ep30 ブラックホールと怪しい空模様
〈水無月〉「第30話」
〈暦〉「始まります」
〈杏奈〉「せいぜい楽しんで読みなさい」
〈出雲〉「それじゃあ!」
〈癒乃〉「・・・どうぞ」
「ご注文は以上でしょうか?」
店員のマニュアルじみた問い掛けに、俺は少々鬱気味に肯定の返事をする。
納豆メロンソーダ牛丼風味を飲み終えた癒乃と共に、予定通り近くにあるファミレスに入った訳だが、ここでも癒乃がやらかしてくれた。
俺は普通に、どこのファミレスにでもありそうなハンバーグのセットを頼んだんだが、癒乃が頼んだというのが――
「ではご注文を確認します。ドリンクバーがお二つ。ハンバーグセットがお一つ。超デカ盛り十倍ランプステーキがお一つ。以上でよろしいでしょうか?」
「はい・・・」
俺はさっきよりもさらに鬱の色が濃い返事をする。
そして、どこのファミレスでも使ってそうな注文を確かめる機械をしまうと、店員は厨房の方へとせかせかと歩いていった。
「「・・・」」
癒乃との間にしばしの沈黙が流れる。
やがて、俺の方から口を開く。
「癒乃・・・お前本気か?」
「・・・何が?」
キョトンとした顔で訊き返してくる。質問したのは俺の筈だが、まあいいや。
「いや、お前が頼んだのって・・・」
「超デカ盛り十倍ランプステーキ」
先ほどの納豆メロンソーダ牛丼風味を言った時のように、妙にはっきりと言う癒乃。いやまあ、頼んだものは分かるんだけど、俺が聞きたいのはそういうことじゃない。何故それを頼んだかだ。
聞いたことがある。
ここの“超デカ盛り十倍ランプステーキ”はとんでもないくらいデカくて、数多の大食い達を撥ね除けてきたらしい。そんなものを、大食いとは程遠いような体型の癒乃が、何故頼んだ。
いや、大食いの中にも痩せてる人はいるよ?だけど、癒乃は痩せてる上に身長まで低いロリ体型だ。
もしかしたら、癒乃は舌だけでなく頭もおかしいのかもしれない。常識人だと思っていたのに・・・。いや、楽園部に入る時点でもう常識がないのかもしれない。うちの部活には異常者ばかりだ。俺を除いて。
そんなことを考えていると、癒乃が俺の顔を覗き込んでいた。
「・・・どうしたの?」
「いや・・・なんでもない。癒乃、一つ聞いていいか」
「・・・?」
癒乃は「なに?」と目で語っている。
そしてそれに答えるべく口を開く。
「食べきれる自信は・・・あるのか?」
この際、何故癒乃があれを頼んだかはどうでもいい。頼んでしまったものは仕方がない。
問題はそれを食べきれるかどうか。俺には絶対無理だし、癒乃が残したら誰も食えない。
しかもこの“超デカ盛り十倍ランプステーキ”、三十分以内で食べきれば無料になるが、残すと罰金として一万円を払わなければならない。
そんなこと冗談じゃない。
元々癒乃を誘ったのは、疲れなさそうなのと、財布のダメージが少なそうだからだ。
それなのに一万円だと?ふざけるなという話だ。財布的にも精神的にも大ダメージではないか。
故に、俺は癒乃に絶対完食してもらわなければならない。
そういう願いを込めて聞いたのだ。
対する癒乃の答えは――
「余裕」
表情一つ変えずに答える。
実に頼もしい。だがな、そこまではっきり宣言されるとと逆に心配になってくる。こいつは自分の胃袋の容量を分かって言っているのか。
どんどん心配になってくる。
――だが、そんな俺の不安はすぐに払拭された。
「マジか・・・」
そう呟くしかない。
今目の前で起こっていることか現実なのか、そうでないのか。もう俺には区別できない。いやまあそんなこと言っても普通に現実なのは分かってるが。とどのつまり、それだけ非現実的なことが起きている訳だ。
全く癒乃の奴は、俺の不安を見事に吹き飛ばしてくれた。後で礼を言っておかねば。
「・・・おいしい」
超デカ盛り十倍ランプステーキを頬張りながら、癒乃はそう呟く。いや、“頬張る”という言葉は語弊があるかもしれない。癒乃の口に“吸い込まれている”と言った方が適切だろう。肉を切っては食べ切っては食べ、ひょいぱくひょいぱくという効果音がつきそうなくらいの勢いだ。
食べ始めてから約五分が経過したが、既に超デカ盛り十倍ランプステーキは元あった大きさの半分になっていた。
