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底辺職の風俗嬢は異世界に行って本気を出す  作者: miguel92
第一部

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31/55

第31話 女が弱いなんて誰が決めたの?

 少女戦闘奴隷達も年相応な娘達です。



 デニス村に向かう田舎道を進む馬車、御者の話ではもうすぐ着くそうだが、馬車の中は修学旅行のバスの様に賑やかに笑い声が響いている。


 普段はピッタリとした皮のパンツを履いて“荒事ドンと来い”のプリスカとオザンナの2人。

今は紺色のメイド服、髪も綺麗にアップして白磁の様な少女のうなじを晒している。


 形だけはお上品なメイドだが中身はそのまま、2人でキャキャ笑っている。

“この子達前の世界の基準なら学校に通っている年よね”


「あなた達、もうすぐ村よ、笑っちゃダメよ」


『ハイ!』


「絶対に笑っちゃダメよ」


「ハイ」



 しばらくはお澄ましの顔をしていた2人だけど、次第に頬が緩んで来るのがわかる。

“まだ、若い子だから仕方ないわよね”


「2人とも、本当に笑っちゃダメよ」


「ハイ」


 2人同時に決壊して高い声で笑い始める。


「絶対に笑っちゃダメって言ったじゃない~」


「だって~」


 わたし達の馬車は少女の笑い声を振りまきながらデニス村に到着した。

 村長宅に乗り付けたわたし達、メイド服のプリスカとオザンナ。

馬車の前で両手を重ねてすまし顔で命令待ちのメイドのポーズをしている。


 人畜無害そうなおじさんがやって来る、身なりが良いから村長の関係者かな?


「こんな田舎にようこそ、道中は大変ではなかったですか?」


「いえ、優秀な護衛騎士がおりますから」

 カタリーナを指し示すと、幼女は得意気に胸を反らす、


「これは可愛らしい騎士様ですね」


「この子の持っているレイピアは本物ですのよ」


 カタリーナは薄い胸を更に反らし、フンッと得意げな鼻息が聞こえてきそうだ。


 そんな幼女剣士を鼻で笑ったおじさん、うん、わたしの思惑通りよ、世間知らずの娘達だと思い込んでね。


 ◇


 世間知らずのわたしは、村長宅にご招待されたわ。


 「これは、遠いところからようこそ」


 わたし達四人で村長宅に入ると、人の良さそうなおばさんがわたしの前にコップを置いたけど、飲んじゃダメよ、何が入っているか分からないからね。

 しばらくして村長が入って来た、わたしとカタリーナ、自分が売った娘が2人も並んでいるのに気がついた素振りはまったくない。


「村長さんですね」


「はい、そうですよ、なんでも奴隷商人のお方だそうで、本日はどの様なご用件で?」


「人買いに売る予定の娘達をくださいな」


 そう言って革袋から金貨をテーブルの上に広げる、黄金色の輝きに目を奪われた村長だが、我に帰る。


「はてはて、人買いとは何の事でしょう、ここはご覧の通り貧乏な田舎ですが、その様な怪しげな者達とは縁がありませんのでな」


「村長さん、わたしの顔に見覚えありません?」


「えっ、いやお前は魔物に食い殺されたはずじゃ」


 今頃思い出したの? 髪の色もアッシュローズから重い黒に戻っているし、何より死んだと思っていたから仕方ないか。


「わたくし地獄から帰って来ましたの、今度はあなた方が地獄に行ってくださ……」



 最後まで言う前に、さっきの人の良さそうなおばさんが麺棒をわたしに向けて振り下ろす。

 幼女カタリーナがわたしにタックルして、ギリギリのところで太い麺棒はテーブルを叩き、コップが割れ金貨の跳ねる音が響く。



「さっさとくたばんな!」



 人の良いおばさんは鬼の様な形相で麺棒を振りおろそうとするが、オザンナの片手刀が一閃、恰幅の良い身体が倒れ込みテーブルを押し倒す、金貨が飛び散る音が部屋中に響く。


 金貨の音につられた訳ではないだろうが、控えの間の扉が開き盗賊達が部屋になだれ込もうとするが、カタリーナはレイピアを抜いたらそのまま身を低くして奴らの脚の腱を目指す。


 プリスカの直刀が彼らを田楽刺しに、何人いたのか知らないけどドアを通れるのは一人だけだからね、1対1の戦いになってしまうのよ。

 外からは打ち上げ花火が上がる様な音が聞こえた、これは近くに隠れているルードルフ様からお借りした戦闘奴隷を呼ぶ合図よ。


 馬車の優雅な座席が跳ねあがり、双子戦闘奴隷のマリーナとマレイセが現れると、村長宅を囲んでいた男達をあっという間に切り倒して行く。


 女ばかりの商人がやって来たのでちょうど良い獲物だと思っていた盗賊村の村人達は完全に不意を突かれてなすすべもない。

少女の振る直刀と、短槍の餌食、機を見るに敏な盗賊村の住人はあっという間に降参した。



 ◇



 村長と主だった盗賊を村長宅の窓の無い部屋に詰め込み、テーブルでドアを押さえる。


「さて、村長あなた達が攫った娘達はどこにいるのですか?」


「待ってくれ、誤解だここは本当に普通の村でそんな悪いやつなんていない」


「あらそうですか、だったら燻製でも頂きましょうか」


 ドアの隙間から発煙筒を投げ込む、薄暗い部屋に閉じ込められて煙が満ちて来ればパニックにもなるわよね。


 ドンドンとドアや壁を叩く音が響くけど、村長宅だけあってなかなか丈夫よね。


「攫った娘とお宝はどこですか? わたし熱いから早く外に出たいのですけど」


「誤解だ!」


「うるせー、命が大事だろ、さっさと言えよ」


 壁じゃない物を殴る音が聞こえて来たわ、人間って醜いわよね。


 村長達を閉じ込めた部屋はわたしがこちらの世界に来て初めて泊った部屋だと思うと感慨深いわね。


「おい、俺達のアジトは水車小屋の裏手にある岡の北側だ」


「あらそうなの、けど見張りがいるんじゃないの?」


「俺の名前を出せ、そうすれば大丈夫だ」


「あなたの名前を知らないのだけど?」


「リッターだ!」


「ふーん、リッターさんは何人殺したの?」


「俺は一人も殺してねぇ」


「ウソだ、リッターが何人殺したかなんて数えきれねぇ」


「てめえぇぇ」



 扉の奥で再び不快な音が聞こえて来る、この音は精神衛生上良くないわね、そう思って外に出ると。

 ルードルフ様の戦闘奴隷達が村人達を縛り上げている、と言うかルードルフ様本人まで来ているじゃないですか。



「これはルードルフ様自らご足労頂きありがとうございます、なにぶん女手のみで難儀をしていまして」


「その様だな、ここの農民は鍬を持たないで直刀や槍で我々を出迎えてくれたのだ」



 その後水車小屋の裏の岡にかなり規模の大きな横穴があって、攫われた人達や奪ったお宝が隠されていたそうよ。

わたしが欲しいのはビアンカの妹だけだから関係ない話だけどね。


 そうそう関係ない話と言えば村長宅に閉じ込めたドアを開けたら凄い事になっていたらしいの。

ルードルフ様の話では人間の心の闇を暴いた様な光景だと言っていたから見なくて正解だったわね。




 密閉された空間が煙が満ちて来ると、それだけでパニックになります。

火事は本能的な恐怖があるのでしょうか。

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