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方城時雨の奇妙でイカれた学園生活  作者: 水面出
序章 -始まるは、日常-
38/46

ep35 禁断の呼び名と謎の友情

〈時雨〉「第35話」


〈出雲〉「始まるよ!」



 光天寺学園最上階。その最も東に位置する部屋――すなわち理事長室の前に、一年一組の担任、空巻菜奈は立っていた。

 まだ日が昇って間もないこの時間帯。時間で言うと8時くらいだろうか。

 窓から射し込んでくる朝日の光は、昼程ではないにしろ自分の体にしっかりと夏を感じさせた。じっとりと汗ばんでいくにつれ、ぴっちりと着こなしたスーツを緩めたくなる衝動に駆られる。

 しかしそんなことをしては生徒の示しにならない、と周りに言われているので、仕方なく我慢していた。


(まあ……私としては生徒の示しとかはどうでもいいんですけどね)


 とあるきっかけにより教師になったが、初めはあまり乗り気ではなかった。教師などという職業は、自分が最もなりたくないと思っていたものであったからだ。

 誰が好きこのんで生意気なガキ共にモノを教えなければならないのか。そんなことを思っていた。

 しかし、やってみると存外続いてしまうものである。楽しいとまではいかないが、少なくとも良い暇潰しにはなっているだろう。

 もしかしたら、自分に教師は向いているのかもしれない。そう思うことは少なくなかった。だが、それでもやはりストレスは溜まるものである。

 色々と問題のある生徒はいるが、特に目につくのは、方城時雨とその周り。どれもあくの強い生徒ばかりだ。正直あれらを見てると非常に疲れてくる。

 だが、最も面白いと思うのもまた同じだ。延びしろが測れない。鍛えれば鍛えるほど、どんどん延びていく感じがする。あれなら、いずれこの学園を任せられるかもしれない。


(ふふ……、もしかしたら、暇潰しが楽しみに変わるかもしれませんね)


