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方城時雨の奇妙でイカれた学園生活  作者: 水面出
序章 -始まるは、日常-
39/46

ep36 うすしお味と黒い悪魔

〈癒乃〉「……遅くなって、ごめんなさい」


〈薊〉「第36話なのじゃ!」


〈水無月〉「それじゃ、始まるわよ♪」

「へえ~、千里君って三組の学級代表なんだ~! すごいね~!」

「おうよ。まあ、ほとんど押し付けられたようなモンだけどな! なっはっは!」


 感嘆したように言う出雲に、千里はポテトチップスの袋をごみ袋に入れながら大声で笑い飛ばす。その時、まだ中に少しだけ残っていたポテトチップスが周りに飛び散った。ちなみに、見たところ味はコンソメ味だ。


「俺と同じだな」

「おお、相棒もそうなのか! そりゃ奇遇だな!」


 再びなっはっは! という快活な笑い声を響かせ、そのまま俺の背中をばんばんと叩く。中々に整っている顔に浮かんでいるその笑顔は、なんとも心の底から楽しそうなものだ。何がそんなに面白いのか知らないが、結構痛いから叩くのは正直やめて欲しいと思う。

 そんな千里に釣られるように、隣にいる出雲も楽しそうに顔を綻ばせながら笑い声をあげる。いやホント、なんか随分と打ち解けていらっしゃる。


「ちょっとあんた達、口ばっか動かしてないで手を動かしなさいよ! 殴るわよ!」


 そこに、オレンジジュースの空き缶をゴミ袋に放り投げるように捨てている杏奈の怒号にも似た声が響く。というかまんま怒号だ。こちらはかなり不機嫌でいらっしゃる。

 それもまあ無理もない話だ。

 俺たちは現在絶賛片付け手伝い中なのだ。もしかしたら、手伝いという言葉にも語弊があるかもしれない。一応、色々謎多きロリっ娘理事長の手伝いという名目で俺ら楽園部+αはここ理事長室にいる訳だが、当の理事長の行動がどうもおかしい。

 ゴロゴロ。そう、理事長室によくあるような大きなソファーに寝そべって、オレンジジュース片手にポテトチップス(のり塩味)をぽりぽりと食べながらゴロゴロとくつろいでいるのだ。だらけていると言ってもいいかもしれない。自分で好き勝手にやってゴミだのDVDのケースだの散々汚しまくったこの部屋の掃除を生徒たちに任せ、汚した本人はその間ぐうぐうたらたらとしているのだ。

 一言述べよう。すげえ頭に来る。

 この状況にあって、最もまともな反応をしているのは他でもない杏奈だ。出雲と千里は談笑しながらゴミを拾っているし、水無月先輩と暦先輩は雑談混じりに床を箒で掃いている。癒乃に至ってはたまにお菓子の残りカスをつまみ食いしながら、黙々と雑巾がけを行っている始末だ。

 理事長ガキに使われているというこの状況で何故こいつらはこんなにもマイペースでいられるのか大分疑問に思う。


「どしたの時雨? 難しい顔しちゃって。考え事?」


 思案を張り巡らしている俺に出雲が疑問顔でそう尋ねてくる。


「いやな、よくお前ら文句一つ言わずにやってるな、って」

「何を?」


 言うと、きょとんと不思議そうに首を傾げる出雲。それも分からないとは、真性のバカなのか、それともボランティア精神が顕著なのか。どちらでもいいが、おそらく前者だろう。

