第44話 娼婦候補生
田舎にも美人さんはいます、娼婦の適性があるかどうかは別問題ですが。
一般奴隷の買い取りが終わると次は性奴隷の番だよ、村長宅には三人の女の子が並んでいた。
一番左は背がヒョロっとしていて身体が薄いけど顔はまぁまぁ、真ん中は本命らしく田舎にしては美人顔、本人も自分が美人だと自覚しているようで表情にも余裕がある。
右端はどうして性奴隷候補に選ばれたのか分からないくらい酷い顔、これは引き立て役で呼ばれたのだね。
商会主様はまずは左端の子を別室に呼んで買い取り交渉、銀貨65枚で最初の子を買い取ると、本命を金貨1枚で買い取った。
「よし、これで性奴隷の買い取りは終わったな」
「商会主様、もう一人残っております」
「レオポルト、さっきの一般奴隷ではお前はなかなかのものだと思ったが、いやはや、まだまだだな」
「わたしに買い取り交渉をさせてください、最後まで面倒を見ます」
父上はボクの顔をマジマジと見ると、好きにしろと言って部屋を後にした。
引き立て役のブサイク娘はベンテ、銀貨20枚で買い取ったよ。
執事のオスヴァルトがボクに近寄ると、コッソリ言う、
「レオポルト様、術を使うおつもりですか?」
「そうだけど、いけないかな?」
「お館様に術の事をばらすおつもりですか?」
「それはまずいね。
わかった、少しずつ時間をかけて変えて行こう」
△△
ブサイクなベンテを毎日少しずつ術式をかけて変えていく。
気が付けば商会で一二を争う美人に、ベンテは性格も良い。
今まで虐げられていたのだろう、周りの人の顔色を伺いすぐに最適な方法で動き出すが、決して自分を主張したりしない。
「……ミヒャエル、娼館に行ってベンテを売り込んでくれないか?」
「レオポルト様、あれほどの美人ならどこの娼館でも引く手あまたでしょう、ご自身で行かれては?」
「そう言うのは面倒だからいいよ、売り上げは全部ミヒャエルの分にして良いから頼むよ」
△
ベンテは金貨5枚で売れた、ブサイク娘を銀貨20枚で買い叩いたのだから利益率が凄い。
そうそうお金の説明をしておこう、銅貨が百枚で銀貨一枚、銀貨が百枚で金貨一枚、その上に白金貨があるけど、奴隷商人に関係有るのは金貨までだよ。
市井の人は金貨3枚あれば一年は暮らせる、と言われている。
ブサイク娘を普通の人の年収以上で売り込んだミヒャエルだけど。
バックにボクがいると言う事は商会のみんなが知っている、だけどそんな事はどうでも良い。
ボクは人との関わりを最低限にしたいだけだよ。
▽▽
魔法を使ってブサイク娘を美人に出来るボクは奴隷商会での売り上げトップに躍り出た、
そして一番聞かされたくない言葉を聞かされる。
“レオポルド、お前の売り上げは充分だ、独立を許そう”
そんな事ボクは望んでいない、術式の本を読んで色々な魔道回路を描いていれば満足なのに。
株分けされたボクはレオポルド奴隷商会と言う商会を設立、と言っても従業員はオスヴァルトと数人のメイド、そして護衛騎士のサン・ホセとロドリゲス。
みんな父さんの商会から派遣されただけで、本当のボクの従業員ではない。
出来たばかりのレオポルド商会に最初にお祝いにやって来たのはヒルベルタ。
「レオポルド様、独立おめでとうございます」
子供の頃はレオ君だったのに、いつから様付けで呼ぶようになったのかな?
「ああ、ありがとう」
「わたくしヒルベルタは王都の魔道具商会に弟子入りする事になりました」
何を言っているんだこの子は、商会に弟子入りなんて貴族の子が出来る訳がない、本当だよボクは苦労したから知っている、だいたいヒルデはメイドがいないと着替えも出来ない様な子じゃないか。
ボクは商会の弟子の大変さをしっかり教えてあげたけどヒルデの決心は変わらなかった。
「レオ君、わたしが商会に弟子入りするのは、将来レオ君の横にいる為なの、どうかわたしを送り出してください」
箱入り娘に丁稚奉公が務まるとは思えませんが、商会主の婦人となるなら、必要な事ではないでしょうか。




