表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/17

16

甘々の心臓に悪い旅をなんとか終え、無事帰国した。ルドの妻として初めての外交だったけど、王子妃教育の賜物よね、もっと困難に陥るかと思ったけど、少し意地悪な王女の相手をしたくらいで、なんてことなかったわ。大変だったのはルドの相手よ。本当に心臓に悪かった。甘い意味でだけど。いつ約束を反故するのかと、違う意味でも心臓に悪かったわ。


帰国後は、卒業に向けて、不在時に溜まっていた教育や勉強を詰め込みまくる毎日で、ルドもわたしと一緒で忙しくしていて、顔を合わせることも出来なかったわ。手紙のやり取りは欠かさなかったけど、旅の間、ずっと一緒だったから、寂しくて堪らないわ。


ようやく待ちに待った卒業式当日。ルドの卒業生代表の挨拶、堂々としていて、とても素敵だったわ。惚れ直したことを伝えなきゃね。素直に気持ちを伝えるのが一番だと学んだもの。


夜になるとパーティーだ。ルドから贈られたドレスを着る。ルドの瞳の色である空色のドレスに、金の刺繍が施されていた。素晴らしいドレスに思わず感嘆の声が漏れたわ。


ドレスに着替え、飾り立てを終える頃、ルドが迎えに来たとアンナが告げる。どうかしら? ドレスは素敵だけど変なところはないかしら? とアンナに聞くと、お綺麗ですよと言ってくれる。少し安心したけど、緊張した面持ちでルドが待つ応接室へと急ぐ。


扉を開けると、正装したルドが佇んでいた。なんて、素敵……。格好良すぎて、また惚れ直してしまったわ。赤いタイにカフス、わたしの色を身につけてくれていると思うと、より胸が高鳴る。


「……リア」

「ルド……とても素敵……。格好良すぎてどうしましょう」

「…パーティーに行くのはやめよう!」

「えっ!! なんで急に!? わたし、そんなに変?」

「違うっ!! リアが綺麗すぎて、誰にも見せたくない!」

「本当? ドレスが素敵すぎて、わたし負けてないかしら?」

「リアが負けるなんてあり得ない! こんな美しくて可愛くて愛らしい人が俺の奥さんだなんて、幸せすぎてどうしよう」

「わたしだって、ルドみたいな素敵で格好良い頼りになる人が、わたしの旦那様だなんて、幸せすぎて怖いわ」


と、二人の世界に入りそうなところに、アンナの恐ろしく冷静な声が降ってきた。


「ルドルフ殿下、ロゼリア様、不毛な褒め合いはおやめください。そろそろ出発しないと遅れます」


確かに遅れそうね。それでも尚、行きたがらないルドをどうにか説得して二人で馬車に乗り込んだわ。


パーティーは盛大に行われ、生徒達は学園で起こった出来事も忘れ、大いに楽しんでいた。知らなかったとは言え、アンナが持っていた香袋のせいで、依存症に陥ってしまった方達も、お茶を摂取し続け、かなり改善したようで、パーティーに参加することができて良かったわ。ショーンさんは、他の方より多く摂取してしまったから、残念だけどパーティーには間に合わなかった。本当に残念ね。


アンナも参加するように言ったのだけど、嫌な記憶が呼び起こされる方もいるだろうからと言って、頑なに首を縦に振らなかった。アンナが悪いわけではないのに、不自由を強いられるなんて、悔しくて泣きそうになったけど、アンナったら、参加する方が面倒だし平気だと笑い飛ばされたわ。可憐で小柄な見た目に反して、強く逞しい。憧れるわ。


ルドとファーストダンスを踊る。踊り慣れた彼のリードは安心する。二人で見つめ合っていると周囲から歓声が沸き上がる。わたしの事を悪役令嬢だと言った方もいるでしょうけど、今日が最後だから水に流してあげることにするわ。


それにしても、殿方からダンスに誘われるたび、自分の妻だからと言って、ルドが断っていく。隣国のパーティーの時にはもう少し寛容だったと思うのだけど、困ったものね。でも嬉しい気持ちもあるから、今回は目を瞑りましょう。


パーティーも終了し、ルドが馬車で送ってくれる。こうやって送ってくれるのも今日が最後なのね。一ヶ月後には結婚式で、その後は本当の夫婦となる。今も夫婦だけど。お父様達との約束もギリギリだったけれども。少し物思いに耽っていると、そんなわたしに気付いたルドは、優しく頭を撫でてくれる。この大きくて温かい手が心地良い。




結婚式、真っ白なウエディングドレスに身を包み、お父様の腕をとり、バージンロードを歩く。短いようで長い道のり。ゲームの世界のわたしはヒロインを虐める悪役令嬢で、婚約破棄をされると聞いて、泣いた日も怒った日も怯えた日もあった。でも、アンナがわたしに一生懸命向き合ってくれた。おかげでルドという素晴らしい人と心を通わすことができた。学園で辛いこともあったけど、ルドが変わらずに愛してくれたことに感謝をする。


お父様から彼の腕へと移動する。彼は今日も眩しいくらい、とても素敵で格好良い。わたしはなんて幸せ者だろう。誓いの言葉を交わし、キスをする。これは、悪役令嬢のはずが、バグって登場した侍女のおかげで幸せになった、(わたくし)の物語。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