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方城時雨の奇妙でイカれた学園生活  作者: 水面出
序章 -始まるは、日常-
19/46

ep16 方程式と訪問者 前編

〈暦〉「第16話です」


〈水無月〉「楽しんで読んでね♪」


始まります。


さて、体育祭前日の今日。生徒たちが燃えはじめるとき。


「明日は勝つぞーーーー!」


『おーーーーーー!!!』


俺達のクラスも燃えていた。いやはや良いことだ。今回は俺の体罰・・・ゴホンゴホン!“説得”も必要なかったな。


ここで説明しておきたいと思う。

光天寺学園の体育祭は3チーム対抗で行う。

青軍、紅軍、白軍の3つだ。光天寺学園は一学年に3クラスあるからそれぞれに分かれる。


それで1、2、3年の連合チームをつくる訳だ。


公平にするため大体チームの戦力が同じになるように学年を組み合わせる。例えば1年1組と2年2組と3年3組が一緒になることがある。


俺達のクラスは青軍だ。


同じになる2、3年は今日伝えられることになっている。



「え~、ではHRを始めますね。まず、明日の運動会のことです」


あ、ちなみに会場作りは昨日したからな?


・・・っていうか俺さっきから誰に話してんだ?


「連合となる2、3年生ですが、青軍は2年2組、3年3組と一緒になることになりました」


俺が言った通りになってしまいましたよ。こりゃ偶然なのか?


ってか3年は知らんが、2年2組って言ったら稲波瀬先輩と沙良先輩のクラスじゃね?

あの人たちと一緒とか・・・果てしなく前途多難だ。


「方城君。何か不満でもあるんですか?あるんだったらはっきり言って下さい。その代わりあなたの歯を一本いただきますけど」


「いえ!なにもありません!」


「そうですか・・・」


相変わらず怖いよこの人!?それとそこで残念そうな顔をするなよ!


「えぇと、次は―――――」



あとの話は関係ないものだったので聞き流した。










「ついに明日だね~」


「やってやるわよ~!」


時間が経過し、午前の授業が終わり俺達は昼食のため食堂に向かっていた。


「楽しみだね時雨!」


「そうだな」


まあ、こりゃ本音だ。前も言った通り俺は“行事の鬼”だからな。

今日眠れるかどうか心配だな・・・ってのは大袈裟か。


「あらあら?時雨君たちじゃないの♪」


・・・この人を小バカにするような声はもしや・・・!

・・・いや・・・分かりきってるけどな。


「あ!稲波瀬先輩!それに沙良先輩も!」


俺達が声がした方を向くといつも通り制服姿の稲波瀬先輩と沙良先輩が立っていた。


稲波瀬先輩は相変わらず悪戯っぽい笑みを浮かべている。


「これからお昼かしら?」


「そうよ」


稲波瀬先輩の質問に杏奈が答える。


・・・前から気になってたんだが、こいつ先輩に敬語使わないよな・・・。最低限の礼儀として敬語くらい使った方がいいと思うんだが。


まあ、それも最終的には個人の自由になっちまうんだけどな。


「良かったら私たちもご一緒していいですか?」


「別にいいっすよ」


稲波瀬先輩と一緒なのが少し不安だが、断る理由もないし、構わないか。


「それじゃ行きましょ♪」


稲波瀬先輩がそう言い歩き出し、俺達もそれに続く。




・・・いや待て。なんであんたが仕切ってんだよ。


まあいいか。










「いらっしゃ・・・今日は4人も可愛い女の子を連れてるのかい?やるねぇ~」


食堂に着き、いつものように注文するためにカウンターに行ったら何故か食堂で働いている姉ちゃんにそう言われた。


まあ大体予想はしてたけど、やっぱり思うな、うん。


なに言ってんだこの人?


確かに四人とも可愛いと思うが、それのなにが「やるねぇ~」なんだ?


それにそういうこと言うと・・・


「はうぅ~・・・///」


「と、当然じゃない・・・!///」


ほら。何故かは知らんが赤くなるんだ。


だがそこまではいい。


俺は正直今回その言葉を使って欲しくなかった。

理由は・・・分かるだろう・・・?


