狂言
皆様方々、ごきげんよう
本日は待雪くんが活躍する予感がする。
どうやら災難に見舞われるみたいだね。
おや?時間だね
では「狂言」はじまりはじまり。
待雪はてくてくと歩き
足を踏む度に雪がモサモサと
音が弾み楽しいようだ
待雪
「....たのしい」
大人でも1時間かかる場所でも
待雪は30分かからない。
雪を熟知している待雪だから
なのかも知れない
宿屋に着く頃には
待雪は肩に雪が積もり
鼻先が赤く染まっている。
目的地到着!
「宿屋 雪屋コンコン」
和風木造建築の2階建て
ナーガ族の女将さんとリザードマン族の大将
2人が営んでいる。
待雪
「.....お邪魔します」
女将
「待雪ちゃんいらっしゃい」
待雪
「温泉.....来た。」
大将
「待雪ちゃん!らっしゃい」
待雪
「2人とも元気そうで良かった。」
女将
「入っといで、暖かいお鍋つくるからね」
待雪
「.....助かる」
チェックインは何故かしてくれる
私.....出来るのに
_______________
(語り手 待雪)
服を脱いで
タオルを1枚抱えて入った。
人は......いない
ラッキー!
ドアを開けたら
湯気が立ち上がり視界いっぱいに
真白がひろがった。
ほのかに暑く
冷えた身体がすぐあたたまった。
______バシャン
身体を洗って、髪を洗った。
コンディショナーを丁寧に髪に沿ってたら
ふわりと匂いが漂って来た。
待雪
「髪ツヤツヤに。ん?いい匂い」
女将さんが鍋を煮込んでくれてる.....
換気扇から風に匂いが乗って来た
待雪
「豆乳鍋だ。ヤッタ。」
コンコンは
私が小さな時から
お世話になってる大切な場所
元々、
先代村長が立ち上げた宿屋らしい
詳しくは知らないけど。
温泉は好き......癒しだから。
とりあえず一通り終わった。
入る.......
________チャポン。
ふぅぅ。暖かい。
温泉....好き。
ふと考えた。
最近、出会いがたくさん。
おにいちゃんに言われて
鴉を守った。ガムートとやりあった。
鳳仙と依頼した。
ウルフィーナや桜花と出会った。
本当だ。
おにいちゃんに言われた通り
実行したら沢山友達が出来た。
待雪....偉い。
頑張れて偉い。
だから、更に頑張るだけ。
待雪
「いち、に、さん、し、ごー、ろく」
数を数える。
待雪に必要な事だから。
70まで浸かる。
過ぎたらでる。
「よんじゅーさん、よんじゅうし」
ガムート、弱かったな。
でも、またやりたいな。
「ろくじゅういち、ろくじゅうに」
鳳仙。
きちんと話せたかな?
ポカポカ。好き。
早く上がって
鍋......食べる。
______________
わしゃわしゃわしゃわしゃ
髪の毛はタオルに吸わせるイメージで
拭けばいいっておにいちゃん言ってた。
待雪の髪綺麗だね。
って。
だから
髪の毛特別。
女将さんに乾かしてもらいたい
......いいかな?
女将
「待雪ちゃん。お鍋出来たわよ〜」
大将
「あがっておいでー」
待雪
「.....うん。」
女将
「服着た?入っていいかい?」
待雪
「....いい」
女将
「ありがとうね。ほら開けるから、あんたは
あっちいってな!」
大将
「はいよ!お鍋弱火にして面倒みとくわ」
_______ガラガラ
女将が入ってきた。
相変わらずすっぽんぽん
ナーガってみんなこうなんかな?
赤い髪、赤い瞳、八重歯
若くみえる
女将
「待雪ちゃん、また無理してたでしょ?」
ギクッ!