この小さな体のどこに入っていっているのか果てしない程の疑問を感じるが、もうそれは気にしないとしよう。
周囲からの視線も大分集まっている。そりゃそうだろう。
金髪碧眼のロリ美少女が凄まじ勢いで巨大ステーキを食している。どれだけ珍妙で奇天烈な光景だ。
「ってか・・・」
癒乃が食を進めている中、俺はふとため息混じりの声を漏らした。
「なんか見てるだけで腹一杯になってくるわ・・・」
自分が頼んだハンバーグセットに目を向けながらそう呟く。こちらは全く手をつけていない状態だ。
「味音痴の上に大食いか・・・。妙なスキル持ってんな、ホント・・・」
そんなことをぼやいている間にも癒乃の手と口が休まることはなく、五分程であれだけあったステーキはきれいさっぱり完食された。
「・・・ごちそうさま」
癒乃は両手を合わせ静かにそう言う。
本当に完食してくれた。ありがとう癒乃。これで俺の財布も無事でいられる。
心の中でそう癒乃にお礼を言っていると、何やら癒乃が俺の方を――否、俺の頼んだハンバーグセットを物欲しげな目でじいっと凝視している。
やがてこう口を開いた。
「時雨・・・それ、食べないの・・・?」
「・・・へ?」
まさかと思ったが、どうやらそのまさかのようだ。こいつあれだけ食っといてまだ足りないと言うのか。
「いらないのなら・・・ちょうだい・・・」
そう言って、癒乃は俺の返事を待ちもせず、俺の目の前にあったハンバーグセットを自分の元へ引き寄せる。
そしてそのまま食べ始めた。
「ちょっ、おま――」
「ごちそうさま」
「速えよ!!」
止める暇もなくハンバーグセットは癒乃の胃袋の彼方へと消えていった。
「時雨たち・・・今頃どうしてるかなあ・・・」
寮のベッドの上に寝転びながら、私はそう呟く。もう何度この言葉を言っただろう。少なくとも、二十回は越えてると思うけど、それ以上は分からない。
そう感じているのは私だけじゃないようで、杏奈ちゃんも同じことを言ってきた。
「あんたねぇ、さっきから何回同じこと言ってんのよ。いい加減うっとうしいからやめてよ」
その少しとげのある言葉には、私に対しての呆れの念が込められているのが分かる。そんな杏奈ちゃんに、私は少し拗ねたように返す。
「だって気になるんだもん」
「理由になってないわよ」
杏奈ちゃんが冷ややかにツッコミを入れてくる。ちょっぴり寂しい。けど、私も負けじと言葉を返す。
「でも・・・杏奈ちゃんだって気になってるでしょ」
「う・・・」
杏奈ちゃんが口を噤む。やっぱり図星のようだ。そこに、私はさらに追い打ちをかける。
「時雨のことだから・・・またフラグ立てちゃうよ。癒乃ちゃんもライバルになるかも・・・」
「んん・・・」
私の言葉を聞いて、杏奈ちゃんが一瞬どこか遣りきれないような複雑な表情になるが、すぐに強気な笑みに変わる。
「まあそんときゃそんときよ!ライバルが多い方が戦い甲斐があるじゃない!」
羨ましいくらいに前向きな思考だ。だけど、そこが杏奈ちゃんの良いところであり、またすごいところでもある。このぐらいのポジティブシンキングができたらなあ、と一瞬思ったが、よく考えてみると私もかなりのポジティブシンキングだったことに気づいた。
・・・いや、ポジティブというよりは何も考えていない、の方が正しいかもしれないけど。
「そうかなぁ?」
「そうよ!」
首を傾げながら問うと、杏奈ちゃんは力強く言い切る。何の根拠もないのに、杏奈ちゃんが言うと本当ににそんな気がしてくる。
やっぱりすごいなあ、と心の中でそう呟いた。
やがて、杏奈ちゃんは表情に今度は呆れの色を見せながら言う。
「ていうか、あのフラグ乱立男が、デート行ってフラグ立てない訳ないじゃない」
「フラグ乱立男って・・・。間違って――はないかもしれないけど」
もう少し言い方というものがあるんじゃないかと思ったが、口には出さなかった。
「それにしても・・・」
そこでふと、杏奈ちゃんが窓の外を見る。
「何だか空模様が怪しくなってきたわね・・・」
どこか物憂げな顔で呟いた杏奈ちゃんの言葉の通り、空は黒い雲で覆われ始めている。あと少ししたら、一雨来そうな感じだ。
