった
俺はルールウドくんが荷台に乗るのを待っていると眉をひそめながらも乗った
荷台だからあまり乗り心地は良くなるとは思えないが、そこは我慢して貰うしかないな
俺は思いきりペダルをこいだ
だって、だって俺はこの世界では三歳児なんだぞ?!
思い切りこぐのは仕方ないだろ?!
結果どうなったかというと思いの外ぐいっと思い切り踏み込んだ為か、ぐんっと行き成り車が急発進するくらいの勢いで自転車が動き出した
「わ、わ?!」
「ふわ、あ?!」
「な、わぁ!」
ビックリした
転んだ
木の根に引っかかった、とか、石に躓いた、とか、そう言うのでは無くて俺が思いきりこいだ所で対して進まないと思い込んでいたので物凄く早く進んだのが驚いてバランスが崩れて思い切り自転車だけ転けた
二人が乗っているリヤカーは無事で良かった
「・・・あー・・・、ショージ大丈夫?」
「本来ならもっと荷物の重さとか坂道だからとか色々とあって遅いと思ったし、力を入れないといけないと思ってて・・・まさかこんなに勢いが出るとは思ってなかった」
「・・・だ、大丈夫なんだね?」
思い切り、自転車の持ち手におでこをぶつけて、更に地面に転がって手をすりむいた他は、無事だよ・・・うん
服も、膝も、手も、おでこも痛い・・・
と言うか何でこんなにスピード出るんだ?!
「ちょっとびっくりした!でもおもしろーい!もっとやって!」
「一瞬だけれど、馬車並みに早くなかった?!驚いちゃったよ」
「二人は無事で良かったよ・・・自転車と繋いじゃったから、転んだときひっくり返ってたら大変だし・・・」
「僕とミーシェは大丈夫だったよ」
「そ、そうみたいだね。よかった。」
二人が無事みたいなので一安心しながらも俺は自転車を起こしてリヤカーと繋いでる部分も平気か確かめてから、今度は慎重に、かつわりとそこそこ力を入れてペダルをこいだ
勢いよくこいだ訳じゃないからそこそこ安定した早さで、先程のように急スピードでは無いけれど歩いたり馬に乗るよりもずっと早く走り出した
「わぁ、早い早い!すごーい!」
「ショージって時々面白い事するよね」
「これは流石に私も予想外です」
「キューちゃんを驚かせられるの、ショージお兄ちゃんだけだね」
「・・・そうですね」
いつの間にかキューリャさんが俺の引いているリヤカーの真横に、狼みたいなのにまたがりながら併走していた
何処から呼び出したんだその狼!とか、リヤカーを引いているとは言えそこそこ速い自転車について行けている狼すごい!とかキューリャさん姿消したり現れたり凄いなとか言いたいことは多々あるけれど木を避けつつマウンテンバイクを後ろの荷台のことを考えながらもこいだ
少ししたらルールウドくんが急に止まって欲しいと言ってきたので止まった
「どうしたの?」
「うん、あの・・・ショージには悪いんだけれど、少し気分が・・・」
「大丈夫?ルー兄様」
「うぅ、ゴメン・・・」
初めて荷台なんて乗ったからか、本来人が乗るように出来てないからか、思いの外早かったせいで揺れが気持ち悪くなってしまったのか・・・気分を害してしまったようだ
俺が水を魔法で掌に一杯出して、それをコップに移してから光魔法を付属して差し出すとルールウドくんは少し躊躇した物の受け取って素直に水を飲んでくれた
飲んだ途端顔色が良くなったので少しは魔法が効いてくれたようで安心した
「ショージ様」
「?はい?」
「差し出がましい事を申しあげるようですが、最初から状態回復を錠剤状にした物をイメージして手渡せば良いのでは」
「あ・・・そっか。気分悪くなったら水飲めば回復すると思ってたから、つい」
そうか、そうすれば良かったのかと納得しているとルールウドくんが苦笑しつつもお礼を言ってきたのでルールウドくんの様子を見る
顔色が戻り、更にふらつきもなさそうだから俺は全く意味のないことはしてなかったと思った
「ありがとう、ショージ。大分気分が良くなったよ。」
「今度からは薬の形にして光魔法を渡すね。」
「う、うん(薬を作る魔法とかって結構難しいんだけれど・・・簡単に言ってくれるよ・・・)」
俺は念のためミーシェちゃんに具合は悪くなってないかと聞いてみたが、ミーシェちゃんは笑いながら大丈夫だと言ってきた