 そんなバカに、俺はめんどくさいと思いつつも答える。


「掃除の手伝いだよ。ってか手伝いとか言っておいて、やってんのは俺たちだけで理事長は何もやってねえじゃねえか。杏奈みたいになるのが普通じゃね?」

「杏奈ちゃんみたいに?」

「ちょっと! あたしみたいになるってどういう意味よ!」


 不思議そうに首を傾げる出雲だが、今にも噛みついて来そうなほどに殺気だって怒号を飛ばしてくる杏奈を見て、


「あ、なるほど」

「なに納得してんの!?」


 得心が行ったとばかりにうんうんと頷く出雲に、怒り半分驚き半分といったかなり微妙な顔をしている杏奈。今日もいつも通りだ。こいつらを見ていると色々な意味で楽しい。

 と、そんな風に出雲と杏奈が絶賛繰り広げ中な見事な漫才を見てしみじみとしていると、隣にいる千里が不意に肘で俺を小突いてきた。


「なあ相棒。聞きたいことがあんだけどさ、一体誰が本命なんだ?」


 周りには聞こえないような小声で、千里はにやにやと面白いものを見るような笑みを浮かべながらそう尋ねてくる。対し俺は質問の意図と意味が分からないので「どういう事だ?」と疑問の視線を送ってみる。


「おいおい、とぼけるなんて感心しないぜ相棒? ここにいる女の子の中で誰が一番か、ってことだよ」

「……お前な」


 思わず深めのため息を吐いてしまう。


「何を聞いてきたかと思えば……アホかお前は。何でそんなどうでもいいようなことを聞くんだよ」


 若干疲れたように、言葉に呆れた雰囲気を纏わせて答えると、千里は心外そうに顔をしかめて、


「アホはお前だ!」


 バシン! と小気味よい音と共に頭に衝撃が走る。遅れて、じんじんと鈍い痛みが頭に響いてきた。

 はっきり言おう。痛い。

 何だこの野郎は。いきなり、しかも結構強い力で叩いてきやがって。俺が何をしたと? 何か気に障るようなことを言った覚えはこれっぽっちもないんですけど。というかたとえあったとしてもそれがこのアホ野郎に頭ぶっ叩かれる理由にはならないと思うんですがね。いやホント訳分からんわ。

 叩かれたばかりの頭の中でそんな風にぼやいていると、そんな俺の思いを無視するかのように、千里は言葉を続けてきた。

 何か熱いものを感じさせる瞳をしながら。


「おいコラ相棒! お前はどんだけ贅沢者だ! どうでもいいだって? もういっぺん俺の目を見て言ってみやがれい! こんな可愛い女の子たちに囲まれて何が『どうでもいい』だ。殴るぞこのヤロウ!」

「いやもう殴ってんだろ」

「シャラップ! 黙らっしゃい! いいか相棒!」


 ズビシっ、と俺の鼻先にくっつきそうなくらいの近さに指を指してくる。

 何だろうか、こいつが今纏ってる空気と似たものをすごく味わったことがあるような気がする。

 そしてこれから凄まじい長さの持論を聞かされそうな予感がした――


「お前は今自分がどれだけ羨ましい環境にいると――」

「喋ってないで掃除しろこのチャラ男がっ!」

「ゴベファっ!?」


 ――が、ただの予感で終わったようである。

 杏奈の鉄拳制裁を脳天から喰らった千里は妙な悲鳴をあげて気を失い、そのままゴミだらけの床に倒れ伏した。

 それにしてもチャラ男か……。あながち間違ってない例えかもしれない。ていうか面白い。


「あらら……、杏奈ちゃん、ちょっとやり過ぎじゃないかな~……」


 若干顔をひきつらせながら苦々しい笑みを浮かべる出雲が、ぴくぴくと痙攣している千里を気の毒そうに見下ろしながら呟く。

 対し杏奈は非常に不機嫌そうに顔をしかめながら溜まっていた鬱憤を吐き捨てるように言葉を返す。


「うっさいわね! こっちはただでさえ理事長ガキに使われてイライラしてるんだから、余計なこと喋ってんじゃないわよ! 殴るわよ!?」

「もう既に一人殴ってるんじゃ……」

「ぁあ?」

「何でもないです……」


 有無を言わせぬ凄みを利かせた修羅あんなの睨みに細やかな反論を潰された出雲は若干涙目になりながらゴミ拾いを続ける。相変わらず怒った杏奈は理不尽極まりない。出雲がすごく可哀想に思えてきてしまうくらいだ。

 というか何で杏奈は理事長のことをあんなに毛嫌いしてるのか。確かに二人の出会いはまさに最悪と言っていいものだったけども、こんなに固執しなくてもいいんじゃないか。

 相手が折れてあげないと子供はいつまでも意地を張ってしまうものですよ?