そういえば、天気予報で今日は午後から雨が降るとか言っていた気がする。
「時雨たち、大丈夫かな」
「別に雨くらいどうとでもなるでしょ」
杏奈ちゃんは特に心配していない様子でそう言う。まあ雨くらい心配の要因じゃないから普通のことだろう。
私も全く心配などしていないし。
「あたしが心配なのは時雨の財布の方ね」
杏奈ちゃんが苦笑しながらそう言う。
「あ~、癒乃ちゃん大食いだもんね。時雨は知らないみたいだけど」
この前癒乃ちゃんと一緒にご飯を食べた時に判明したことだ。癒乃ちゃんの胃袋は凄まじい。正にブラックホールそのものだ。
時雨は一番財布にダメージが少なさそうだから癒乃ちゃんを選んだみたいだけど、完全に選択を誤ったと言えるだろう。
少ないどころか超大ダメージを受けてしまうんじゃないかと思う。
「しかも味覚オンチよ」
「あはは・・・」
思わず苦笑してしまう。
事実なんだから仕方ないことだろう。わたしも杏奈ちゃんも、焼き魚にハチミツとケチャップ、おまけにシナモンをかけて食べる子は初めて見たし。
「ホント、癒乃ちゃんの舌はどうなってるんだろうね」
「・・・それ、絶対時雨も思ってるわよ」
今度は杏奈ちゃんが苦笑する。私もそれにつられて笑い出した。
――その時、部屋のドアがバン! という音と共に勢いよく開かれた。
私たちは一瞬ビクリと身体を震わせて、ドアの方を見る。そこには、珍しく焦った表情の空巻先生が立っていた。
「ここにも・・・いないんですか・・・」
空巻先生はそう言って不機嫌そうに舌をを鳴らす。見るからに機嫌が悪そうだ。
事態がさっぱり飲み込めていない私は、恐る恐る空巻先生に訊いてみた。
「あの・・・空巻先生?どうしたんですか・・・?」
じろりと、空巻先生は私たちに不機嫌そうに視線を向ける。私たちが一瞬怯えの色を見せたが、そんなこと歯牙にもかけない。小さくため息を吐き、やがて口を開いた。
「魅鳴さんを探しているんですよ・・・」
「癒乃を・・・?」
聞き返す杏奈ちゃんに、空巻先生は小さくこくりと頷く。
「ご両親から電話があったんですよ。携帯が通じないから連絡をして欲しい、と。それで、探してみたら自室にいないので、最近よく一緒にいるあなたたちの部屋にいると思ったんですが・・・見当が違ったようですね。どこにいるか知っていますか?」
「癒乃ちゃんなら今、時雨と一緒に映画を見に行ってますけど・・・」
「映画?」
空巻先生が眉根を寄せる。
「呑気なものですね。この非常事態に・・・」
腹立たしげに言う空巻先生のその言葉が、私たちの心に引っ掛かった。
非常事態?何のことなのか。何かあったと言うのか。その疑問を口に出したのは杏奈ちゃんだった。
「非常事態って・・・何があったの・・・?」
杏奈ちゃんのその問いに、空巻先生は一瞬答えるべきかどうか迷った素振りを見せるが、やがて口を開く。
「まあ、あなたたちならいいでしょう。できれば、それを魅鳴さんに伝えていただけませんか?」
「え?でも癒乃ちゃんの携帯は通じないって・・・」
そう言うと、空巻先生にため息を吐かれた。何だろう。少し胸が痛いや。
「方城君が一緒にいるんでしょう?なら、方城君の携帯にかければいいじゃないですか」
「はあ・・・。それで、何があったの?」
杏奈ちゃんがそう訊く。先生相手なんだから敬語くらい使った方が良いと思ったけど、空巻先生も気にしてないみたいだから私も気にかけないことにした。
後が怖いけど。
空巻先生は少しの間黙っていたが、やがて重々しく口を開いた。
「実は―――」
「こりゃ一雨来そうだな・・・」
ファミレスを出てから、雲に覆われている薄暗い空を見上げながら、俺はそう呟く。今思い出した。天気予報で今日は午後から雨が降ると言っていたことを。
これはさっさと帰った方が良いかもしれない。が、俺の一存だけでは決められない。そう思ったので、癒乃に訊いてみることにした。
「癒乃、どうする?雨が降りそうだけど」
「・・・傘、持ってない・・・?」
「悪い、持ってない」
そう答えると、癒乃はしょんぼりした様子で俯く。なんか悪いことをした気分。傘くらい持ってきてやれば良かったか。