 そう思ったら、自然と顔が綻んだ。そこに、


「菜奈? 何にやにやしてるのじゃ?」

「――――!」


 一瞬、びくりと体が跳ね上がる。見ると、理事長の湖倉薊が理事長室の扉の隙間から、首を傾げながらこちらを見ていた。


「理事長ですか……」

「何で突っ立ってたのじゃ? 入れば良かったのじゃ」


 理事長が至極最もなことを言う。元はと言えば、理事長に呼ばれてここまで来たのだ。そう言われるのも無理はない。


「いえ、少し考え事をしてまして」

「考え事ぉ? 何を考えればあんなにやにやした顔になるのじゃ? なんか不気味だったの――ひぎゃあ!」


 何故か右手が勝手に理事長の頬を引っ張っていた。


「いひゃいいひゃいいひゃい! いひゃいのじゃ! ひゃめるのじゃアホー!」


 頬を引っ張られながらじたばたと手足を動かして暴れる理事長。若干涙目になっているその姿に、自分の中にある嗜虐心がくすぐられ、余計に虐めたくなる。否、虐めていた。


「ひにゃーっ!? いひゃいのじゃ! 両ほっ、ひっひゃるにゃあっ!」


 両頬共つねられている理事長は先ほどよりもさらに激しく手足をばたつかせ、必死に抵抗を試みている。

 もっと弄りたいが、あまりやりすぎると一週間ほど不機嫌になって面倒くさくなるので、このあたりでやめておくことにする。


「すいません。つい引っ張りたくなってしまったもので」

「何が『つい』じゃ! ものすごく悪意のある顔してたのじゃ!」


 子供のくせに無駄なところで鋭いと思った。


「はいはい。後でオレンジジュースあげますから、機嫌を直してください」

「む……っ。それなら、許してやるのじゃ……!」


 本当にガキですね。心の中でそう思ったが口には出さなかった。


「それで、本題ですが……何故私を呼んだのですか?」


 問いかけると、理事長は自慢気に胸を張り、高々と言い放った。


「理事長室が汚くなったから片付けを手伝って欲しいのじゃ!」


 何故こんなに堂々とした態度でいられるのか、心底疑問に思う。


 ***


「3」

「4」

「5……!」

「……出雲、ダウト……」

「うえっ!?」


 癒乃のその宣言に、出雲はビクリと体を震わす。とても分かりやすい反応。誰が見ても出雲が出したカードが5ではないのは明らかだ。


「……見せて」

「ううっ……」


 癒乃の勧告に、泣きそうな顔になりながらも渋々と自らの出したカードをめくる。そこには癒乃の予想通り、5ではなく8の文字が書かれていた。


「うううう……!」


 不満げに唸りながら、場に溜まった十枚ほどのカードを自分の元に寄せる出雲。これで出雲の手札は、三十枚を越えた。

 どれだけ弱いんだこいつ。俺は心の中で半ば呆れ果てていた。

 今日は部活でトランプの中でも結構メジャーなゲーム、『ダウト』をやろうということになった。

 手札から1から順に2、3と宣言しながら、数字の順番に表を伏せてカードを場に出していき、最初に手札を無くした人が勝ちというのが基本ルール。手札を出す際、宣言とは違う数字のカードを出してもいい。例えば、『4』と宣言して『9』を出したりしてもオーケーだ。

 そして、他の人はカードを出す奴が宣言した時、『ダウト』と言うことで出されたカードを確かめることができる。 この時、出されたカードが宣言とは違う数字だったらダウト成功。場に溜まっていたカードは全てダウトされた奴がもらわなくてはいけない。逆に、カードが宣言通りの数字だったらダウトした奴が場のカードをもらわなくてはいけない。

 自分の手札や相手が出したカード、ダウトされて公開されたカードを見ながら、如何にうまくカードを出していくか、ダウトをしていくかで勝敗が決まる、中々頭を使うゲームだ。

 今までの戦績は、水無月先輩が当然の如く一位をとり続けている。まるでカードが全て見えているかのような戦い方だった。

 そして、これまた当然の如く、出雲はビリから一向に抜け出せないでいる。その理由と言うのも、出雲は分かりやす過ぎるからだ。

 宣言とは違うカードを出す時、出雲は必ず緊張した素振りを見せる。そう、必ずだ。そこにダウトをすると、毎回当たる。それで必然的に出雲の手札は多くなり、ビリとなる。

 俺からしてみれば何故こんなに弱いのか疑問に思うところだが、出雲曰く『無意識にそうなってしまう』らしい。哀れな奴だ。色々。

 余談だが、今まで出雲は十四回ビリになっている。ここまでくると逆に清々しいと思えるくらいだ。


「はぁ……何で私は勝てないのかなぁ……?」


 ため息混じりに呟く出雲。それに対して、


「「「弱いから」」」

「ひどっ! ていうか何で皆でぴったり揃えて言うの!?」


 俺たち全員の答えに驚きながらも憤慨する出雲。言っておくが、合わせ練習なんかしてないからな。


「だって、ねえ?」

「ええ、そうですね」

「ミナ先輩もこよみん先輩も分かりきっているような感じでアイコンタクトしないでください!」

「いちいち気にする必要なんてないでしょ。いつものことだし」

「そうだけども! そうだけども杏奈ちゃん、もうちょっと言い方を考えてくれてもいいんじゃないかな!」

「……大丈夫。……強くなれるから……多分、きっと、おそらく……」

「癒乃ちゃん、それ微妙に励ましの言葉になってないから!」


 最早完全にコントになっている。しかも、最近出雲のツッコミがさらに鋭くなっている気がする。これは世界を狙えるかもしれない。


「時雨は時雨でバカなこと考えないでよ!」


 ……心の中のボケにもツッコむとは、……マジで行けるんじゃないかこれは? そんなことを思っている時、スピーカーから聞き慣れている声が流れてきた。


『呼び出しの連絡です。一年一組の方城君、天崎さん、標部さん、魅鳴さん。一年三組の守社かみやしろ君。二年二組の稲波瀬さん、沙良さんは至急理事長室まで来てください』

「……空巻、先生……?」


 放送を聞いてその声の主の名をあげる癒乃。事実その通りで、今の声は俺らの担任空巻先生に違いない。

 だが、何故今のような放送が流れたかは分からない。特に問題とかは起こしていないと思うんだが。ていうか見事に楽園部員が全員入ってたな。それと、一人知らない名前がいた。守社か……。三組らしいが、聞いたことないな。まあどうでもいいんだが。


