ep15 アンラッキースケベと闇病みモード
〈杏奈〉「今回の話は読まないで!・・・あぁ・・・でもやっぱり読みなさい!///」
〈時雨〉「どっちだよ・・・」
第15話、始まります。
「疲れた~・・・」
出雲は部屋のベッドに倒れ込んだ。
連日続く体育祭の練習。今日で二週間目だ。出雲は一週間目からすでに筋肉痛になってたから、二週間目の今日じゃさぞかし疲労が溜まってることだろうな。
まあ俺は全然平気だが。
「情けないわね出雲。この程度でへばるなんて」
杏奈は平気そう・・・に見えるだけだ。それも一般人の目から見て。
俺の目は誤魔化せねえよ。脚が小刻みに震えている。相当な筋肉痛な筈だ。というかあれだけ運動をして筋肉痛にもならないなんてのはおかしいからな。俺を除いて。
「杏奈ちゃんは痛くないの~・・・?」
「楽勝よ!あたしの辞書に筋肉痛なんて言葉はないんだから!」
ほう。なら確かめて見よう。
俺は杏奈のふくらはぎを軽く指で押した。
「~~~~~~~~!!!」
と、同時に杏奈が膝から崩れ落ちた。
やっぱり無理してたな。
「な・・・何すんのよ~・・・!!」
そんな力ない涙目で睨まれても全然怖くありませんよ杏奈さん。
「杏奈ちゃんも痛かったんだ~」
出雲がニヤニヤした顔で杏奈を見る。そんなに嬉しいのか。
「うう・・・そうよ!痛いわよ!!文句あんの!?」
逆ギレかよ。無理してたのはそっちなのに。なんつう理不尽だ。
「ったくもう・・・」
杏奈はぶつくさ言いながら立ち上がろうとした。
「・・・」
脚の力が完全に抜けちまったんだな。全く立てねえでやんの。まあちょこんと座ってる杏奈を見るのもかわいいからいいけどな。
「杏奈ちゃん立てないの?」
「う、うっさいわね・・・!立てるわよ・・・!」
健気だな。立てないと分かっててもなお立ち上がろうとするとは。脚がプルプル震えてるよ。
「こ・・・このくらい・・・!!」
何だろう。杏奈が無性にかわいく見える。意外にも「助けてあげたい」タイプもあったのか。
「しょうがねえな・・・」
「な・・・!?」
「はに・・・!?」
俺は杏奈の肩と脚に手を入れ抱き上げた。いわゆる「お姫様抱っこ」ってやつだな。
「あ・・・あああんたなにやってんのよ・・・!!///」
杏奈が真っ赤+カミカミになってるんだが。これはどういうことだ。それに出雲は一瞬驚いていたような顔をしてたが今はなんか睨んでるし。しかも軽く殺気が感じられるんだが。
「何って・・・立てないんだろ?」
「そそそれはそうだけど・・・///その・・・あの・・・」
なんだよ。はっきりしない奴だな。
あ、もしかすると嫌がってんのかも知れないな。そりゃ悪かった。
「嫌だったんなら降ろすぞ」
「ダメ!降ろさないで!」
「どっちだよ」
嫌がってんの?それともこのままがいいの?
「え・・・それは・・・あの・・・その・・・///」
「・・・」
赤くなって俯かれてたらなにも分かりません。ちなみに赤くなってる理由も分かりません。
それと出雲、無言でこっちを睨まないでください。心臓がにぎり潰されそうです。
「あの・・・えと・・・///」
・・・珍しい。杏奈がここまでなにも言えないとは。いつもなら「そんなのあたしの勝手でしょ!?」とか言うのに。
「その・・・は・・・///」
「は?」
「恥ずかしいのよ・・・!!///」
・・・・・・・・・
すいません。すごく可愛いんだけどこの杏奈。顔真っ赤にして俯きながら、しかも俺の服をギュッとつかんでるですよ?
別に変な趣味はないがこれは絶対ヤバいだろ。
「し~ぐ~れ~!」
「うお!?」
出雲がそう言うと同時に俺の背中に飛び乗ってきた。
・・・ちょっと待て。
「出雲!お前首!首につかまるな!」
こいつ俺の首に腕回してるんだけど!呼吸できないんだけど!?