(……その考え方でいくと、杏奈の精神年齢は理事長と同レベルになるってことなんじゃねえか?)


 そう考えてから、案外そうかもしれないと不思議にも納得してしまった。杏奈に言ったら問答無用でブチのめされそうだ。


「……杏奈、落ち着いて」


 そんな触ったら即爆発マジギレしそうな危険人物あんなに薄汚れたぞうきんを右手、ポテトチップスの袋を左手に持った癒乃がいつもの如く感情性乏しい声で宥めようとする。ポテトチップスを食べれてご満悦なのか、その顔はどこか嬉しそうな色を見せている。


「何よ」


 杏奈は依然変わらぬ不機嫌極まりなさそうな態度でぶっきらぼうに返事をする。そんな杏奈に癒乃は、


「……あげる」

「……何よコレ」


 差し出されたポテトチップスの袋を見て杏奈は眉根を寄せる。


「……ポテトチップス」

「そんな事は分かってるわよっ!」

「……ちなみにうすしお」

「どうでもいいっての!」


 先ほどのものと変わらない怒号を一つ飛ばした後、杏奈ははぁと疲れたような息を吐き近くにあったソファーに体を預けるように腰かける。掃除の影響でソファーに付着した埃が周りに飛び散ったがそれも気にしない。

 どうも癒乃ののうのうとした雰囲気に怒気を削がれたらしい。不機嫌そうに寄せられた眉はそのままだったが、若干乱れていた呼吸は落ち着いたものになっている。やるな癒乃、柔よく剛を制すとはこのことか。……いや、多分違うな。


「あんたはお気楽でいいわね……。なんか見てると怒るのもバカらしくなってくるわ……」

「……それほどでもない」

「別に褒めてないんだけど……」


 照れたように頬をぽりぽりと掻く癒乃を見て杏奈は心底呆れたような表情を浮かべた。どうやら杏奈お得意の皮肉攻撃も癒乃には通じなかったみたいだ。単に意味が分かってないだけだと思うが。


「まあいいんだけど……、それより――」


 ふうと再び息を吐いた後、ソファーから立ち上がってゴミだらけの床に転がっているものを見下ろして、


「――あんたはいつまで寝転がってんのよ! 邪魔だからどきなさいっ!」


 直後、気絶していた千里の腹に杏奈の鋭い蹴りが叩き込まれた。


「ゴベふぁガッ!?」


 再び奇妙な悲鳴をあげ、吹き飛ばされた千里は空いていたソファーにダイブ。手足を力無くだらりと下げ、そのままぐったりとして動かなくなる。

 それを見ていた出雲が「うわぁ……」と若干引き気味になりながらも、同情の視線を千里(だった物)に送っていた。


「……ナイスコントロール」


 一方癒乃の方は人一人を蹴り飛ばしてソファーに乗せるという見事な妙技に対し、称賛とほんの少しの憧れが混じった目で杏奈を見ている。


「…………」


 何も言えない。

 俺は、千里に対し心の中でご愁傷さまとただただ安らかな眠りを祈ることしか出来なかった。



「それにしてもすごい埃の量ね。よくここまで掃除せずに放っておいたもんだわ」


 身の丈程ある長い箒を使って床を掃いている水無月先輩がこれまた呆れたように呟く。

 その言葉の通り、水無月先輩が箒を一掃きするとかなりの量の埃が舞う。そのせいか、ニーソックスにこびり着いた埃を鬱陶しそうに手で払っている。だが、払い落とされた埃が今度は上履きに着く。それも手で払う。余計に埃が舞う。ここからはもうその無限連鎖だ。