「何で理事長室なのかしら? 私たち何かしたっけ?」


 首を傾げながら水無月先輩が疑問を口にする。他の皆も同じように疑問の念を顔に浮かべていた。


「まあ、放っておく訳にもいかないですし、とりあえず行きましょうか」


 暦先輩のその言葉に、全員が頷く。空巻先生の呼び出しを無視しようものなら命が危ない。

 呼ばれる理由に心当たりはないが、とりあえず俺たちは理事長に向かうため部室を後にした。


 ***


 理事長室の前に行くと、空巻先生が腕を組みながら立っていた。眉根を大きく寄せているところを見ると、かなりご機嫌斜めなのだろう。まあ、この人は大体いつも不機嫌だが。

 空巻先生以外には誰もいない。守社とかいう奴はまだきていないようだ。

「やっと来ましたか。あとは守社君だけですが……いつになったらくるんでしょうね」


 空巻先生は様子に違わぬ非常に不機嫌そうな声色でそう漏らす。これはまずい。いつもよりさらに不機嫌、というか怒り心頭のようだ。このままだと俺たちにも被害がくるかもしれない。誰だか知らねえが、守社って奴早く来い。


「ところで、私たちは何のために呼ばれたんですか?」


 ここにきて、暦先輩が空巻先生を除くこの場にいる全員が思っていることを口にする。対し、空巻先生はめんどくさそうにため息を吐いた。


「いえ……、理事長の頼み事でしてね」

「理事長? あのクソガキの?」


 理事長という言葉を聞いて杏奈が嫌そうに顔をしかめる。そういえば、杏奈は理事長のことを毛嫌いしていたっけか。


「あたしあのガキの頼みなんか聞きたくないんだけど」

「言っておきますがあなたたちに拒否権はありませんので。悪しからず」

「…………」


 杏奈はまだ文句ありげだったが、流石に空巻先生には逆らえないらしく渋々引き下がった。


「でも、理事長の頼み事って何なんだろうね?」

「……さあ」

「まあ、めんどくさそうなことだけは確かだと思うわね」

「ったく……何がIQ200の天才よ……」

「杏奈ちゃん、そう気を落とさずに」

「いやあ、でも俺は嬉しいぞ! こんなに沢山の美少女に囲まれてんだからな! なっはっはっは!」


 各人思い思いのことを言う。かくいう俺も理事長に使われるのは不本意極まりないが。…………ん?


「それにしても、お前は羨ましいなぁ方城! その歳でこれだけのハーレムをつくるなんて、尊敬に値するってえの!」

「「「…………え?」」」


 楽園部員全員の声が重なり、その視線もただ一人の下――俺たちの真後ろへと向けられる。

 快活そうな雰囲気を纏わすその男。明るい茶色の髪をワックスで所々ツンと立てている。中々に整っているその精悍な顔には、人懐っこい笑みが浮かんでいた。

 誰だ、こいつは?