ルールウドくんの具合を考慮して少し長めに休んで、その間に昼食をとった
キューリャさんが何処からか食べ物を持って来てくれたので、それを食べて、同じくキューリャさんが出してくれた飲み物で喉を潤し、俺が用意したドライフルーツを摘まみながらの休憩をとった
「ねー、ショージお兄ちゃん今度はミーシェがそれ乗ってみたい!」
「それって・・・自転車に?」
「うん!」
「・・・お薬の材料を獲り終わっておうちに帰ったら、良いよ」
「本当?分かった!」
ミーシェちゃんが嬉しそうにしながらも自転車に興味津々なのを微笑ましく思っていたら、ルールウドくんが羨ましそうにしていたのに気付いた
ルールウドくんも乗ってみたいのかな?だとしたら何だか微笑ましい限りだ
「良かったら、ルールウドくんもその時に乗ってみる?」
「え?あぁえと・・・うん」
少しだけ恥ずかしそうにしつつ、しっかり頷くルールウドくんにやはり乗ってみたかったのかなと思った
そうだよね、ミーシェちゃんが乗ってみたいと言い出したくらいだもの、ルールウドくんだって乗ってみたくなるよね?微笑ましいなぁ
「自転車は色々と種類があるんだけれど、これは山とか足場が悪い状況でも走れる自転車なんだ。前の方に籠があったり、坂道とかに適していたりとか」
「へー、沢山あるの?」
「うん便利だよ。ここを握って、止まるんだ。」
「へぇ・・・馬や馬車より速いしすごいなぁ」
生き物じゃないから燃費も考えなくて良いし、歩いたり走ったりするよりずっと楽だしずっと早いから凄く便利だよね
あとで補助輪着けて乗せてあげようかな
三輪車から初めて上げた方が良い気がするけれどどうしようかな、そんな事を考えながらも再び走り出した
自転車とリヤカーで山のでこぼこした道を走る中、木の種類が違うんだろうか、草木の色や実っている物が変化してきたなと思う頃
ルールウドくんが地図を拡げながらも話しかけてきた
「あ、ショージ、また止まって。」
「ん、なに?具合悪くなった?」
「ううん。もう少ししたら、フロストエルフの里に近くなる。そろそろ歩いて行こう」
「あ、歩くんだね?じゃ、魔法解除するよ?」
「うん。」
俺は二人が降りたのを見届けてから魔法を解除した
すると忽ちリヤカーとマウンテンバイクは土の端くれにと変化して崩れて消えた
跡形もなく崩れて、フッと消えた自転車に驚くミーシェちゃんは先程まで乗っていたであろう物がなくなっている場所を見て凄い凄いと言ってはしゃいでいた
可愛い
俺は持って来たシーツ製の仮風呂敷の中から魔力回復薬をとりだして飲んだ
簡略化のステータスで、もう少し魔法を2、3回派手に魔法を使ったら貧血に似た目眩が何時起きても可笑しくない状態だったからだけれど、魔力回復薬をとりだしたらルールウドくんに心配されてしまった
「大丈夫?無理しないで良いんだよ?病み上がりなんだからね」
「大丈夫だよ。病み上がりって言っても結構前から元気だったし、歩き回っていたんだから心配要らないよ?念のために飲んだだけだから気にしないで。」
「そっか。それならよかった。」
土属性の魔法を使う時ってそんなに魔力使わないんだよね
実はリヤカーも、自転車もたったの15しか減らなかった
その後食事もお菓子も取ったので、ばっちりその三十ものMPはすっかり回復したのだけれど、水を出したりその水に光魔法を使ってルールウドくんにあげたりしたのでその分がっつり減っていたので魔力回復薬で回復させておいただけだ
目眩にもなってないので今は無事だ
唯一応回復しておいただけだしそんなに心配されること無いと思っていたのだけれど
うーん、アレか、重ねて色々と使いすぎてしまったか
水属性は一応結構普通に使える属性の魔法だったみたいだからって調子に乗ってしまったな・・・少し反省しておこう
俺の顔色もそんなに悪くないと判断したのだろう、ルールウドくんはそれっきり声に出して心配そうにはしなくなったけれど、ミーシェちゃんには不安になったのか休んでおくようにと言われてしまった
うーん、そんなに俺無理しているように見えたのかな(汗)等と考えつつも唯只管に山の中を歩いていると、山深くなってきたなと思えるくらい薄暗くなって、坂道も大分傾斜がきつくなってきた