「い・・・ずもっ!離れろ・・・!」
「や~!」
「や~、じゃねえよ!なんで抱きつく!?」
「杏奈ちゃんばっかりずるい~!」
なんじゃそりゃあ!?ただ立てない奴を抱き上げてやっただけだろ!?
「ちょっと時雨!落ちる!」
「うおっ!悪い!」
俺は杏奈を落とさないように腕と脚に力を込める・・・が、
「ふぎゅーーー!」
「のわっ!?」
出雲が脚まで俺にかけて来やがった・・・!
分かりやすく言うなら木に掴まってるコアラみたいなかたちだ。だが今の状況はそれだけじゃない。杏奈を前で抱き抱えてるんだ。
これじゃあ流石にバランスがとれない。
「離れろっての!」
「い~や~!」
「ちょっ・・・、時雨!倒れ・・・!」
杏奈のその言葉を聞き終わる前に俺は杏奈の方に倒れた。
そして、俺は非常に嫌な予感がする。
「・・・」
「あ・・・あ・・・///」
嫌な予感は当たったようだ。今俺の右手には程よく柔らかい感触がある。
杏奈はそれほど大きい方じゃないが、逆にそれが良い具合になっている。
「しぐれ・・・?」
どうやら俺は倒れたときちょうど杏奈を押し倒すような体勢になってみたいだ。
さらに右手が杏奈の胸を揉むような状態になっている。
杏奈は羞恥と怒りが混ざったような表情。出雲は目に光が見えない。
所謂これはラッキースケベという奴だ。某白いマルチフォームスーツを使う唐変木主人公がよく発動するな。
男としてこれは喜ぶべきことだと言うだろうが俺はそんな風には思えない。
俺はこれをアンラッキースケベと呼びたいぐらいだ。
何故かって?
簡単だろ?
某唐変木主人公がラッキースケベを発動した後いつもどうなっていたか想像して欲しい。
分かるだろう?ポニーテールのファースト幼馴染みに竹刀でぶっ叩かれたり、蒼い雫を使う金髪イギリス娘に撃ち抜かれそうになったり、ツインテールの中華娘に衝撃砲で狙われたり。その他金髪貴公子フランス娘や銀髪軍人ドイツ娘、学園最強の生徒会長とかにひどい目に遭わされている訳だ。
確かに端から見たらラッキーに見えるかもしれない。だがその当事者にとってはラッキーでもなんでもない。
まさにアンラッキースケベだろ?
そういう訳だから俺が今どういう状況にあるのか分かると思う。
さっきから俺が妙に冷静に説明しているのも分かるだろう。
何故なら俺は・・・
「シグレ・・・?」
命を・・・
諦めているからだ・・・
「いやああああああああああああああああああ!!!!///」
杏奈の左の手のひらが俺の顔面にヒットすると同時に、俺ははたかれた勢いでその場に倒れる。
「変態!///」
そして一番最初に聞いた言葉がこれだった。
「バカ!アホ!スケベ!変態!」
杏奈が罵倒の言葉・・・と言っても全然こたえないが。とりあえずそんなような言葉を俺に浴びせている。
「いやちょっと待て。あれは事故だろう?」
俺は自分でもわからないほど落ち着いた声で言う。
まあいくらアンラッキースケベとはいえ・・・というよりかは大体ラッキ・・・アンラッキースケベは事故が原因だからな。こっちだって防ぎようがないだけで・・・
「事故ぉ!?嘘よ!あんた狙ったでしょ!?」
「どうやって狙ったって言うんだ!?」
今のは流石に驚いた。
俺そこまで女子に餓えてないぞ!?
俺も普通の高校生男子だ!女子に興味がない訳じゃねえ!
だが某バカが集まるクラスの異端審問会じゃねえんだ!ラッキースケベを狙ってできるか!つうか狙ってできねえからラッキースケベって・・・いや訂正する。狙ってできねえからアンラッキースケベって言うんだろ!
「それでもあたしの胸揉んだでしょ!?変態!」
「それは悪かったっての!ってか一番の原因は出雲・・・」
俺はそう言いながら出雲の方を向いたが途中で言葉が途切れた。
杏奈も出雲を見て顔がひきつっていた。
「シグレ・・・?アンナチャンノムネモンダノ・・・?」
なんだこりゃ・・・!?出雲の背後に鬼神が、修羅が、悪魔が見える・・・!?
