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底辺職の風俗嬢は異世界に行って本気を出す  作者: miguel92
第四部

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第94話.請求書はこちらです



 ダ・デーロの街も久しぶりね、やっとスリーローズ商会に帰って来たけど、戦闘奴隷達は荷物を解き、武器の手入れ、しばらくは忙しいわよ。

 そしてわたしは銀行に、頭取に会って遠征の一件とレオポルト商会の今後について話し合わないとね。


 高価な武器を山の様に買ったけど、得られたのはどうでも良い情報、武器商会の請求書が重いわね。


 少し遠回りしてレオポルト商会の前を通る、門の前に銀行衛兵はいなくなっていて。

普通に商売をしているっぽい、だけど看板が外されていたわ。

 この商会好きだったんだけどなぁ……


 感傷にふけっていると、丁度ドアが開いた、ユーリアじゃない?急いで手を振る。


「おーい、ユーリア」

 わたしの顔を見るとキラキラした笑顔になって駆けて来たユーリア。


「ミヤビ様、お久しぶりです!」


「久しぶりユーリア、積もる話が山ほどあるんじゃない」


「そうですよ、大変だったんですよ……」



 ユーリアの話によると、商会主のレオポルトが新大陸航海の株を買ったのは誰も知らなかったんだって。

いきなり銀行の衛兵がやって来て商会を封鎖、そんな寝耳に水の流れだった様よ。

 しばらくすると銀行から役員が送り込まれて来て、今まで通りの営業をする様になったのだけど、当主のレオポルトは地下室に幽閉されたままだそうよ。



「……それでヒルベルタさんも一緒なの?」


「いえ、奥様とお子様方はルードルフ様のところに行っていたので難を逃れた様です、嘘か本当か知りませんが奥様から離婚届が送られて来たそうです」


 ああ、それはたぶん本当よ、離婚届を書かせたのはルードルフね。

 ユーリアには気をしっかり持って日々の仕事に臨む様に言って別れ、いよいよ頭取と面会よ。


 ▼


「ミヤビ様、エルフの里はいかがでしたか、わたしの様な人間は一生行く事の無い場所。

 色々と貴重な経験をされたのではないですか」


「貴重な経験と言う点には同意致しますわ、ですが面白いかどうかは判断に迷うところですね」


「その様な事を仰らずに、エルフの話を聞かせてもらえませんか … 」



 頭取には素直に話をしたわ、排他的なエルフはわたし達の話を聞こうともしなかった。

 戦争で共に戦い、信頼を得る事が出来、アンフェタの秘密も明らかになった。

 だがそれは我々が望むものではなかった。


 わたしは、感情を殺して、箇条書きのリストを読み上げる様に、エルフの里での出来事を話した。



「……こちらがヘリオス商会からの請求書になります」


 結構な金額が記載された請求書を頭取に手渡すが、彼は眉ひとつ動かさず、金額だけ確認すると、そのまま胸のポケットにしまった。


「よろしいでしょう、遠征の必要経費です、ヘリオス様には当行からお支払致しましょう」


「頭取、宜しいのですか、今回は銀行の望む物は何一つ持って帰らなかった遠征ですよ」


「問題ありません、もし当行が経費の支払いを渋ればミヤビ様は次から協力をしてくれなくなります。

悪い噂はあっという間に広まりますよね」


「まぁ、そうでしょうね」

 これって、わたし達は銀行の手下と言う意味なの。


「それにミヤビ様は大変な成果を持って帰られましたよ」


「エルフの小娘以外に何か?」


「エルフ達と人脈を築きましたよね、これは最高の宝です、我々銀行は人と人の結びつきを大切にするのです」


「相変わらず過分な評価ですね、ところでレオポルト商会の件はどうなっているのですか。

 気になりますね」


「それはご心配なく、ミヤビ様の提案通り当行から役員を送り込んで通常の営業を再開致しました。

 レベッカ、御存知ですよね、彼女が奴隷商会再営業の陣頭指揮を執っております」


「まだ若いのに、役員待遇で出向とはバンカーの面目躍如ですね」


「皮肉を言わないでください、以前お話しした通り、我々銀行は人手が足りないのです。

 つきましては早々にミヤビ様に奴隷商会の会長職についてもらいたい。

 お受けしていただけますよね」


「分かりました、この話お受けいたします」


 ▼


 再び元レオポルト商会に赴いたわたし、レベッカはわたしが会長になると聞いて大喜びをしたわ。

 頭の切れる銀行員でも、いきなり会長として商会を仕切るのは無理ゲーだったみたい。


「……それではレベッカさん、細かい引き継ぎは5日後に」


「はい、待っております、前商会長もその時に連れて行くと言う事で宜しいですね」


「どちらに連れて行くのですか?」


「御実家は支払いを拒否されましたので、官吏に引き渡す事になるでしょう」


「分かりました、彼とは一方ならず恩が有ります、差し入れも兼ねて最後に顔を見ても宜しいですか」


「もちろんですわ」


 ▼


 地下室の前には銀行の衛兵が立っていたがレベッカさんから渡された書類を見せたら、そのまま通され、ヒタヒタと狭い階段を下るわたし。

 後ろには果物が入ったバスケットを持ったカタリーナとダボッとした服を着たライラリア。


 地下室の奥、錆びたベッドに横たわっているのはかつての奴隷商会会長レオポルト。


「あれ、ミヤビ」


 何日も着替えていないのだろう、襟もとは垢で擦り切れ、無精ひげが見苦しく伸びている、ベッドの脇にはひびの入った皿が置かれているけど、中身は空、とりあえず食べてはいるみたいね。


「説明は後、早く服を脱いでください」


 三人の女性にせかされて全裸にさせられたレオポルトを魔法陣の真ん中まで連れて行く。


「ミヤビ、一体何をしようと……」


「いいから黙って」


 わたしは集中して10代前半の女の子を思い浮かべる、今まで何度も外見は変えて来た。

 アイプチから始まって、フェイスリフト、豊胸、脂肪吸引、身長まで変えた事もあった、けど性別って変わるのかしら?



 ▽▼カタリーナ▽▼



 何度かミヤビ様の術は見たけど、今日の術はいつもと違って青い光が凄かったのよ、太陽くらいの強い光がいつまでも。


 やっと光が収まり、ジメジメした地下室の床には裸の女の子が倒れている、歳はわたしより少し下かな。


「カタリーナ、終わったの?」


「たぶん、ライラリア、早く服を脱いで」


 手早く服を脱ぐライラリア、わたしはミヤビ様の上着のボタンを外すと、ライラリアから貰った服に着替えさせる。

 ミヤビ様はピクリとも動かないわ、呼吸はしているから死んでないよね。


「カタリーナ、あの子にミヤビ様の服を着せるのね」


「うん」


 ライラリアが手早くミヤビ様の服を少女に着せる。


「君、名前は覚えている?」


「レオノルだけど」


「レオノルちゃん、詳しい説明は後、とりあえずここを出るからね」


「うん、分かった」


 ミヤビ様を両側から支える、意識の無い人は運びにくいわね。

 ナーディアを呼べば良かったのだけど、なるべく小柄な子と言う指示だったわ、今ならその意味が分かるわ。


 地下牢の出口で銀行の衛兵が一人多いとわたし達を咎めたけど“お相手役”を休ませてあげたいと言ったら、親切に階段の上まで運んでくれたわ。




 魔力回復薬はありますけど、意識を失うと薬すら飲めません。

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