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9/9

番外編1 最強スパイちゃんの最終奥義♪←パンチラ ※挿絵

1章の番外編です

ショッピング中の一幕です

「ねぇねぇ、エルゼって“必殺技”みたいなのあるの?」

「必殺技、ですか?」


 ショッピングモールの専門店街にてパジャマを見ていた時のこと。珈音が何気なくエルゼに尋ねる。


「すごいスパイだったんでしょ? すごい技があるのかなって」

「いえいえ。基本的に派手な活動はしませんからね。案外地味ですよ、私たちって。戦闘はありますが、漫画やアニメに出てくるみたいな技は持ってないですよ」

「技名とか付けないんだ」

「技の名前を叫びながら戦うスパイがいたら笑いものですね」


 エルゼは苦笑いする。たしかに技名を付けそうなメンバーはいるが、さすがに敵の殺傷は淡々とこなしていた。


「そっか。でもメンバーごとに特技があるんだっけ?」

「そうですね。狙撃が得意だったり、ITに秀でていたり。これはメンバーの誰にも負けない、って武器はそれぞれにありましたね」

「で、エルゼは?」

「特にないですね」


 イチゴの粒がトレードマークのパジャマに目を付けたエルゼは、それを手に取ってチェックしながらそっけなく言った。


「え?」

「私はまとまっている点が評価されていましたね。コミュニケーションを取れますし、協調性がありますし、演技も上手いですし、戦闘能力もありますし、学力もありますし、ミスも少ないですし。だからメンバーで最高のスパイとも評価されていました」

「でも一位評価じゃないんだ」

「ですよねやっぱり私が一位にふさわ……」


 エルゼが小声で漏らしかけるが、


「こほんっ。一位のレイは司令塔です。学力も一番ですが、リーダーシップに関しては誰よりも秀でています。欠けたら穴になる、という意味では勝てないのかもしれませんね」


 と、レイを評価はするも、エルゼはちょっぴり不満げでもあった。


「うん、かわいい。これ買お」


 手にしているパジャマが気に入ったのか、エルゼはそのまま購入した。

 購入して、


「あ、必殺技……ありましたね」

「え、あるの?」

「そういえば考えていました。追い詰められた時に繰り出すものです。これまで一度も出したことはありませんが、いつか見せる時が来るかもしれませんね」

「追い詰められた……っていうなら、なんで前に捕まった時に出さなかったの?」

「それは……ロボット相手には意味がないというか……」

「それ必殺技って言うの?」

「いやその……んー」


 と、ごにょごにょ呟くエルゼだが、


「わかりました――見せてあげますよ。こちらへどうぞ」

「こんなところで? 暴れちゃダメだよ?」


 エルゼは人気のない通路に珈音を招いて、


「これが最強スパイちゃんの――最終奥義です☆」

挿絵(By みてみん)

 ぴらっと右手で、振り返りざまにスカートをたくし上げたのだ。白い肌に映える黒いショーツがしっかり晒される。


「どうですか? まさかの色仕掛けです! 対ロボットには効果がありませんが、男性が相手ならイチコロ。場合によっては女性相手にも効果抜群ですっ。皆さん、私のことをお堅いと思っていますでしょ? だからこそのギャップなんです!」


 キラッとウインクしたと思ったら、今度はしーっと人差し指を立てるエルゼ。『この必殺技、皆さんにはナイショですよ』という意味合いだろうか。ペロッと舌を出すのはイタズラっぽい。


「エールーゼ!」


 両手に腰を当て、むすっと頬を膨らませる珈音。


「それはダメ! 公序良俗に反する!」

「必殺技を越えた最終奥義ですよ? 滅多にやりませんから。私だって女です。相応の恥じらいがありますし」

「え? 公安に所属してもそれやるつもり?」

「まあ、選択肢の一つとして考えていますが」

「ダーメ。エルゼが捕まっちゃう。自分でパンツ見せるのはダメ」

「わかりましたってば。もうやりませんよ」


 エルゼは適当に珈音をあしらうのであった。



 そして《楔》の手先による事件が解決し、パトロールカーの車中にて。

 総司と並んで後部座席に乗る珈音は、エルゼを話題に総司と会話する中で、


「ねぇ総司さん。エルゼ、最強スパイちゃんの最終奥義とか言って、自分でスカートを捲ってパンツ見せたんだよ?」

「……どういうことだ?」

「男相手ならパンチラでイチコロだと思ってるみたい」

「それは……やめさせてほしい」


 右手で頭を抱える総司。


「うん、言っといた」

「下着ごときで成人の男が落ちるほど世の中は甘くはない。せいぜい猫騙しの効果ならあるかもしれないがな」

「エルゼのキャラがよくわかんなくなっちゃった」

「やはりベースは真面目な性格なのだろう。特殊な環境で育ったがゆえに、少々変わった行動を取ることがこの先あるかもしれないが、そこは温かく見守ってあげてほしい」

「うん」


 エルゼ本人としては半ば冗談のつもりの行動だったかもしれないが、総司と珈音は真剣に議論するのであった。

次回から2章です。7/10に掲載予定です。今後は週1回のペースかもしれません。

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