 いつまで立っても終わらない埃との格闘にイラつき始めたのか、より強い力でばんばんと埃を払おうとする。

 そんな様子を見て、同じように箒で床を掃いている暦先輩がいつもと変わらぬ口調で水無月先輩に諭すように言う。


「ミナ、どうせ汚れるんですから、いちいち払ってたら切りがないですよ」

「だって汚いじゃない」


 暦先輩の忠告に文句を垂れるように言葉を返す水無月先輩。だが言葉の反面、やはり暦先輩の言う通り無駄だと判断したらしく、手について埃を叩いて落とすとそれっきり再び床を掃き始める。暦先輩もそれに準じて手を動かす。


 相変わらず埃が舞うだけで一向に綺麗になる気配がない。やっている意味があるのかは疑問だ。


「にしても、何で私たちが呼ばれたのかしら。他にも生徒は沢山いるって言うのに」


 不平を抗議するように水無月先輩がぼやくことは、多分楽園部全員が思ってることだと思う。

 理事長室の掃除を生徒に任せるのはまあまだ百歩譲るとして、その役目が何故俺たちのもとに回ってくるのだ。

 と、そこで、ソファーの上でゴロゴロと寝転がっていながらも話だけは聞いていたらしい諸悪の根源理事長が眠たそうに目を擦りながら口を挟んできた。


「ウチはただ菜奈に掃除の手伝いをして欲しいって頼んだたけなのじゃー。お前らを選んだのは菜奈のヤツだから、ウチは知らんのじゃ」


 それだけ言うと元の体勢に戻り再びポテトチップスをぽりぽりと食べ始める。やはり見ていると腹が立ってくる光景だ。

 対し水無月先輩は理事長の言葉を聞いて大して興味も示さず、「ふーん」とどうでも良さそうな声をあけだだけだった。文句一つ言わないのは、空巻先生が決めたことに難癖つけると色々と危ないということを理解しているからだろう。


「ま、頼まれちゃったものは仕方ないわね。さっさと終わらせちゃいましょう」


 そう言って水無月先輩は近くにあった、おそらく掃除の邪魔になるであろう大きめのチェストに手を伸ばしどかそうとする。

 直後、ずらされたチェストの陰からガサリと『なにか』が飛び出てきた。


「――――、」


 その『なにか』を見た水無月先輩が凍りついたように動かなくなる。

 その固まった視線の先にあるのは光を反射してぴかぴかと黒光りする頭。

 不規則なリズムでピクピクと動く長い触角。

 所々に小さなトゲが生えている六本の足。

 全身黒に染められ毒々しい光を放つ、女子の嫌いなモノランキングでは間違いなく上位にランクインするであろう『それ』。


 黒い悪魔ゴキブリがそこにいた。



はい、どうも、水面出です。

投稿遅くなって申し訳ありません。


〈時雨〉「なんか最近謝ってばっかだな」


まあ、私にも色々あるんですよ。


〈時雨〉「自分で言うなボケ」


おお、手厳しい。

では、早速トークタイムいってみましょうか。


〈時雨〉「最初は誰からだ?」


えーと、三月語様の小説、『少年少女の青春模様』の主人公、奏君からです。


〈時雨〉「ああ、あの唐変木の」


お前が言うなや。

それで、トークテーマ……というか質問に近いですね。「今自分の周りにいる異性で『こいつなら彼女にしてもいいかも』ってのは?」だそうです。


〈時雨〉「………………………………………………」


長い! どんだけ考えてんだあんた!


〈時雨〉「いやだってよ、誰も彼もピンと来ねえんだよ。全員面倒くさそうだし」


キミは今数多くの男子を敵にしましたよ。ホントむかつく奴ですね。

敢えて言うならとかにんですか?


〈時雨〉「敢えて? うーん……敢えて、ね……。そうだな、敢えてか。ぬぅ…………」


だから長えよ! 


〈時雨〉「百歩譲って杏奈」


ほう、その理由は?


