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紅頭巾Ⅰ  作者: サッソウ


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11/11

番外編 熊沢さんと河童伝説

熊沢さんが主人公の、番外編です。

 ある日のこと。パンクしたバイクの修理を終えた、スピーキングベア・クマザワこと熊沢さんは、自宅前の川で、魚釣りを始めました。素手なのか釣り竿を使っているのかは、ご想像におまかせします。

 鮭(さけ)を釣る熊沢さん。今日も大漁です。そろそろ引き上げようと、最後に釣ったものが……

「……ん?」

 河童(かっぱ)が釣れました。

「……河童?」

 熊沢さんは、河童を担(かつ)ぎ、鮭がたくさん入ったバケツを持ち、引き上げようとしたとき……、後ろから……いやな視線が……

 振り返ると、川にたくさんの河童が顔を出し、こっちを見ています。……めちゃくちゃ怖い。

 熊沢さんは、家に入ろうと一歩踏み出すと……、またいやな視線が背後から……

 もう一度振り返ると……

「Roooooar(ウロォーーー)!!!」

 すぐ後ろに500を超える河童が!! 恐ろしい、怖すぎます!!

 熊沢さんが少しでも動くと、河童がその数倍動きます、一斉に……。

 熊沢さんは、(これはヤバイ)と思い、覚悟を決め、担いでいる河童を河童たちの方に投げ、一目散に家に駆け込みました。途中、激しく揺れたバケツから鮭が何匹も地面に落ちました。河童は、バケツから飛び出した鮭を拾って、鮭を川に帰します。

 熊沢さんは、河童が入って来ないように、全ての窓と外に通じるドアの鍵を閉めました。

 すると……、窓に河童がへばりつき、真っ暗に……。急いで、電気を点けると、河童がこっちを睨み付けているではありませんか!!

「くわばら、くわばら……」

 しかし、河童は睨み続けています。とっても怖いです……。

 ふと、熊沢さんは気づきました。河童は頭の皿が渇くと干からびてしまうのでは……と。しかし、河童はまだ元気です。

 5時間後……。

 河童はまだまだ元気です。

 なぜなら……

 熊沢さんは、テレビをつけると、

「現在、激しい雷雨が各地を襲っています。ですが、次第にやんでいくでしょう」

 という、天気予報だった……。雷雨により、河童たちはまだ元気なのです。

 そんな状況が長く続いていました。外からあの音が聞こえてきます。熊沢さんはすぐに分かりました。

 冷蔵庫からキュウリを取り出し、玄関の扉を開け、キュウリをいくつも投げました! その間に、玄関から客が入りました。そう、栗鼠山さんです。

「教官! プリーズ ヘルプ ミー!」

 熊沢さんは、栗鼠山さんに助けを求めました。

 しかし、栗鼠山さんはただクルミを割るだけです。

「……そうですか。では、自分でどうにかしてみます」

 熊沢さんは、洗面所に行って、あるものを持ち、ありったけの延長コードを繋ぎ、準備万端です。そのあるものとは……、ドライヤーです。熱風を強にして、河童の頭のお皿に目掛けて風を送ります!! 地味ですが、河童には効果は抜群のはずです!! 雨も小降りになり、熊沢さんが優勢です!! 頑張れ熊沢さん! 僕らの熊沢さん!! 正義は必ず勝つ!! ……正義は勝つって、この場合、どちらが正義になるのでしょうか……。河童は仲間を助け、熊沢さんを倒すため……。熊沢さんは、河童から自分の身を守るため……。

 河童たちは、川に次々と飛び込み、熊沢さんの勝利……と思いましたが、逆でした。さすがにドライヤー1個で500もの河童の皿を渇かすのは無理……。家に戻り、ふりだしへ……。

 熊沢さんは、そのあと数週間は外に出られず、窓から見える風景は一面睨み付ける河童たちでした……。ちなみに、栗鼠山さんは熊沢さんがドライヤーで戦っていた最中に帰宅したらしいです……。

 熊沢さんは、その後、河童たちが長期戦に備えて川に一時退却した時、急いで引っ越しました。現在、熊沢さんは、川から十二分に離れたところに住んでいるそうです。

 河童が釣れても、すぐに帰してあげましょう……。さもなければ、あなたも熊沢さんと同じように……


THE END...

紅頭巾Ⅰは、以上で完結です。

ご覧いただき、ありがとうございました。

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