「・・・じゃあ、しょうがない・・・帰る・・・。まだ、食べたいのあったけど・・・」
「いや、それは流石に自重しろよ」
こいつこの期に及んでまだ食う気でいたのか。呆れを通り越して最早感心を覚える。
そんな風に思っていると、俺の上着の右ポケットから音楽が流れた。というか、普通に携帯が鳴っただけなのだが。取り出して見てみると、杏奈からの電話だと画面にあった。
別に出る義務は無いが、出ない理由も無いので出ることにし、俺は通話ボタンを押す。
「もしも―――」
『ちょっと!さっさと出なさいバカ!』
一瞬、鼓膜が破れるかと思った。どれだけでかい声を出したんだ。全く癒乃と言い杏奈と言い、少しは加減というものを知って欲しい。
というか、電話してきていきなりバカはないだろ。
俺はそういった呆れの念を込めながらぼやく。
「お前な・・・もう少し声を小さくしろよ・・・」
『今はそんなの気にしてる場合じゃないの!・・・ああ・・・分かってるわよ出雲。落ち着かなきゃね・・・』
どうやら出雲が杏奈を宥めたらしく、杏奈の声が落ち着いてくる。落ち着いているように聞こえるのだが、微かに焦燥の念が感じられる。何かあったのかもしれない。
『癒乃はいる・・・?』
「ああ、いるけど」
俺はちらりと癒乃の方へ目を向ける。癒乃は杏奈がなんで電話をしてきたのか気になっているらしく、小首を傾げて俺を見ていた。
『いるのね・・・そう・・・』
俺の答えに、杏奈は安心したような、だが少し残念そうな声をあげる。俺はそれに何か引っ掛かりを感じた。
いい加減杏奈が電話してきた理由を知りたくなってきた。そう思ったので訊いてみる。
「おい杏奈。一体どうしたってんだ?いきなり電話してきて」
『・・・』
無言の返事。いや、無言の時点で返事とは言えないかもしれないが。
どうも杏奈の様子が変だ。妙なテンションだったり。微かに声から焦りを感じるし。
こいつは一体何を伝えたいのだろうか。癒乃もまた同様で、首を傾げながら俺の携帯を見つめていた。
「おい、杏奈?」
『いい・・・? 落ち着いて聞いて・・・』
「・・・何があった?」
杏奈の本当に真剣なその声を聞き、俺も色々下らないことを考えるのをやめにして、同じく真剣に対応することにした。
あまり、良い予感はしない。癒乃もまた、そんな俺を見てか、相変わらずの無表情だが、どことなく真剣さを感じられる雰囲気で俺を見てくる。
『・・・さっき、癒乃の両親から学園に電話があったの・・・』
杏奈は静かな、それでいてはっきりと聞こえる声で俺の問いに答える。
「癒乃の両親から?」
その答えをつい反芻してしまう。癒乃はそれを聞き、ほんの少し眉根を寄せ、訝しげな顔をする。
『それでね・・・』
そこで杏奈は一呼吸置き、こう言った。
『癒乃のお祖母さんが・・・倒れたって・・・』
どうも水面出です。
まず、投稿遅くなってすいません。
テストだの部活だのなんだので忙しくて・・・。
〈時雨〉「言い訳するんじゃねえよ駄作者」
・・・すいません。
〈時雨〉「ったく。そんじゃ、トークタイム始めるか」
〈出雲〉「そうだね」
〈癒乃〉「・・・始める」
〈時雨〉「・・・なんで最初からいるんだよお前ら」
〈出雲〉「別にいいじゃん!毎回毎回呼ばれるなら最初からいた方がいいでしょ!」
〈時雨〉「呼ばれるとは限らねえだろ・・・」
〈癒乃〉「その時は・・・その時・・・」
〈時雨〉「はあ・・・、ま、いいか。おい駄作者。一つ目のテーマはなんだ?」
駄作者はマジで勘弁してください。
一つ目のテーマは、三月語様からで、「寿司ネタ」です。
〈癒乃〉「お寿司・・・好き・・・」
〈出雲〉「うんうん!美味しいよね!」
〈時雨〉「お前らのことを食い意地張ってるシスターズって呼んでやろうか」
ひどい奴ですね。
ちなみにわたしも寿司は好きです。
特に好きなネタは、縁側です。
〈時雨〉「縁側か・・・、縁側もいいよな。俺が好きなネタは・・・そうだな、鮪の赤身だ」
普通ですね。まあ同感ですけど。
〈出雲〉「私はサーモンかな?油がのってるのは最高だよね!」
〈時雨〉「太るぞ」
〈出雲〉「ひうっ!?」
癒乃さんはなんのネタが好きですか?