「ありがとね~♪ふふっ♪時雨君は幸せ者ね♪美少女四人も侍らしてるなんて♪」


「あんたバカか。俺は侍らしてる覚えは全くない」


そう。この稲波瀬先輩・・・もといバカだ。つい敬語が外れちまったが、全然構わないなこの人になら。


「ひどいわね~。あ、それとも照れてるのかな?」


「照れてない」


こういうことになるから面倒くせえんだよ。

事ある毎にいじってくるんだ。


「沙良先輩。この人どうにかして下さい」


唯一食堂の姉ちゃんの言葉になにも反応しなかった沙良先輩に助けを求めてみる。期待はしてないけど。


「仕方がないですよ時雨君。ミナは素直じゃないんです。君のことを気に入ってるんですよ。気に入ってるからこそ弄るんです。どうでもいい相手ならミナは話もしませんよ」


「暦?何言ってるの?そういうのは本人のいる前で言うものじゃないと思うわよ?」


珍しく稲波瀬先輩が普通のことを言っている。


それにしても稲波瀬先輩が俺のことを気に入ってるだって?

いや・・・まあ・・・別にいいんだが・・・それによって俺は弄られてると思うと、複雑な気分だ。


喜ぶべきか落ち込むべきか・・・前者でいいか。


「違うんですか?」


「・・・違くはないけど・・・」


それは置いといて、いい事を学んだな。


稲波瀬先輩は沙良先輩には弱いみたいだ。

これからは沙良先輩を頼りにしよう。


「あ、時雨君。ちなみに私は可愛いですか?もし可愛いって言ってくれたら今夜“私”をあげますよ?」




前言撤回。


俺は一人で頑張る。


第一印象に騙されていた。この学園にはまともな奴はいないと考えていいだろう。


もしかしたら沙良先輩は稲波瀬より恐ろしいかもしれない。

“私”をあげるってどういうことなんだよ。やっぱりそういうことなのか?


いや真面目に考えたら駄目だ。そんなことをしたらそれこそ沙良先輩の思うつぼだ。ここは適当に流そう。


「遠慮しときます」


「残念ですね」


俺と沙良先輩がそのような会話をしていると、しびれを切らしたのか、食堂の姉ちゃんが少し眉を顰めた


「ちょいとあんたたち。イチャつくのもいいけど、早いとこ注文してくれよ」


・・・あ~はいはいすいませ・・・何だって?


「誰がイチャついた!?」


俺は思わず大声をだした。


それにより食堂の姉ちゃんは驚いていたが。

そんなことはどうでもいい。


この学園は従業員もおかしいのか?。いや、それ以前に17歳の女子が従業員をしている時点でおかしいな。


ってかまた言って欲しくないことを言ったな?


だからそんなことを言うと・・・


「時雨!イチャついてるってどういうこと!?なんで沙良先輩と!?年上の女の人が好きなの!?」


「何故そうなる!?」


“沙良先輩とイチャつく”=“年上が好み”という方程式が成り立ってんのかお前の頭の中では!


それに俺は沙良先輩とイチャついてなんかいねえ!!


「じゃあ年下好きってこと・・・!?この変態!!」


色々と話が飛躍し過ぎてませんか杏奈さん!?

お前は結果しか見ないタイプか!?それ以前の過程は全て無視するのか!?


お前の頭の中でもまた“年上が好みではない”=“年下が好み”という訳の分からねえ方程式が成り立ってんのか!?



「違うわ二人とも。時雨君はそんなんじゃないわ」


おお!?珍しく稲波瀬先輩が助け船を出してくれるのか!?


こりゃありがた・・・


「時雨君は年上も年下も同い年もイケるオールラウンダーなのよ」


・・・くねえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!



「あんた何言ってんだ!?」


「え?違う?」


「違うもなにも、論点からしてすでにずれてんだろ!」


本当にこの人の考えていることは全く理解できねえ!


いや、理解したくもねえ!


俺がそう思っていると稲波瀬先輩がニヤリと口角を上げた。


「じゃあ、時雨君は一体どんな女の子が好みなのかしら♪」


『っ!!!』


俺はその質問を聞いた瞬間出雲と杏奈が物凄くキラキラした目を向けるのを見た。


四字熟語で表すなら間違いなく“興味津々”だ。


何故そんな風なのかは分からんが。


「私も興味ありますね。時雨君、是非聞かせてください」


さて・・・今の沙良先輩の言葉で俺は逃げ道を失ったみたいだ。


どうする?