「コタエナイッテコトハ・・・イエストウケトッテイインダネ・・・?」
否定してえ・・・。否定してえけど・・・言葉が出てこねえ・・・!
「ウフフフフフ・・・ショウガナイナァシグレハ・・・」
「杏奈・・・助けてくれ。変態とかそういう問題じゃなくて・・・俺の命が危ねえ・・・」
「・・・ごめん・・・無理・・・」
ですよね・・・。
どうやら俺もアンラッキースケベの恐ろしさを分かってなかったみたいだ。
「ウフフフフフ・・・。アハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
・・・・・・出雲が完全に病んだな・・・。
とりあえず・・・
「逃げる!!!」
俺は部屋のドアを蹴り開け、全速力で逃走を開始した。
「ニガサナイヨ・・・?シグレェェェェェ!!」
嘘!?ついてきてるんですけど!?俺100メートル10秒3だぞ!?
「アハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
「うおおおおおおおおお!!!」
怖え!!某連続怪奇事件が起こるひぐらしがなく村の鉈女並に怖え!!
誰か!助けてくれえええええ!!!
・・・・・・・・・・・
SIDE 杏奈
行っちゃったわ・・・
なんかもう色々御愁傷様・・・時雨。
可哀想だから・・・許してあげるわ・・・
でも・・・あたしの胸揉んだ責任はとってもらうから・・・!
SIDE 暦
「ふう・・・」
私は夕食のために僚の部屋から出ました。
ミナはまだ準備中です。
私が歩き出そうとしたら・・・
「うおおおおおおおおおおお!!!!」
「きゃっ・・・」
物凄いスピードで誰かが走って行きました。
ってあれは・・・
「時雨君?」
声からして時雨君でしょう。でも何故あんなに走ってたんでしょうか?
「アハハハハハハハハハ!!!」
今度は出雲ちゃんが走り抜けていきましたよ?しかもなんか黒いオーラを纏っていたような・・・
「暦、どうかしたの?」
「あ・・・」
ミナが準備を終えて出てきたようですね。
「いえ・・・今、時雨君と出雲ちゃんがすごいスピードで走り抜けていったので・・・」
「?」
訳がわからないという顔をしてますね。それは私も同じですよ。
「・・・まあ、別に心配する必要もないでしょう。早く食堂に行きましょう」
「OK♪」
今あったことは気にせず、私はミナと一緒に食堂に向かいました。
SIDE 時雨
結局、走っているところを空巻先生に見つかり、
「廊下を走っていいという校則はありませんよ?よって二人とも血祭りです♪」
という台詞を言われ・・・
俺と出雲は地獄を見た・・・
もうあれは言葉にできない・・・
思い出したくもない・・・
「・・・・・・」
出雲は口からエクトプラズマが出てる。
比喩表現じゃない。マジだ。
おかげで出雲の闇病みモード(俺命名)は解けたが・・・
もしかしたら・・・
出雲にやられてた方が良かったかも知れねえ・・・
え~、今回もまた諸事情により人物紹介とトークタイムはお休みです。
〈時雨〉「今回は作者が頼み事があるそうだ」
はい。
この小説の読者様方に協力をお願いしたいことがあります。
時雨'sトークタイムのテーマを考えて欲しいのです。
〈時雨〉「簡単に言えばテーマ募集だな」
はいそうです。
詳細は以下の通りです。
募集内容
時雨'sトークタイムで話すテーマを募集します。
具体的なものでも抽象的なものでも哲学的なものでもくだらないものでもなんでも構いません。
例 人生とは?
一番印象に残った出来事は?
カップラーメン至高のちょい足し食材は?
などこんな感じで。
質問風にしても全然OKです。
また、呼んで欲しいゲストなども受け付けます。
例えば
杏奈と出雲を二人
時雨を抜いて水無月と暦
など
一回にやるテーマは基本一つですが場合によっては複数やる時もあります。
特殊なケースは作者が検討します。
感想のところに書いてくだされば結構です。
締め切りは特にありません。
読者の皆さんどうかお願いします。
あと普通の感想なども随時受け付けておりますのでそちらの方もよろしくお願いします。
では次回予告です。
〈次回予告〉
体育祭の前日
食堂の姉ちゃんのちょっとした一言でとんでもないことを起こしやがった!
俺は一体どうなるんだ!?
次回 方程式と訪問者 前編




