1章 19話 幼児期15
どのタイミングで言うか俺は悩んでいた。
ここにはダークエルフを俺の護衛として雇うためにきた。人族より強いダークエルフの戦士ならだれでもと最初は思っていたが、ギフト持ちの双子姉妹を見つけてしまったからには、護衛にしない選択肢はない。
だが、彼女らはまだリネットと仲良く話をしていて終わりそうもなかったし、このまま放っておいてあまり遅くなってしまうと今度は冒険者達と集合することになる。そこまで行くと、話をしづらい。
つまり、俺は早く話をしなければならない状態にあったのだ。
そろそろ終わるだろ、そろそろ終わるだろと思ってかれこれ20分以上話が終わるのを待っていたのだが、一向に終わる気配がないので諦めてノエリアとニルダに近づいた。
二人が俺に気づいてこちらに向き直る。二人はとても真剣な顔をしていた。
「改めて、ありがとうございます。ウィリアム助祭。
このお礼は命に代えましても、果たさせて頂きます」
「私も、姉さんの傷を治してくれた礼は、
命に代えても果たさせてもらう」
近寄った俺に、二人は跪いて祈るように言う。
「いい。
でも、頼みがある」
「「なんなりと」」
二人の声が重なった。
「実は、俺と教会の護衛をして欲しい
今後来るかもしれない時のために」
「わかりました、あなたの命に従います。
この命果てるまでお使いください」
「私のこの弓、貴殿に捧げよう。
私の主になって欲しい。
どのように使ってもらっても構わない」
OKしてもらえるかどうかわからなくてドキドキしていた俺に二人は即答だった。
俺は拍子抜けした。簡単に片付いたことは良いに違いないのだが、なんか……なんかこう……もうちょっとなかったのかなあ、と微妙な気持ちになった。
帰り道、俺はニルダに背負われていた。
往路同様、疲れて冒険者の一人に背負われようとしていた時に、ニルダが代わりに背負いましょうかと申し出たのだ。
冒険者達は首をかしげていたが、譲ることを伝えるとニルダは嬉しそうに俺を背負った。
ニルダ達双子は少し露出の大きい服を着ていたから、背負われると手が肌に触れる。ニルダの肌はとてもスベスベしていて、触っているこちらも気持ちよかった。
「あの、あんまり肌を撫でたりしないでくださいね……」
ニルダの耳が赤くなっていた。他人に肌を触られ慣れていないのだろうか。
そのまま少しして俺は眠さでうとうとしてしまい、気づくと意識を手放していた。
「本当に、この子が闇の女神教の助祭様なんですね」
全員黙って歩いている中、急にニルダが呟く。横にはノエリアとリネットがいる。
「私も思う。
寝顔を見る限りは、本当に5歳の子供にしか
見えないのにな」
「口調も全然子供っぽくなくて、度胸もあって、
大人顔負けのヒールが使えて、人の顔色窺って、
でもまだ子供なん。5歳の子供なんですよ」
そう言ってリネットはウィリアムの髪を撫でた。
「それ、良いな。私にもさせてくれ」
髪を撫でてるのを見て自分もとノエリアが手を出し、ウィリアムの髪を撫でる。
ウィリアムの髪の毛は少し張りがあり、しかし柔らかくてスベスベしていた。
「わ……私も……ってできない……
ね、ノエリア。後で代わってくれない?」
自身もと手を出そうとするが、ウィリアムを背負っている状態では髪の毛を撫でることができなかった。
「んむ?
構わないが……姉さんも髪を撫でたいのか?」
「うん……
私を助けてくれた人の髪を撫でてあげたいの」
ニルダがウィリアムを見る目には、尊敬や可愛い動物を見るような感情がこもっていたが、それだけではなさそうであることをノエリアは感じていた。
(まさか……な……
いくら恩人だと言っても、5歳の子供に
恋をしているなんてことはあるはずはないな)
後程ノエリアがニルダに代わってウィリアムを背負うと、ニルダは嬉しそうにかなり長い間髪の毛を撫でていた。
別作品の1から始まるダンジョンマスターの方もよろしくお願いします。
3月21日現在、内容修正中です。今読むと丁度いいかもしれません。