〈癒乃〉「全部好き・・・だけど・・・一番は・・・」
一番は?
〈癒乃〉「バナナコーヒー豆巻・・・ハバネロソースで・・・食べる・・・」
〈時雨/出雲〉「・・・」
・・・聞かなかったことにしましょう。
〈癒乃〉「・・・?」
ええでは、次のテーマへ。君達三人は控え室にいてください。
〈時雨〉「おう」
〈出雲〉「は~い」
〈癒乃〉「・・・」
さて、三人が消えたので、いきましょうか。
カモン年長組!
〈菜奈〉「全く・・・面倒ですね・・・」
〈小夜〉「ちょっと待ってよ!年長組ってなに!?私まだ大学一年生だよ!?」
別にいいじゃないですか。大人の女性ってことですよ?
〈小夜〉「あ、それなら、いいかな?」
よし。それでは、エドワード・ニューゲート様からで、「青春時代の思い出」です。
〈菜奈〉「青春時代とは具体的にはいつを指すのですか?」
一応、時雨たちが高校生なんで、高校時代ということで。
〈小夜〉「オッケー!一年前までバリバリ青春を謳歌してたからね!いくらでもあるよ!あ、ちなみに私は光天寺学園じゃないからね」
それでは、一番の思い出は?
〈小夜〉「文化祭!」
ほほう、何故?
〈小夜〉「クレープの屋台をやったんだけど、あのねあのね!時雨が私の作ったクレープ美味しいって言ってくれたの!それがもう嬉しくて嬉しくて!」
〈菜奈〉「弟バカですか」
弟バカですね。
〈小夜〉「あとね!体育祭の時は沢山応援してくれたし、毎日お弁当作ってくれたし修学旅行の時には忘れ物をわざわざ京都まで届けにきてくれたりとか!それからそれか――ふぎゃっ!?」
アイアンクロー!?
〈菜奈〉「もういいです。口を閉じてください。閉じれないなら、私が閉じてあげます。一生開けなくなるように縫い合わせてあげますよ」
〈小夜〉「ひいっ!?ごめんなさいごめんなさい!」
小夜も空巻先生には勝てませんか・・・。やっぱり空巻先生が一番イカれて・・・
〈菜奈〉「作者さん?そんなに血祭りにされたいんですか?」
すいませんでした!
〈菜奈〉「全く勘にさわる人たちですね・・・。ちなみに、私は青春と言えるような高校時代は送っていませんので、話しません。文句がある人は、どうぞご自由に。命の保障はできませんがね」
ありません!全く!毛頭!
〈小夜〉「私もないです!」
〈菜奈〉「ならいいです。それでは、私はこれで帰りますよ」
ありがとうございましたぁ!