「おお、見事に全員『誰だこいつは?』って顔してんな! ま、当然だよな!」


 唖然としている俺たちを見て、男はけたけたと面白いものをみた時のように笑う。何だか癪に障る奴だ。


「……何をふざけているのですか。守社君」


 疲れたように息を漏らす空巻先生が男に向けてそう言葉をかける。その男の名前と共に。


「……お前が守社か」

「おう! 守社かみやしろ千里せんりだ! 普通に千里でいいぜ! 間違っても『ちさと』なんて呼ばねえでくれよ!」

「そうか。分かった千里」


 本人がご希望のようなので、普通に千里と呼ばせてもらおう。


「お前のことは知ってるぜ! 文武両道、眉目秀麗の完璧超人。方城時雨だろ! よろしく頼むぜ相棒!」

「俺がいつお前の相棒になった」

「かてえこと言うなって!」


 なっはっはと声をあげて笑いながら、千里は俺の肩をバンバンと叩く。結構痛い。なんかすごく馴れ馴れしい奴だ。まあ別にいいけど。


「ここで会ったのも何かの縁って奴よ! 仲良くやろうぜ!」

「まあ、それは別に構わないけどよ」


 得体は知れないが、とりあえず極悪人って訳じゃなさそうだ。なんとなく俺の勘がそう言ってる。これでも人を見る目はあると思うぞ。多分。

 そんな俺たちの間に、先ほどから全く変わらない、それどころかさらに不機嫌そうにしている空巻先生が口を挟んでくる。


「守社君、無駄話はやめてください」

「は~いはい。ごめんな菜奈ちゃん!」


 ぴしり。空気が凍る音がした。

  俺も、出雲たちも今起きた現象が何なのか分からないという顔。千里は失言してしまったかのように、顔をひきつらせ冷や汗を止めどなく流している。

 こいつ、今空巻先生のことを何て呼んだ? 俺の聞き間違えじゃなければ――


「「「菜奈ちゃん……?」」」


 再び、楽園部員全員の声がぴったりと重なる。たった今、千里が言い放った恐怖の言葉を反芻するが如くだ。

 それと同時に、今まで感じたことがないほどの冷気を全身が感じ取った。その発信源の方へ、恐る恐る首を向けて見る。

 そこには、恐怖の象徴そのものがいた。


「…………守社君、その呼び方はやめろと、言いましたよね……?」


 静かに、そして優しい声色でそう言う空巻先生の全身からは、殺気と冷気が溢れ出ているような気がする。いや、出ている。

 情けないことに、俺は本能的な震えを押さえることが出来なかった。冷や汗も垂れ流し状態だ。もちろん、それは俺だけじゃない。出雲と杏奈は最早涙目。癒乃は顔を強張らせぴくりとも体を動かせないでいる。水無月先輩はガチガチと歯を震わせ、腰が抜ける一歩手前。暦先輩でさえも恐怖を隠すことが出来ず、皆と同じような状態になっていた。

 だが、最もヤバいのはこの殺気を真正面から受けている千里だ。周りにいる俺たちでさえこれほどの影響を受けるのに、それを直に受けたら一体どうなるか想像したくない。ていうか想像したくもない。


「言いましたよね……? 何度も何度も……」

「い、いや……今のはっ、口が滑って……」


 殺気と冷気を散らしながらじりじりと近寄ってくる空巻先生に、千里は何とか弁明を試みようとする。だが――


「口が滑った……? それは大変ですね……。なら、もう滑らないように口を無くしてあげましょう……」


 薄い笑みを浮かべて、空巻先生はさらに殺気を発しながら千里に近づく。

 射殺すような眼光を放つ瞳。狂気というものをそのまま体現したかのような微かな笑み。迫ってくる脅威を感じさせる、静かだが確かな足取り。

 それら全てが織り成し、自分たちの身に刻んでいるものは、恐怖。ただの。純粋な。恐怖。

 オーバーな表現と言われるかも知れないけど、事実なのだから仕方がない。さて、この状況をどう収拾をつけるのだろうか、千里の奴は。


「では……始めましょうか? 血祭りを……」


 にっこりと微笑む空巻先生。対し千里は、


「い、いいいいやホント、あのっ、すんませんっしたァッ!」


 日本人の秘奥義、土下座が炸裂した。見るもの全てを感嘆させる見事なフォームである。


「…………」


 空巻先生は千里を冷たい目でじっと見下ろすが、やがてため息を吐き千里に背を向ける。


「次はありませんからね」


 呆れたように言葉をかける空巻先生は、もう先ほどまでの殺気を引っ込めていた。


「今回は理事長室の掃除の手伝いであなたたちを呼びました。さっさと入ってください」


 そう言い残して、空巻先生は去っていった。と思ったら、ふいに立ち止まり振り返る。そして、


「私、先ほどもまだ本気で怒ってはいませんから。あなたたちに本気で怒ったら、それこそトラウマになって精神崩壊しかねませんからね。私は生徒に本気で怒るつもりはありませんので、安心してください。ではまた」