〈時雨〉「あの中では一番常識がある奴だから」


……なんか微妙な選び方ですね。好みのタイプとかないんですか?


〈時雨〉「考えたことねえ」


つまんねー……。

まあいいでしょう。


次のテーマ行きますんで、時雨は一旦退室してくださいな。


〈時雨〉「へいへい」



退出中



はい、退出完了しました。


それではゲスト達を呼びましょうか。


〈出雲〉「こんにちは!」


〈杏奈〉「いい加減ここに来るのが飽きたわ……」


〈癒乃〉「……贅沢言わない」


〈水無月〉「今回も張り切っちゃうわよ♪」


〈暦〉「果たしてミナ出番はあるのでしょうか」


えー、楽園部女子部員の皆さんですね。

早速ですが、テーマはこちらです。

今度は三月語様本人から、「他の小説の感想にお邪魔したりした時にした質問で愕然とした回答に対する感想」だそうです。


〈出雲〉「変わったテーマだね。うーん、私は特にないかな。そんな重要な質問してる訳でもないし」


〈杏奈〉「あたしも無し」


〈水無月〉「私も無いわね」


〈暦〉「右に同じです」


〈癒乃〉「……わたしは、ある」


え? マジですか?


〈癒乃〉「……三月語さんの、『少年少女の青春模様』に出てくる……『天災』華奈多さんへ質問した」


どんな質問を?


〈癒乃〉「……身長と胸を大きくする機械があるか」


〈出雲〉「切実だね……」


それで、どんな答えが返ってきたんですか?


〈癒乃〉「……要約すると、私の体型は遺伝とかが関係してて……それに、太りにくい体質も原因の一つだって……」


ふむふむ、それで?


〈癒乃〉「……それを外からどうにかするなら、人体改造しかないって……」


〈水無月〉「なんだか不穏な感じね……」


〈癒乃〉「……ナノマシンとか、自分の脂肪を使うとか……シリコンとか……。でも……それだと病気になっちゃう可能性もあるって、言われて……ぐすっ……」


なんと……。


〈出雲〉「えーと……」


〈杏奈〉「癒乃……気持ちは痛いほど分かるわ……っ!」


〈水無月〉「だ、大丈夫よ! 癒乃ちゃんかわいいし、それに胸が大きくたって邪魔なだけよ?」


〈暦〉「ミナが言っても全く説得力がないです」


まあ、元気出してくださいな。女の子は胸が全てじゃないですよ。むしろわたしは小さいほうが……


〈杏奈〉「死ね変態」


おおっふ、手厳しい。


それじゃ、次のテーマ行ってみましょう。出雲と水無月さんは一旦退室をお願いします。


〈水無月〉「はいはーい」


〈出雲〉「また後でね!」



退出中



はい完了。

んじゃ、いきますか……の前に、皆さん。自分達の共通点って分かりますか?


〈杏奈〉「は? いきなりなに言ってんの?」


〈暦〉「質問の意味がわかりかねます」


〈癒乃〉「……?」


分からないんですか。じゃあ教えてあげましょう。

ズバリ! あなた達は貧にゅ――


〈杏奈〉「ぁあ?」


〈暦〉「なにか言いましたか?」


〈癒乃〉「……死ぬ?」


いえ、なんでもありません。

ある部分が普通よりちょっと控えめな方たちですよね。


〈杏奈〉「……まだちょっと気に食わないけど、まあいいわ。それで、テーマはなんなの?」


その前に、これをお聞きください。



『身内に自分の真逆の存在がいないアンタ達は幸せだって言いたいのよ・・・!分かる!?身内が背ぇ高くて巨乳で美人で!!それでいっしょに歩いてるアタシなんて・・・アタシなんてぇ・・・!!』