待雪
「なんの....こと?」
女将さんの眼差しが。
とても直視出来ない。
女将
「まぁ探らないわよ。ほら背中向けな!」
待雪
「.....うん」
女将が待雪の髪を掬った。
昔から女将の暖かい手、大将のゴツゴツの手
....好き。
女将
「ほんとにあなたは!待雪ちゃんはさ」
__________________________________________
(説教タイム)
待雪
「ごめんなさい。」
ドライヤー終わるまで怒られた。
気をつける。
女将
「待雪ちゃん、自分の体。理解してる?」
待雪
「....してる。」
女将
「主さんだっけ?うちの待雪ちゃん
返して貰うよ?」
待雪
「おにいちゃんは関係....ない」
女将
「あります!」
待雪
「違う!私の意思!」
初めて女将に大きな声がでた。
自分でもびっくりした。
女将は一瞬、
顔を引き攣らせたけど
すぐ真剣な顔になった。
女将
あなたが倒れたら元も子もないのです!!
待雪ちゃんの意思も大切。そこは尊重してる。
だけど、雪ちゃんも
自身の身体に配慮出来ないなら帰ってきなさい!!
ぐぬぬ
いい返せない。
待雪
「なんで無理してるって決めつけるの」
女将
「怖い顔しても怖くないです!
自分の身体見てみなさい。青あざがたくさん」
ぐうの音もない。
女将
「また戦いに駆り出されたのでしよう?」
待雪
「......」
女将
「戦いは百歩譲っていい。
待雪ちゃん、あなたどうしたいの?」
待雪
「それは...」
女将
「自分の未来を歩く素晴らしいのよ
だけど、自分を大切にしてるってハッキリ
言える?」
待雪
「.....いえ....る。」
女将
「まぁとりあえず、お鍋食べてきな
怒鳴ってすまないねぇ、嫌な気持ちにさせた」
待雪
「.....いい。」
_____________
少しだけモヤモヤ。
鍋美味しい。
_______振り返ってみる。
私はアトラスのはじっこにある小さな村に
産まれた。
でどうだっけ........そっか
確か
5歳くらいまで普通だったんだ。
6歳からか確か持病が出て沢山死にかけたんだ
11歳くらいから身体の成長がストップしたんだ。
熱やゲーがたくさん出て周りの迷惑を掛けて
みんな居なくなったんだ。
うん。うん。
で
死のうって思って吹雪の中、身体を引きづって歩いてたら意識が無くなって
女将さんに拾われた。
居なくなった人達は
「気持ち悪い」「天罰だ」「不幸な病人」
って吐き捨て。言われたっけ......
成長が止まってから
拾われて持病も薄まってた。
だけど、
次は骨や身体の
節々が焼ける痛みがずっとあった。
人間信じられなくなって
話し方が分からなくなった。
痛みが無くなったのは13歳の時。
だったはず。うん。
そしたらみるみる体調良くなって
努力したら身体能力があがった。
血反吐吐くまできたえた。
両親いない待雪は村人からは
災い娘だと言われたから。
見返したくて強くなった。
でも、鍛えてる時
ふと糸が切れた
その頃
17歳だったけ。
「どーでもいい」「村人は待雪より弱い」
だから、女将さん達に無理難題を言って
旅に出たんだ。
そこでおにいちゃんに出会ったんだ。
あ。
鍋無くなっちゃった
悲しみ。
_____ご馳走様でした。
満腹......
女将さんの場所いこう。
そんな事を考えてる時
外から聞こえた
_______ドガーーーン!!
轟音と悲鳴
なに?!
まるで大砲に当てられたみたいな。
あと、煙た臭い。
嫌な予感。
女将
「一体なに?!」
大将
「なんだぁ?」
待雪
「みんな!!!」
やばい、やばい
まだ外には小さな子供もいたはず!!
反響。匂い。空気を割く音
おそらく。
____みんなの悲鳴
私は猛スピードで掛けた
机を飛び越え、柵を飛び越え。
女将
「待雪ちゃん!待ちなさい!」
女将さん、ごめん。
無理
私の身体より。
みんなが大事
お手伝いさんの足元を潜り
出入口!!!