1、逃げる


2、正直に言う


3、冗談を言う


・・・・・・・・・・・・よし、3だ。


「稲波瀬先輩みたいな美人で大人っぽいながらも童心を忘れていない人がいいです」



ふっ・・・


どうだ。いつも弄られてばっかだから少し仕返しの念をこめて言ってやったぜ。


まあ冗談って言っても実際稲波瀬先輩は美人だと思うが。


『・・・・・・』



・・・・・・あれ?




なんだこの空気・・・



何で皆さん黙っているんでしょうか?



「・・・どうした?」


俺がそう言うと今まで止まっていた時が動き出したかのように全員ピクリと動く。


「時雨君・・・それ本当・・・?」


最初に声を出したのは稲波瀬先輩。どこか顔が紅潮している気がするが、気にしないでおこう。


もしかして俺の返答がどこか気に入らなかったのか?

そりゃそうか。普通はこんなにはっきり言わないもんな。

冗談っていうのがバレたのかも知れねえ。


それにさっきまで固まってた出雲と杏奈がこちらを睨んでいるんだが・・・怖いよ?


まあバレてるんならいいか。


「冗談です」


その瞬間再び空気が変わった。


「冗・・・談・・・?」


あれ?なんか寒気がするんだが・・・。


なんか非常に嫌な予感がするんだが・・・


「へえ、そう・・・冗談なの・・・」


現在稲波瀬先輩は俺に笑顔を見せている。

俺は女子は笑顔が一番だと思っているが今はそれを撤回したい。


「冗談・・・ねぇ・・・」


目が笑ってないんですけど・・・


これはまずい。


なんとかしなければ。


「いや・・・あの・・・すいません・・・」


「別に怒ってないわよ・・・?だけど・・・」


稲波瀬先輩は笑っているようで全く笑っていない目で俺を見る。


「少し・・・“話し合い”をしましょうか・・・?」







その時・・・







俺は稲波瀬先輩の背後に・・・








闘神インドラが見えた・・・









・・・・・・・・・・・










「時雨、大丈夫・・・?」


「・・・・・・」


「まさに“へんじがない ただのしかばねのようだ”ね・・・」


稲波瀬先輩の“話し合い”のあと、俺達はどうにかして昼食をとった。

そのとき食堂の姉ちゃんから「あんた、大変だね・・・」と言われ何故だか涙が出そうになった。


そして俺達は午後の授業のため教室にむかっている。


「なにをされたの?」


「・・・聞きたいか・・・?」


俺が生気のない声で言うと杏奈は「遠慮しとくわ・・・」と返した。


「でもあれは時雨が悪いんじゃない?」


「そうよね。まあ、あたしたちには都合が良かったけど・・・」


出雲と杏奈が最もなことを言う。最後の方は声が小さくて聞こえなかったが。


だがいくらなんでもあれはやり過ぎだ。


まさか稲波瀬先輩があんな・・・





いや・・・もう忘れよう・・・



「ところで・・・時雨ってホントはどんな女の子が好きなの?」


出雲が唐突に訊いてきた。


「考えたこともない・・・」


今度こそ冗談なしだ。事実俺はそんなことに今まで縁が無かったからな。


「まだないってこと?」


「簡単に言えばそうだな」


「じゃあ・・・」






『(私/あたし)を時雨の好みのタイプにすればいいんだ!)』


出雲と杏奈0.1秒のズレもない全く同じタイミングで何か一大決心をした顔になったんだが・・・


何を考えた?




そう思いながらも俺は教室への廊下を歩いていった。










・・・・・・・・・・・










SIDE 水無月



「ミナ、機嫌悪いですね」


「別に悪くなんてないわ」


暦にはそう言ったけどホントは今私は物凄く機嫌が悪い。


理由はさっきまで一緒に食堂にいた時雨君。






“冗談です”






なにが冗談よ!


いつもからかってるからその仕返しって訳!?



もう・・・バカみたい・・・!


こっちはホントに・・・ホントに・・・










嬉しかったのに・・・










「ミナ?どうしました?顔が暗いですよ?」


「えっ!?そ、そう!?」


「ええ。“気になる男の子からドキッとなるようなことを言われて嬉しかったけど冗談だって言われて落ち込んでる”ような顔をしてます」


「暦!?あなた何者!?」

絶対分かってて言ってるわね!?


