↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/74

2章 3話 混沌の実の炊き出し

混沌の実を使った炊き出しの回です。


朝、慰問に集まった人たちに当主自ら昼に炊き出しを行う旨を伝えてもらった。

何の食材で炊き出しを行うかは言わなかったこともあってか、村人は皆喜んで炊き出しを受け入れているようだった。

その様子は、慰問より炊き出しのほうが喜んでもらえているのではないかと思うほどだ。


リネットとリネットの母親の二人には、朝から屋敷の厨房でひたすら混沌の実を煮てもらうことになっている。煮てもらう量はズダ袋2袋分だ。残りの1袋は、今回の炊き出しが成功したらそのまま当主に受け渡そうと思っているので残している。

二人掛かりで調理しても、昼までに間に合うかどうかはギリギリのところだと思う。是非リネットには頑張ってもらいたい。


俺とニルダが屋敷の診療に使う部屋で待機していると、リネットの代わりに外の担当をしているノエリアがドアを開けて最初の患者を招き入れてくれた。


朝の10人の慰問を無事終えた。内1人は少し栄養失調になっていたのだが、この後の炊き出しでお腹いっぱい食べてもらうことで解決できると思い、問題ないと判断した。

この領内は不作が続いていると言う話だったから、村人が思うように食事を出来ない状況なのだとわかる。今回じゃがいもを持ってきたのは丁度いいタイミングとも思えた。


俺とニルダが診療部屋から出ると、すでにじゃがいもを煮た鍋が厨房から担ぎ込まれていて、炊き出しを待つ村人でいっぱいになっていた。

そんな中、現当主が前に出て演説を始めた。


「皆の者!

 今日のこの場は、闇の女神教助祭であるウィリアム殿の

 好意で開いてもらったものである!

 今回の炊き出しには、この混沌の実が使われている。

 みんな、満足行くまで食べて欲しい」


現当主が右手に持った混沌の実を高く掲げ村人たちにも見えるようにすると、混沌の実が半毒の実とは知らない村人たちがオオオーッ!と歓声をあげて喜んでいた。

しかし、やはり混沌の実が半毒の実であると知った者たちはいて、疑問の声をあげていた。


「俺、あの実見たことあるぞ」


「俺もだ。あれ、もしかするとさ、半毒の実じゃないか」


「半毒の実ってなんだ?」


「毒が含まれていて食べられないって言う噂の実だよ」


「まじか、じゃあなんでそんな実で炊き出しなんて?」


最初は小さかったざわめきも、次第に大きくなり今では村人全体を覆っていた。

ざわめきを打ち破るように、現当主が大きく声を出す。


「落ち着け!

 気づいた者も多いと思うが、確かにこの混沌の実は

 以前まで半毒の実と呼ばれていた。

 だが、これは間違った見識である。

 私は昨日、ウィリアム助祭に教えて頂いた。

 この実は食用の部分と毒のある芽が混在している。

 つまり闇の女神教の教義である混沌と同じなのだ。

 この実は闇の女神に祝福されてこの大地に植えられ、

 そして今我々の前にある。

 闇の女神教の信徒である、我々のためにある

 食べ物なのだ!」


現当主の言葉に驚いていたものが多かった。半毒の実は、毒があるので食べられないと言うのが一般的な事実であったために、芽だけに毒があると言うのは誰も知らないことだったのだ。

しかし、これだけではまだ村人を納得させることができないとわかっている現当主が引き続き語る。


「私は昨日、ウィリアム助祭に教えて頂くと同時に、

 混沌の実を食した。

 味付けはされてなかったものの、混沌の実は食べるに

 値する物であると感じた。そして、私は今ここに

 立っている。つまり、ウィリアム助祭の話は正しいのだ!

 そして、皆を代表して混沌の実の料理を私が最初に

 食べようではないか!」


リネットが鍋から混沌の実を煮崩した物を皿に盛り、それを現当主に渡す。

現当主は皿と一緒に渡されたスプーンで、一掬い、二掬いと口に入れて行く。潰された混沌の実は噛む必要がないため、どんどん喉を流れて行く。

誰もが当主の姿を見つめて、そして時間が経っても当主はなんともなかった。村人の全員が当主を見て毒はないと理解したと思えた時に、当主が皆に告げた。


「皆の者、ウィリアム助祭に感謝を捧げ、

 炊き出しを頂くとしよう!」


お腹を空かせてた人も多かったので、混沌の実が安全だとわかった瞬間に一斉に鍋に群がって行った。

リネットとリネットの母親が、鍋からおたまのようなものでひたすら掬って村人に渡していく。村人たちは基本的に全員満足しているようだった。

毒に関して悩んでた人たちも、まだ誰にも何も起きてないのを確認した後で鍋の列に並んでいた。


私の書いている別作品「1から始めるダンジョンマスター」の方もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。