 にやりとした笑みを浮かべながらそう言い放って、今度こそ空巻先生は去っていく。残された俺たちの間に一時の沈黙が流れ、やがて緊張の糸が切れたかのように、全員からため息が漏れた。


「こ、怖かったぁ……」

「腰が、抜けたわ……」


 へたりと座り込む出雲と杏奈。二人とももちろん涙目だ。


「何なのよホントに……」

「尋常じゃないほどの殺気でしたね。一瞬本当に殺されるかと思いました……」


 呻くようにぼやく水無月先輩と暦先輩。こちらは涙目にはなっていないが、顔を真っ青に染めている。


「…………」


 俺の横にいた癒乃は、ひしっと俺に抱きつきながらかたかたと身震いをしていた。言うまでもないが、涙目――というより泣いていると言ってもいいだろう。

 そして、最後に俺は廊下の真ん中で小さくなっている影に視線を落とす。

 その影――千里は今の体勢から一ミリも動いておらず、体を震わせるということもしておらず、ただ見事なフォームの土下座を続けていた。

 俺はそれに歩み寄り、声をかける。


「なあ……、今、どんな気分だ?」

「…………」


 俺の問いに、千里は土下座の状態で顔を伏せたまま押し黙っていたが、やがて口を開く。


「……死を、覚悟したぜ……」


 ようやく伏せた状態から上げたその顔には最早生気などというものは無く、蒼白。それでいて、全てを受け入れたような穏やかな笑みを見せていた。


「俺たち、仲良くやれそうだな……」

「おう……そうだな、相棒……」


 同じ恐怖を味わった者同士、きっと心を通じ合わせることができるに違いない。良いもんだよな、男の友情って。


「「「…………」」」


 そしてまたしばらくの沈黙の後、暦先輩が口火を切る。


「入りましょうか……理事長室」


 その言葉に、ただ頷くだけの気力しか俺たちには残っていなかった。

 とにかく、今日は一つ学んだことがある。それはどんな理由があろうが、何であろうが、命を捨てたくなければやらない方がいいもの。


(((絶対に、空巻先生を怒らせちゃいけない……)))


 今日何度目か分からない、全員の気持ちが重なった瞬間だった。





はいどうも。水面出です。

更新遅くなって申し訳ないありません。


〈時雨〉「遅くなり過ぎだアホが」


いやはや、面目ないです……。

では、気を取り直してトークタイムいきましょうか。


〈時雨〉「今回はいくつくらい来てるんだ?」


全部で八個いただきました。


〈時雨〉「八個!? おいおい、多すぎだろ……」


はい、確かにこの量を一度にやるのは無理がありますので、前回と前々回と同じように分けてやりたいと思います。


〈時雨〉「今回と次回で、四個ずつか?」


そうなりますね。


では無駄を省くため早速一個目です。

ゲストの皆さーん。


〈出雲〉「どうもー!」


〈杏奈〉「呼ばれない回が無いんだけど……」


〈水無月〉「毎度毎度大変ね」


〈暦〉「呼ばれるのは嬉しいことじゃないですか」


〈癒乃〉「……こんにちは」


テーマは黒鉄侑次様から『十年後の自分』です。


〈時雨〉「知らねえ。そしてどうでもいい」


速っ! てかあんたどうでもいいって、仮にも自分の未来でしょうが!


〈時雨〉「んなこと言われても知らんモンは知らん」


えー……。


〈出雲〉「私はどうなってるかなー? 十年後か~……、普通に働いてるんじゃないかな?」


どんな職業ですか?


〈出雲〉「う~ん……保母さん、とか?」


なるほど、それは結構分かるかもしれません。

杏奈はどうです?