というかそこまで的確に言い当てられるとか!心でも読めるの!?


「図星でしたか?」


「なっ・・・!そんな訳・・・」


「冗談ですよ」


「~~~~~っ!」


鎌を掛けたわね・・・!?

我が幼馴染みながら全く油断できないわ・・・!


「ミナも出雲ちゃんと杏奈ちゃんくらい素直になればいいんですよ」


「~~~・・・!!///」


「あらら、赤くなっちゃって」


「こ、暦~~~~!!いい加減怒るわよ!?」


「ふふ、ごめんなさい♪」


絶対楽しんでるわ・・・。

何故だか昔から暦には勝てないのよね・・・


まあ私もあまり人のことは言えないけど。







「でも・・・実際、時雨君のことはどう思ってるんですか?」


・・・・・・


「そんなにストレートに訊く?」


「駄目ですか?」



・・・ホント・・・敵わないわ・・・



「・・・まだよく分からないわね」


「・・・」


時雨君はかっこいいし、文句言いながらもちゃんと部活にでてくれるし、何より・・・優しい・・・。


私を・・・ううん・・・出雲ちゃんも杏奈ちゃんも暦も、他の皆も。人を笑顔にするのが得意なのかしらね。


出雲ちゃんと杏奈ちゃんが好きになるのも当然だと思うわ。




だけど・・・私にはまだ分からない。


気になってはいる。でもこれが好きって気持ちなのか、そうじゃないのか。私には分からない。


「でも・・・」



私は幼馴染みの顔を見ながら言う。










「とりあえず、嫌いにはなれそうもないわね」










「私もです」


私の言葉に暦は微笑みながらそう言った。










・・・・・・・・・・・










SIDE 時雨


「ふぅ・・・」


「疲れた~・・・」


「情けないわね」


俺達は午後の授業が終わり、休むために部屋へ向かっていた。


「だって杏奈ちゃん・・・あんなに難しい授業受けたら誰でも疲れちゃうよ~・・・」


出雲が間延びした声で杏奈に反論(にしては内容がくだらないが)をする。


「明日は体育祭だよ?なのに何でこんなに体力削るようなことするかなぁ~?」


『そう思ってるのは(お前/あんた)だけ(だ/よ)』


「そんな二人してぴったり同じタイミングで言わなくたっていいじゃん・・・」


出雲は軽く不貞腐れたような顔で言った。


なんだ。なにかおかしいことを言ったか。

俺としては正論を言っただけだとおもうんだが?


「ぐだぐだ言わないの。ほら、部屋ついたわ。時雨、早く開けて」


喋ってる間に俺達はいつの間にか808号室に着いたようだ。


「おう」


俺は杏奈の言葉に答えるようにズボンの右ポケットに入っている部屋の鍵を取りだしドアの鍵穴に入れ、鍵を開けた。


「ただいま~っと・・・」

誰もいなくてもこういうことを言っちまうのが人間の性って奴だろ。


「お帰り~」


まあ出雲か杏奈がいる時は普通に返してくれ・・・・・・なに?


今、俺の耳がおかしくなけりゃあ変なもんが聞こえた気がしたんだが・・・。


出雲と杏奈も今の声を聞いてたらしく目を丸くしてるし・・・。


それに・・・俺の記憶では・・・今の声は・・・


俺はおそるおそる部屋の中に入り、出雲と杏奈もそれに続く。






「時雨~久しぶり~!会いたかったよ~!」


『・・・・・・・・・は?』


部屋に入って俺達が見たのは・・・




俺が最もよく知る人物・・・




俺の姉・・・




方城小夜だった・・・




どうも作者です。

悲しいことにテーマが一つも応募されませんでした。


〈時雨〉「まあ予想はできてたけどな」


それでも諦めずに募集し続けます!


内容は前回と同じ




トークタイムで話して欲しいテーマ



参加して欲しいキャラ



です。


また質問なども受け付けます。



読者の皆様方、ご協力お願いします!


それでは次回予告です。




〈次回予告〉

何故姉さんがここにいる・・・


そして当然の如く出雲と・・・



次回 方程式と訪問者 後編



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