表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/158

第三章 地方と中央①

 すでに五日たった。風は強くなっているが、雨にたたられることもなく順調に進んでいる。もう数日ほどでレストリウス王国の領内に入ることができるはずである。


 ロウマは手に息を吹きかけた。


 ここ数日、寒さがだいぶ増してきた。まだ十月に入ったばかりだというのに、この寒さである。レストリウス王国にいたころは、まったく無かった事だった。


「寒いの?」


 一緒に騎乗しているナナーが声をかけた。彼女はロウマの前に騎乗していた。ナナーは乗馬の訓練をした事が無かったので、ロウマと一緒に乗ることになった。


 ロウマも喜んで自分の愛馬に騎乗させた。


「寒いさ。こんな気候だからな。お前は寒くないのか?」


「私は大丈夫。これでも寒いのは平気な方だから」


「強いのだな、お前は」


「そんなことないわ。体は丈夫でも心は弱いわ。その点、あなたの方がまだ……」


「やめよう、そんな話」


 二人は馬上で黙った。湿っぽい話は、もうこりごりだった。これからは明るく生きていきたかった。何事にも負けず、まっすぐ前を向いて生きていきたい。


 だが、それはレストリウス王国に帰還して、国王から許されればの話だった。


「ロウマ、手を出して」


 ナナーが言った。


 よく分からなかったが、ロウマはとりあえず冷たくなった手をナナーに差し出した。


 ナナーはロウマの手を握ると、自身の息を吹きかけた。手どころか全身が熱を持ってしまい、ロウマは固まって何も言えなかった。


「もしかして、びっくりした?」


「…………」


「そんな石像のように固くならなくてもいいじゃない。あなたの手が冷たいのだから、これぐらいしてもいいでしょう」


 ナナーがねだるような目で見つめてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