【1-19】.盗賊討伐(3)
俺はスイッチを入れ多数脳をフル稼働させる。
相手のゴンザレスは巨体に似合わない高速で俺の元に肉薄してきた。
「ッチィ...!」
俺はジャストガードを失敗してしまいスタミナを大きく削られた上に3割くらいダメージが入りHPを持ってかれた。
意識が飛びそうな攻撃に俺は嫌気を刺す。
「ごめんタクヤ一瞬変わってくれ!」
「了解です兄貴ぃ!オラアアアア!」
俺はバフとヒールをすべくタクヤとスイッチした。
俺はボス戦前に最悪の場合を備えてダメージがきつそうだったら次の攻撃1回か2回受けてもらう事を伝えておいた。
「ジャストォー!」
叫びながらタクヤはジャストガードをあの高速で振るわれる斧に対して3回中2回発動させていた。
自身にヒール見方に石壁の守りで防御力、鼓舞で攻撃力を再度かけ直して、スタミナポーションを飲み今度は俺がタンクに回る。
「ちょっぴり舐めてたわ!!ガチ集中する!」
「兄貴ぃ!もう持ちません頼みます!」
俺はこのゴンザレスに対して少し舐めていた点があった。どうやらこのゲームのボス級もしかしたらゲリラクエストだけかもしれないが、レベル適正以上に相当強いみたいだ。
「じゃあいっちょかましますかぁ!」
フレイムフィールドで一瞬の視界をうばいダブルエッジで攻撃フレイムボールで追撃して、盾剣スタイルにした。
相手の攻撃はすべてジャストガードすることが出来た。最初は舐めていて相手の攻撃速度と移動速度に対処仕切れなかった。
ソードバッシュ、通常攻撃を挟みつつ俺は押し返すことが出来ている。1発目受けた事によってゴンザレスの"癖"と言うのが理解でき始めていた。
「お前ッ!なんなんだ!なぜ俺様の攻撃が入らないッ!」
「お前本当に人間技じゃねぇ!ラァッ!」
ナメタとゴンザレスが同時に俺に対して愚痴を吐いた。ナメタは俺のジャストガード成功時に生まれた敵の隙が出来た一瞬に後りこんだ。
「そのスキルなんだ?!」
「そんなの後だ!」
ゴンザレスの一番最初に放った一瞬で肉薄してきたのはスキルだったらしい。
ナメタは一瞬で後ろに回った後バックスタブと連撃を放った。急所探査を使っているのでヘイトがナメタに移った瞬間ナメタはムーンサルトで打ち上げはせずとも一瞬のノックアップとムーンサルトの反動を利用し距離を取った。
「お前もだいぶなれてきたみたいだなぁ!ナメタ!」
「糞ォッ!ちょこまかとうざいやつめ!」
ゴンザレスは一番最初に放ってきたナメタと同じスキルを使って俺の後ろに回りこんだ。
「それはもう一度見てるからジャスガよっゆう!」
俺は後ろに一瞬で振り向きゴンザレスの重たい一撃をジャストガードで弾いた。
魔法系のスキルのCDが上がったタイミングで剣でヒットアンドアウェイをしていたタクヤとスイッチする。
「オラァ!!!」
タクヤに切り替えた瞬間ソードマンのスキルと思われる5連続攻撃が放たれタクヤは2回ジャストガードで受け止める事が出来たが3回目4回目は普通のシールドガードになってしまっていた。
そのため5回目でスタミナ切れになってシールドガードを使用できず、直撃を貰っていた。
「どうだ!俺様のインサイドラッシュは!」
俺はヒールをちょくちょくタクヤへ挟んでいたがそれでもヒットアンドアウェイに失敗して少しずつ蓄積したダメージと今の直撃で死んでしまった。
「すいません兄貴...」
「今のは仕方ない俺も初見だったら多分直撃貰ってた」
グループチャット話ながら俺は遠距離攻撃のコンボを放った。
ゴンザレスは慢心創意で俺らはまだまだ大分余裕ある感じでこのまま押し切れそうだった。
多分だがナメタと俺直撃を貰ったら8割体力飛ぶと思う、1撃も貰わない前提で詰めるしかないな。
「いったいこいつ何レベなんだよッ!!」
ナメタが悪態を付く気持ちも俺にはよく分かる。適正レベル25前後の町で受けれるクエストの敵の強さではない。
少しずつ俺はアドレナリンが出ていて今のゾーンよりも深い集中をする事が出来ている事に気づいた。
意識的に集中するのに限界はあったが、意識的な物の限界よりはるかに集中していた。
「ナメタ!今俺調子いいみたい!畳み掛けるぞ!ナメタは基本コンボでよろしく!」
「ラジャ!」
今回はナメタのムーンサルトのノックアップをと反動を利用し隙を生み出し俺ら、いや俺の猛ラッシュが始まった。
「オラオラァ!攻撃全部止まって見えるぞゴンザレス!お前はそんな雑魚なのか!」
スキル無し挑発を入れつつ俺はジャストガード攻撃をはさみ続けた。
「ありえない!こんなの人間技じゃない!」
「そんなの当たり前だろ!俺はなんたってチートスキル持ちだからなぁッ!!」
俺は相手の攻撃をジャストガードで返しソードバッシュを挟さみスキルがCD中にはジャストガードで止めナメタの連撃とバックスタブとムーンサルトのコンボを入れてダメージを重ねていった。
「お前もこれでおしまいだァッ!!」
ゴンザレスはタクヤを沈めたインサイドラッシュを放ってきた。そのモーションを見て俺は更に集中力のブーストをする。
「オラオラオラッ!!!」
ガンッガンッガンッガンッガンッとすべてジャストガードで挟んでいく、そしてそのジャストガードとジャストガードの間に俺はソードバッシュ、ソードスラッシュ、杖盾に持ち替えて、ファイアボール、ダブルエッジ、短剣盾に持ち替えて、連撃を打ち込む。
「これで終わりだぁッ!」
空中に俺は飛躍し、鼓舞をかけてシールドアタックを空中から全体重をかけて放つ。空中から放つ事によってコンボ判定になりスタン確立が上がる。
「ぐッはぁッ!」
スタンになったことを確認したら俺はナメタにスイッチした。
ナメタはムーンサルトで倒れてるゴンザレスを無理やり起き上がらせ、背中にバックスタブと連撃を放つ。
俺は剣剣スタイル杖盾スタイルといった順番で切り替えソードバッシュソードスラッシュを入れた後、ファイアボールを打ち込んだ。
「俺様がこんなところで...死んでたまるか...」
「最後の捨て台詞はそれか?じゃあな」
俺は無常にも相手の頭に剣を突き刺しクエスト完了のログが流れた。
「それじゃあお宝回収して帰るとしますか」
俺らの盗賊討伐はこれで幕を閉じた。
単語帳
スイッチ:攻撃と攻撃の際に入れ替わりダメージ/s(DPS)を高める行動。
スキルとスキルの合間に挟むことによってヘイト値を管理しながらダメージを出せたりするゲームもある。
ヒットアンドアウェイ:攻撃した後距離を取り、相手のレンジから外れ隙が出来たらまた攻撃をして距離をとる攻撃方法。




