おまけ
ロゼリア達の結婚式の最中です。
お嬢様、いえ、ロゼリア様、いえ、奥様が幸せそうだ。本当にお美しい…。今までの苦労が全て報われるような素敵な結婚式。娘を見守るようで涙が止まらない。
実際は同い年の設定だけど。ルドルフ殿下、いえ、旦那様もとても素敵。推しではないけど、奥様を幸せにするなら推してやろう。
私はアンジェリーナとして、念願叶って奥様専属侍女となった。時に口酸っぱく言うこともあるが、これも愛情だから、仕方ないよね。いまいち馴染めなかった子爵令嬢より、ずっとずーっとしっくりくる。
でも、卒業したことで、一つだけ残念なことがあるのよ。
それは、私の推しを愛でる時間が激減したこと!!
これって、結構な問題じゃない? 学生である間は、ほぼ毎日お顔を拝むことができたのに!!!
ん? そもそもなんで推しを攻略しなかったかって? ……私だって、できることなら攻略したかったわよ! でも、障害(攻略対象者)が多かったのよ。
でもでも、今日の結婚式には彼もいらっしゃるから、久々にお顔を拝見できる!! あ、いたいた! ジェイド殿下……の少し後ろにいらっしゃるエイダン様!
あー最高! 可愛い! オバの心の癒し! と言っても、この世界ではエイダン様の方が四つ年上なんだけどさ。
そう! 私の推しは、ジェイド殿下の付き人エイダン様。エイダン様は伯爵家三男で、幼いジェイド殿下の侍従兼護衛として、この国にやって来たのよー!
ジェイド殿下の細かい好みを、完璧に把握している数少ない人間だ。仕事は完璧なのに、腰は低い。護衛なので、もちろん強い。
その強さに反して、外見は、クリっと丸いキラキラしたお目目に、太陽のようなオレンジ色の髪は柔らかくカールしてて、なんてゆーか、可愛らしいお顔なんですよ! 全然強そうに見えない!
さすがに声を大にして可愛いなんて言えない。めちゃくちゃ可愛いんだけどね。そんなギャップの塊で、強くて優しくて、細やかで謙虚なエイダン様を推さない理由が見つからん。
私たちは使用人でもあるが、本日の主人公である旦那様と奥様(ルドルフ殿下とロゼリア様)の友人でもあるから、末席に参加させてもらっていて、新郎側と新婦側それぞれに分かれているが、通路を挟んで隣なのだ。
そんな彼をチラチラと盗み見て、今日の彼も素晴らしく可愛いと一人悶える。見すぎたのか、彼と目が合ってしまった!! やっば! わざとらしいくらいに目を逸らす。
だって、私の印象って良くないもの。ジェイド殿下を惑わした女認定でさ。私に入れ上げるジェイド殿下を何度も嗜めていたし、なんなら私を睨んでいた気がするし。ジェイド殿下が正気に戻られてからは、軽口を言い合う仲になり、立場を弁えていない私に呆れていたと思う。
真相がわかってからは、優しく接してくれたし、なんなら絡まれていれば助けてくれた。嫌いな女相手にも紳士なのだと思うと、キュンが止まらなかったわ。
でも、かなり慌ただしく卒業を迎えたので、十分にお礼も言えず今に至る。こちらは悪くないにしても、己の主人に害を為した女なんて、嫌いで当然よね……。
私は小さく息を吐き、再びコッソリとエイダン様を見る。
すると、なんと、彼もこちらを見ているではないか!! え? ガン見? もしかして睨んで、はいないか。なんか、困ったようなお顔をされているけど、微笑んでいる?
その可愛らしいお顔で微笑まれると、自然と顔が赤らんでしまうのは仕方ないわよねぇ。エイダン様に微笑みかけられるなど、初めてのことで、勿体無くて、私も目が離せなくなる。
距離があるのに、二人の世界になった気分だ(旦那様、奥様、申し訳ございません!)。
ん? 何か喋っている? 唇を読むと、
(あ・と・で・じ・か・ん・あ・る・?)
え! え! えーーーー!! 断罪!? いや、そんなわけないか。彼の意図はわからないけど、断る理由もない。超高速で私は首を縦に振る。
そんな私を見て、クシャっと笑うエイダン様の可愛いこと…ドキドキが止まらない。
推しの攻略は、始まったばかり。
以上で完結です! アンナの推しについて触れたくて、おまけで書いてみました。二人の物語は予定していないので、これにて終了です。設定も緩く苦し紛れのところがあるにも関わらず、最後までお読みいただきありがとうございました!!