私の眼前に奴がいた。
ドラゴン
白い羽根。頭に浮かぶ王冠模様。
青白い炎。白い尻尾、鋭い牙。
なぜ、此処にいる?
噂だけの存在じゃなかったの?
大きすぎる。
______無に還す者「天使の使徒 白龍」
状況を一瞬でみる!!
雪山が1回の攻撃で焼け野原
村人は恐怖で動けない
コンコンに2人とお手伝いさん数人
少し大変だな。
____ヒュごーっとドラゴンが溜め始めた
圧が凄い
来る!!
待雪
「みんな!!逃げて!!」
怖いな。
だけど、
みんなのがもっと怖いんだ
待雪は素敵なレディだから。
お前は
_____「殺す」
天名槍「羅刹 雪風」
待雪
「雪風。行くよ。」
規格外な炎だな。
おにいちゃんなら、どうするかな。
きっと欲張りさんだから
みんな救うよね
おにいちゃんは言ってた
「私に出来て待雪に出来ない事はないよ」
って!!
私は地面を深々と蹴り抜き加速した。
私は人間
だけど強いよ!!
待雪
「自己紹介がまだだったね。」
異名者にして1(ひとぉ)つ
豪雪の白姫 待雪でぇす!!
青白い火球が1つ放たれた。
生きるよ!待雪は強い!!
私は今まで以上にジャンプした。
一瞬みえた。
ウルフィーナや桜花、女将や大将が
みんなを避難してくれてた。
やっぱりみんな、大好き。
待雪頑張る。
火球が目の前に来た。
まだ、まだ引きつける
ギリギリ、まだまだまだ。
____今!!
柱を蹴り火球を目掛けて雪風を放つ!!
_____ドカーーン!!
爆発した。
けど関係ない。
まるで
火球を合図に開戦したようだった。
壮絶な攻防。
最初はお互い攻撃を許さなかった。
だけど現実は非情だった。
白龍のしっぽ、炎に風圧、腕、爪と
一撃が重い。
流す、受ける、カウンター。
流す、受ける、カウンター。
ははっ、
待雪はね。
強い....から。
女将
「待雪ちゃん!!逃げて!!」
うるさいなぁ。
ぜぇぜぇ。
はぁはぁ。はぁはぁ。
左目に血で見えなくなったな。
......頭割れてたんだ。
女将
「もうやめて!!にげ___」
___ボン!
火球が女将に放たれた。
待雪
「知ってるよ」
______ドカーーン!!
へへ...待雪はね。
強い子だから
煙が晴れてきた
ギリギリ庇えたかな?
女将
「あぁ。待雪ちゃん...待雪ちゃん。」
痛いな熱いなもう。
女将
「待雪ちゃん。あぁ、私がいたから」
なあに?どうしたの?
私は自分の手のひらを見た。
指が3本無くなってた。
少しだけ
しんどいな。
口から血が止まらないな。
うん。左目半分も血で見えないし。
雪風、ごめんね
待雪の力量まだまだ....だったみたい。
白龍がまた溜め始めた
待雪
「女将さん。逃げて。」
次は待雪....庇えない。
女将
「いやよ!!!待雪ちゃん私の背中に!」
優しいなぁ。もう。
待雪
「無理だよ、待雪は血を流し過ぎたから」
女将
「いいから!」
時間ないね。
待雪
「はやく!!!にげてっ!!!!!」
今まで以上に。産まれて一度も出した事ない
声量だったと思う。
女将は悲痛な喘ぎを漏らし逃げた。
うん。それで待雪は嬉しい。
あ、なんか
気持ちがいいな。
分からないけど
体が......
待雪
「....まだやれる」
ガムートとやりあってた時
あの人は弱かったけど
待雪の中で気持ちが昂り、
口角が上がる感じがしてた。
今まさにそれ。
さて本日は物語を締めさせてもらう。
どうだったかな?待雪くんはきちんと
自分の出来ることを振り返り
新たな境地に行くのか。はたまた......
やめておこう。
次回「残響」
諸君達に幸あれ