〈杏奈〉「あたしは多分うちの財閥を継いでる思うけど……どうかしらね」


〈癒乃〉「……すごい」


〈水無月〉「女性若社長ってことかしら」


では次、水無月さん。


〈水無月〉「まだ分からないけど、教師になりたいっていう希望はあるわね。体育教師」


〈出雲〉「意外ですね。でも案外似合ってるかも……」


〈暦〉「ミナ、教師になるには勉強必須ですよ?」


〈水無月〉「わ、分かってるわよっ!」


では次、暦さん。


〈暦〉「無難にOLということで」


無難ですね。


〈杏奈〉「イメージが湧きやすいわね」


じゃあ最後に癒乃さん。


〈癒乃〉「……美食家になってる」


〈時雨〉(いや無理じゃね?)


〈杏奈〉(あの味覚じゃダメでしょ……)


〈癒乃〉「……何で微妙な顔してるの?」


はははは。気にしちゃダメですよ癒乃さん。


それじゃ、次のテーマに行きたいので、時雨と出雲以外は一時控え室へお願いします。



退室中



はい、退室終わりましたので、二個目のテーマに行きたいと思います。

ATK様からで、『今まで喧嘩した回数と、その中で一番激しかった喧嘩』です。


〈時雨〉「出雲との喧嘩の回数? さあ、どうだろうな……。あんまり覚えてねえ」


〈出雲〉「時雨とは小学校からの付き合いだけど……喧嘩はそんなにしたことないかな。多分十回くらいじゃない?」


〈時雨〉「一番激しかったのは……アレじゃね? 一番記憶に残ってるし」


〈出雲〉「うん、多分アレだね」


ほう、そのアレとは?


〈時雨/出雲〉「ポップコーンの最後の一個をどっちが食べるか」


くだらなっ!


〈時雨〉「いや、あの頃の俺らにとっては重要なことだったんだ」


〈出雲〉「うんうん」


あーそうですか。平和な人たちですね。


んじゃ、次行きますんで一時退室してください。


〈時雨〉「おう」


〈出雲〉「うん」


代わりに、控え室にいた四人は戻ってきてください。



入れ替わり中



はい、そろいましたね。


〈水無月〉「次はなんなのかしら?」


〈癒乃〉「……気になる」


次はですね。同じくATK様からで『もし目の前に、???になる薬があったら、どうします?』です。


〈杏奈〉「???って何よ」


〈暦〉「テーマの意味が分かりかねます」


だからですね。???には自分で考えていれろっていうことですよ。


〈杏奈〉「訳分かんないわね……」


まあまあ、で、どうですか?


〈杏奈〉「……知らないわよ」


巨乳になる薬だったら?


〈杏奈〉「迷わず飲むわ」


正直でよろしいです。


では次、癒乃さん。


〈癒乃〉「……杏奈と同じのと、身長が伸びる薬」


飲みますか?


〈癒乃〉「……飲む」


でしょうね。


はいじゃあ次。


〈水無月〉「わ、私? 別に私はそんなの……」


〈暦〉「好きな人に対して素直になる薬はどうでしょう」


〈水無月〉「なっ!?」


ああ、いいですね。

水無月さん、どうします?


