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底辺職の風俗嬢は異世界に行って本気を出す  作者: miguel92
第二部 レオポルト伝

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第50話 ボクは家庭教師



「レオポルド様、これはなんて書いてあるんですか?」

 ちいさくて真っ白な指で専門書を指さす幼女ミーア。


「うん、どれどれ、これは魔法欽定選書って書いてあるんだよ」


「きんてーせんしょ?」


「まぁ、これが魔法の決まりですよ、って言う意味かな」


「わかりました、頑張って読んでみますね」


「ミーア、分からない事があればいつでも訊いてね」


「はい!レオポルド様」


 9歳の女の子が青空みたいな笑顔で微笑むとボクの顔もほころんで来るのが分かる。

 ミヤビはボクが小さい子と仲良くなるのを嫌がっていた。

 けど、ミーアだけは別だ、いやむしろ“ミーアの面倒を見てください”と頼まれたくらいだからな。


 それにしてもミーアの伸びは凄い。

 来たばかりの頃は自分の名前がやっと読めるだけだったのに、子供むけの読み書き本は半日で卒業して、午後には短編の小説を読み切った。


 その後は魔法の教科書を初級から読み始めて、今は中級の入り口、理解力も凄いけど集中力はもっと凄い、半日一言も喋らず、食事から食事の間じゅう本だけを読んでいる。




 ボクには術式の研究が出来て目の前に小さな子がいれば幸せさ、そう思っていたら、王都からヒルデがやって来た。


 なんと王都の魔道具商会で丁稚の様な日々を送っていた、すぐに逃げ出すかと思っていたのに、今では簡単な取引を任されるくらいにまで成長したそうだ。

 成長したのは実務能力だけじゃない、ドレスを突き破る勢いのお胸には商会のみんなもビックリしただろう。


 胸の大きな幼馴染みはボクの奴隷商会で丁稚みたいな事をしている、奴隷部屋の掃除は当然としてトイレ掃除や洗濯、窓拭きまで、貴族の娘のやる事ではない、だけど本人は。

“わたしが好きでやっている事ですので”

 そう言ってニッコリ微笑むそうだ。


 最初は昔の事を知っている幼馴染みが嫌で仕方なかったけど、今では商会の仕事がしたいのなら好きにすれば、そんな気持ちだ。

 ミヤビと二人でこの商会を切り盛りしてくれれば良いよ。



 ▼



 神童と言う言葉はミーアの為にあるのだろう、魔法回路の意味を理解し自分でも簡単な回路を描けるまでになった、ただ心配なのはこの子は勉強に熱心すぎる、時々休憩しないとダメだよ。


「ミーア、疲れただろう」


「レオポルド様、ありがとうございます、ですがまだ平気ですよ」


「ミーアが頑張り屋さんなのは分かったけど、時々は休まないとダメだよ、ほらボールごっこしよう」


 ボクとミーアはカーペットの上にペッタリ座り、握り拳よりも少し大きなボールを転がして遊ぶ。

 ただそれだけなんだけど、こんな時のミーアは歳相応の顔になってキャーキャーと元気な声を上げる。


 ペッタリ座っているからスカートの隙間から白い下着が見える。

 クッキリとまぶたに残って夜寝付くまでその姿を忘れる事はない。


 ボクにとって至福の時間だったけど、ある事件を境にメイドが同席する事になった、あの日のボクはどうしてあんな事をしてしまったのだろう。

 人目が無いのを良い事にミーアを抱っこしただけだったのに。



 ▼



 ミーアに関しては比較的甘かったミヤビだけど、二人きりでいる事を禁止された。

 その代わりと言うか、毎晩夕食後にカタリーナやリフリーの痴態を描いた絵を届けに来る、

“手を出すのはダメだから絵で我慢しなさい”そう言っているみたいだ、屈辱だけど、有効に使わせてもらっているよ。



 その晩は雨だった、今夜もミヤビが“絵”を届けに来るかと思っていたらヒルデがやって来た。


「レオポルド様、お話しよろしいでしょうか?」


「ああ、どうしたのかなヒルデ」


「単刀直入に言います、わたしを呼んでくださいませ」


「あー、それは」



「わたしをお嫌いでしょうか?」

 そんな訳ない、大切な幼馴染みだ。


「ああ、嫌いだ」

 なんで?思った事と反対の事を言っているんだボクは。


「左様でございますか」


 さっきまで思いつめていた顔のヒルデは急に小さくなってしまった。

 こんな時なんて言えば良いんだ、術式の教科書には書いてなかった。

 雨はいよいよ酷くなり嵐の様だ、水滴が窓ガラスを伝っていく。


「……そうですか わたしレオポルド様のお役にたちたくて頑張ってきましたが、ご迷惑だったのですね……」


「  ……  」


「押し掛ける様な真似をして申し訳ございませんでした、明日には荷物をまとめて実家に帰ります」


 ゆっくりと背中を向け帰ろうとしているヒルデ、ダメだ今帰ったら二度と会えない、そう分かっているのに一言が出て来ない。


「待って」

 自分の口から出た言葉じゃないみたいだ。


 ボクの言葉でゆっくりと振り向くヒルデ、ポロポロと大粒の涙を流していた、

“ああ、ボクはなんて事をしてしまったんだ”



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