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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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運、云々

運、云々

妹はファミレス運が悪い。


ファミレスですんなり食事ができることは、ない。


○家族でファミレスに行く。妹にだけ水が来ない。


○家族が食事を終わる。まだ妹のオーダー品はやってこない。


○妹がほうれん草のバター炒めを頼む。青虫がついてくる。


○妹がオニオングラタンスープを頼む。半分凍ったまま出てくる。


○妹がオムレツを頼む。菜箸のかけらが入ってくる。


○妹がコーヒーを頼む。ミルクピッチャーが空のまま出てくる。


エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ……。


妹とファミレスに行くと、さて今日は何が起こるか?とワクワクして待つのだが、最高にウケたのは、妹がアイスティーを頼んだ時のこと。


○妹がアイスティーを頼む。ガムシロップが入ってくる。


妹は冷静に右手を上げて店員を呼ぶと


「アイスティーにガムシロップが入ってるんですけど」


とこれまた冷静に伝える。


店員は怪訝な顔をする。(そりゃアイスティーなんだからガムシロップ入れるでしょうよ?何言ってんの、この客?)と言ってる心の声が丸聞こえだ。


妹がアイスティーのグラスを持ち上げて、店員に見せる。


満々と注がれたアイスティー。たっぷりの氷。その氷たちの真ん中に、ガムシロップのポーションがポツン、と、いる。


ぶは!と店員が吹き出し、慌てて表情を改め頭を下げる。


「すぐにお取替えいたします!」


そう言って次に出てきたアイスティーはこぼれそうなほど満杯。たぶん、サービスなのだろう。


ほうれん草のバター炒めも、オムレツも、オニオングラタンスープも、取り替えてもらった品はすべて量が多く、出来立てほやほやで普通より美味しい。


それを思うと妹の運は、もしかしたら良い運なのかもしれない。


妹は懲りもせず、またファミレスに行くだろう。


いつもどおり、ドリンクバーのエスプレッソマシンのミルク切れに立ち会う。


そして、冷静に、右手をあげる。

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