〈水無月〉「えっ!? いや、あの、その、素直になれるのは嬉しいんだけど……やっぱり自分の気持ちは薬に頼らず伝えたいというか……でも……」


ニヤニヤ。


〈水無月〉「って、何言わせるのよ! 飲まない! 絶対飲まないんだから!」


〈暦〉「くすくす。相変わらず面白い反応ですね」


はいじゃあ最後。暦サン。


〈暦〉「特にはありません」


そうですか。じゃあ終わりで。


〈水無月〉「何で!? 何で暦はそんなあっさり終わるのよ!?」


〈暦〉「ふふ、いいじゃないですか」


〈水無月〉「くっ、ならいいわ。私が考えてあげる!」


〈暦〉「どんなものですか?」


〈水無月〉「体重を減らす薬よ!」


〈暦〉「――――、」


〈杏奈〉「へえ、つまりこよみん先輩は今そういう状態になってるね」


〈癒乃〉「……頑張ってください。色々」


〈水無月〉「さあ暦! この薬を前にしてどうするの!?」


〈暦〉「……………………………………………………………………ミナ」


〈水無月〉「へ?」


〈暦〉「ちょっと、『お話』しましょうか?」


〈水無月〉「えっ!? いや、ちょっ……ゴメン冗談よ冗談だって! だからそんな怖い目しないでちょっとねえ! お願い許しいやああああああ!」


…………。


〈杏奈〉「…………」


〈癒乃〉「…………」


次、いきましょうか。





〈時雨〉「なあ、水無月先輩になにがあったんだ」


〈杏奈〉「気にしちゃダメよ……」


〈水無月〉「…………(ガタガタブルブル)」


〈出雲〉「震え方が異常なんだけど……」


〈癒乃〉「……暦先輩、怖かった」


〈暦〉「ちょっと『お話』しすぎたかもしれませんね」


はっはっは。

では残りのゲストをお呼びします。

ではどうぞ。


〈翠〉「はいどうもォ! 萌えをこよなく愛する者、風水翠! ただいま推して参り――」


〈菜奈〉「やかましいので黙ってください」


〈奏姫〉「ここにくるのは初めてですね~。校医の岸田奏姫です~」


〈時雨〉「大分珍しい面子だな。どんなテーマなんだ?」


はい、同じくATK様からで『もしこの面子で推理ドラマをやるとしたら、どんなキャスティング?』です。


〈出雲〉「なんか面白そうなテーマだね」


〈水無月〉「どんな風にするの?」


事前にわたしが決めています。

設定は以下の通り


とある大富豪の家で女主人の誕生日パーティーが開かれることになった。

だがその女主人の下に謎の脅迫状が届く。

不安に思った女主人はとある探偵に犯人を暴いてもらうように依頼した。

そしてパーティーに集まった様々な人間の思惑が交錯する中、ついに悲劇が……!

探偵は犯人を見つけ出すことができるのか……!?


〈杏奈〉「なんか出来損ないのサスペンスドラマみたい……」


うっさい!


では配役です。どうぞ。


事件大好きな名探偵

空巻菜奈


めんどくさがりやな探偵助手

方城時雨


萌えを愛する大富豪の女主人

風水翠


女主人に仕えるでこぼこメイドコンビ

天崎出雲

標部杏奈


パーティーの招待客、女主人の昔馴染み

稲波瀬水無月


パーティーの招待客、宝石商の社長

沙良暦


パーティーの招待客、医療界屈指の腕を持つ名医

岸田奏姫


パーティーの招待客、正体不明の謎の女

魅鳴癒乃


以上です。


〈菜奈〉「私が探偵役ですか。まあ良いんじゃないでしょうか。血生臭い事件に立ち会えるのですし」


〈時雨〉「空巻先生の助手……。終わったか、俺の人生……」


〈翠〉「大富豪ですかァ、良いですねェ。世の素晴らしい萌えたちを独り占めしたいです」


〈杏奈〉「あたしがメイド? 家ではよく見るけど……自分がなるのは無かったわね」


〈出雲〉「良いじゃん! メイド服可愛いし!」


〈水無月〉「風水さんの昔馴染み役って、なんか微妙な役ね……。地味だし……」


〈暦〉「宝石はあまり興味が無いんですけどね。まあVIPな感じが出てるだけマシですか」


〈奏姫〉「名医なんて照れちゃいますね~」


〈癒乃〉「……謎の、女……? ……何で?」


各人言いたいことはあるようですが、まあ放っときます。


あと、まだ決まってはいませんが、このテーマを元にした特別編を作ってみたいな~なんて思ってます。


それでは、今回はここまでです。

トークテーマを下さった黒鉄侑次様、ATK様、ありがとうございました。


次回は残りの四つをやりたいと思います。


感想とトークテーマ、いつでも受け付けておりますので、どうかよろしくお願いします。


それでは、次回予告です。




〈次回予告〉


理事長の手伝いで理事長室の掃除をしていた訳だが……


その途中、『アイツ』が出たせいで理事長室は大変なことに……


次回 うすしお味と黒い悪魔




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