〈杏奈〉「何この壮絶な言葉」


〈暦〉「そこはかとなく親近感を覚えますが……」


〈癒乃〉「……仲間?」


これはですね、同じく三月語様の小説『少年少女の青春模様』に出てくるロロットの言ったセリフです。


〈杏奈〉「ああ、ロロットね……。あの子とはすごく仲良くなれると思うのよね。なぜかしら……」


〈暦〉「で、そのロロットちゃんがどうしたんですか?」


どうしたもなにも、これはあなたたちに向けられた言葉ですよ。


〈癒乃〉「……?」


まあ、詳しく話すと長くなるので要点だけつたえますが、このロロットちゃん、低身長貧乳さんなんですよ。そして彼女には双子の姉のルティアちゃんという子がいるのですが、この子がまたナイスなバディを持ってる訳でして。そうですね……水無月さんとほぼ同じです。


〈暦〉「それはまた……憎々しいですね……」


まあ、ここまで言えば分かりますよね?


〈杏奈〉「ようは、ロロットはルティアにコンプレックスを抱いてる訳ね」


そゆこと。

でまあ、あなたたちにはこの言葉を吐いたロロットに励ましとか送っていただきたいんです。似た境遇なので。


〈杏奈〉「……なんかむかつくけど、まあいいわ。ロロットは私たちの仲間だもの」


〈暦〉「そうですね」


〈癒乃〉「……うん」


〈杏奈〉「それじゃあたしから……。ロロット、確かに身内に真逆の存在は辛いと思うわ! でも諦めないで! 神様は私たちを平等に見てくれているはず! 諦めなければきっと報われる日が来るから!」


〈暦〉「私にはあなたの気持ちがよく分かります。身内とまではいきませんが、幼馴染が私とは対を成す存在……ある部分に劣等感を覚えたのも少なくありません。ですが、それでも私はミナには負けていないと思います。スタイルではミナには負けますが、他の部分では負けていないからです。自身を持って捜してみてください。あなたにもきっとルティアちゃんに勝っているところがある筈です。それを軸に、自分らしさというものを徹底的に磨いていきましょう!」


〈癒乃〉「……上には上がいるように、下には下がいる。わたしはあなたよりも背が低いし胸も小さい。……でも、わたしはくじけない。どんな辛い試練があろうと、私はくじけない。……だから、あなたにも、諦めないで欲しい……頑張れ」


はい、以上ですね。

なんか妙に熱がこもってましたが。


そんじゃ、最後のテーマにいきましょう。控え室にいる人は戻ってきてください。


〈時雨〉「やっとか」


〈出雲〉「待ってたよー」


〈水無月〉「なに話してたのかしら……?」


では最後のテーマ。crisis様からで、「もしも過去にいけるならどんなことをしたいですか?」です。


〈時雨〉「……両親に会ってみてえな。会ったことねえし」


ぬお、珍しく重い……。


〈杏奈〉「なんで会ったことがないのよ?」


それはまだ秘密です。下手するとネタバレですから。


〈出雲〉「私は時雨と出会った小学生の時に戻りたいかな? あ……でも、あの頃は辛い思い出もたくさんあるからなー……」


〈杏奈〉「私は……ママにもう一度会いたいわ」


お、重い……。


〈水無月〉「過去、ね……やっぱり『あの時』かしら……」


〈暦〉「『あの時』……ですか。そうですね……あの時を何度やり直したいと思ったか分かりませんもの」


重い、重すぎる……なんなんですかこの空気は!


〈癒乃〉「……昔のおいしいものを食べたい」


ああ、良かった! 一人いつもどおりなのがいてくれた!


……どうやら皆さん過去には色々あるようで、これは地雷でしたかね?


まあいいです。重苦しい話はこれでおしまいです!


では今回はここまで。トークテーマをくれた三月語様、crisis様、ありがとうございました!


感想とトークテーマ、いつでも募集しておりますのでどうかよろしくお願いします!


では、次回予告です。



〈次回予告〉

黒い悪魔、ゴキブリのせいで水無月先輩がとんでもないことになった?


しかもそれがさらなる波乱を生んだだと?


……あれが波乱の二文字だけで言い表せれると思ってんのかよ……


次回 暴走と狂騒




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