〈小夜〉「わ、私も帰ろ」
はい、空巻先生が怖かったですね。
それでは、次のテーマへ。
お呼びしたのはこの方々です。
〈水無月〉「またなのね」
〈暦〉「いい加減飽きてきました」
〈翠〉「私は何度でも読んでもらって結構ですよォ!」
先輩方三人ですね。
〈水無月〉「それで作者さん。テーマは何なの?」
同じくエドワード・ニューゲート様からで、「後輩に尊敬された事」です。
〈翠〉「ほほう。中々おもしろいものがきましたねェ」
〈水無月〉「私は、そうね・・・やっぱり運動が得意なとことか?」
〈暦〉「いいえ、胸でしょう」
〈水無月〉「なっ・・・!?」
〈翠〉「あの視線は尊敬なのでしょうかねェ?羨望と嫉妬の目だと思ったんですが」
〈暦〉「一部尊敬の目をしてた子もいましたよ」
〈翠〉「あ、そうなんですかァ」
〈水無月〉「どうでもいいでしょ!?そんなこと!」
〈暦〉「いえ、重要ですよ。ミナのアイデンティティーでしょう?」
〈水無月〉「違うし!」
〈翠〉「やっぱり巨乳も萌えには欠かせない属性ですねェ」
〈水無月〉「あなたはあなたで訳分かんないこと言ってないでください!」
やっぱ、水無月=胸という式が成り立っているんですね。
では、暦さんはどうですか?
〈水無月〉「ちょっと!私はまだ――」
〈暦〉「少し黙っていてくださいミナ。私はまあ、学業の面ですかね。一応テストでは毎回上位に入ってますし」
〈翠〉「いいですねェ。今度、英語教えてくれませんかァ?」
〈暦〉「構いませんよ」
〈水無月〉「ちょっとぉ!ねえ!」
水無月さん。もう諦めてください。
〈水無月〉「うう・・・」
では、カザミドリ先輩はどうです?
〈翠〉「私は沢山の後輩にいつでも尊敬の眼差しを向けられていますよォ」
〈暦〉「それはその後輩たちがあなたの実態を知らないからじゃないですか?」
〈水無月〉「優等生と見せかけてるけど、実際はただの変態だしね」
〈翠〉「変態なのは否定しませんねェ」
しないんかい。ちょっとは自尊心ってものがないんですかあなたは。
〈翠〉「私のプライドなんかどうでもいいです。萌えさえあればそれで万事オッケーですよ」
ああはいそうですか。
ありがとうございましたね。
それじゃ、次のテーマ行くんでご退室願います。
〈水無月〉「なんか作者さんの態度が冷たくない?」
〈暦〉「そういう年ごろなんですよ」
〈翠〉「思春期萌え、ですねェ」
うっさい!とっとと帰れ!
〈水無月/暦/翠〉「は~い」
全く・・・心労が絶えません・・・。
はい、では気を取り直して最後のテーマです。
時雨たち、戻ってきてください。
〈時雨〉「ながかったな」
〈出雲〉「待ちくたびれたよ~」
〈癒乃〉「・・・お腹空いた」
あと、杏奈さーん。
〈杏奈〉「うっさいわね。ちゃんといるわよ」
おお、いつの間に。まあいいでしょう。
それじゃあ最後のテーマ、同じくエドワード・ニューゲート様からで「こんな先輩になりたくない!」です。
〈時雨〉「なるほど。まあ俺は、後輩に色々言いつけるくせに自分じゃやらない。そんな口だけの先輩にはなりたくねえな」
案外まともな答えが返ってきましたね。
〈時雨〉「案外ってなんだ案外って」
お気になさらずに。
他の方々は?
〈出雲/杏奈〉「カザミドリ先輩みたいにはなりたくない」
うわ、二人同時ですか。何故です?
〈出雲〉「だって変態じゃん」
〈杏奈〉「萌えとか訳の分からないこと言ってるし」
〈出雲〉「生徒からの人気が高いのはすごいけどさ」
〈杏奈〉「正直、あのテンションにはついていけないわ」
・・・哀れ、カザミドリ先輩。
癒乃さんはいかがかな?
〈癒乃〉「沢山食べられるなら・・・誰の体でも・・・いい・・・」
その希望は叶いそうにありませんね。
〈時雨/出雲/杏奈〉「同感」
〈癒乃〉「・・・?」
はい!今回はここまでです!
トークテーマをくれた三月語様、エドワード・ニューゲート様、ありがとうございました!
トークテーマと感想、いつでも待っていますので、よろしくお願いします!
では、次回予告です。
〈次回予告〉
泣きたい時は泣けばいい
けど、泣きたくないのに、涙を流す必要はない
だから、泣くな
次回 無関係とそれだけで