第三十五話 地図の中心
次の日。
今日は新聞配達も休み。
黒兎が目覚めた日から一週間になる。
ふと気になったので、近くの行方不明者の数を調べてみることにした。
「あかねさん」
「何? あやめちゃん」
「昨日の今日なので、両親のことも気になるし、行方不明の人も気になるので、今日は調べてみようかと思います。なので、ちょっと出かけてきますね」
「わかったー、気をつけるんだよ」
「はーい」
◇
「ゆいさん、まだ居ます?」
「あやめちゃん、おはよー、どうしたの?」
「ゆいさん、パソコンを持ってましたよね?」
「あるよ? でも、どうしたの?」
「ちょっと気になったので、調べてほしいことがありまして」
「どんなこと?」
「この一週間くらいで、この周辺で起きた失踪とか行方不明事件がどれくらいあるのか、調べてもらえます?」
「わかったー、ちょっと待ってね」
ゆいはパソコンで検索をかける。
そして――
「えっ! なにこれ……」
画面には、ずらーっと検索結果が並んでいる。
「あやめちゃん、軽く五十件くらいあるよ」
「五十件も!?」
「最近、ニュースでも流れてるから多いとは思ってたけど、家出扱いを含めたらもっと多いかも……」
「全部が全部そうとは言えないけど……この中に妖の仕業もあるかもしれません」
「わたし、今日は新聞配達も休みだし、ちょっと調べてみます」
「あー、ゴメン、私は大学に行く日だから付き合えないや」
「大丈夫です。でも念のため、動きやすいようにジャージで出掛けます」
「あっ、それじゃー、あいつを連れていけば? 黒兎」
「どうせ、暇だろうし」
「そういえば、そうですね。暇そうならついてきてもらいます」
「本当に気を付けてね」
「はーい」
◇
「黒兎ー、いるー?」
「いるぞー」
どうやらいたらしい。
「ちょっと、この辺りで失踪者が多いみたいだから、消えた辺りを確認してみようと思ってる。ひょっとしたら妖の足取りを追うことになるかもしれないけど、付き合ってくれる?」
「まあ、いいぞ」
「どうせ、暇だしな」
「あ、でも、ピーマンがあったらくれ、まだ飯は食べてないからな」
そう言われて、わたしは器に盛ったピーマンを出した。
◇
まずは、付近の詳細を調べるために、バイト先の新聞配達店へ行き、地図を見せてもらうことにする。
「おじさーん、ちょっと地図見せてね」
「今日は休みなのにどうした?」
「たまには、ちょっと、探偵ごっこでもしようかなって思ってー」
「最近、失踪事件とか多いみたいだから、わたしも配達で通るし気になって、気をつけるためにも明るいうちに見ておこうかと思って」
「そうかい、ほどほどになー」
お店のおじさんと会話を少ししてから、大まかな場所を手書きの地図に書き記して、お店をあとにした。
◇
まずは、女子高生が失踪したというニュースで見た付近に向かう。
黒兎はヒョコヒョコと後ろをついてくる。
見た目だけならすごく可愛い。
すれ違う人からは微笑ましそうに見られる。
ペットの兎の散歩にしか見えないしね。
そう思ってると現場についた。
辺りを見回す。
「まあ、特に何もないね」
「そうだな」
「サクサクっと回ろう」
地図に印を付けながら移動する。
「ここもこれと言って何にもないね」
「何かあったら他の人も気がつくだろうしな」
「まあ、そうだよね」
失踪地点を七、八か所回ったところで、黒兎が痺れを切らした。
「切りがねーな」
「そうだね、何もわからないね」
「とりあえず、地図に分かってるところに印だけつけてみる」
地図に、パソコンで調べた失踪場所の印を付けていく。
印を付け終わると、歪ではあるが、大きな円を描いているように見えた。
「これって」
「ああ」
「中心付近に何かありそうだな」
「線を引いてみるね」
あやめは何か所か、向かい合う印同士を線で結んでいく。
何本もの線が重なる場所。
そこにあったのは――
「……」
「どうした?」
「この中心付近にあるのって、わたしが通っている学校だ……」
「そうなのか、そろそろ昼だし、続きは昼飯を食べてからにしようぜ」
「うん、わかった」




