第8話「初めてのユニット」
そして立輝がLYric/MUsicの音楽を聴いた翌日...
代々木音楽学園にて。
「………」
「(昨日見たユニットに俺だって入りたい!その為にはまずは友凪を見つけないと!)」
「やっほ〜皆〜」
するとタイミング良く友凪が来た。
「…!友凪!あのさ!」
「…ん?どうしたの?立輝?」
「俺、お前のユニットに入りたい!」
その言葉に友凪は驚いた。
「ええ〜?君が〜?君、興味無さそうじゃん。」
「…俺は昨日、『LYric/MUsic』のライブを見に行った。そんじゃそこらの奴と比べたら興味はあるが?」
「そうなんだ。でも君、紀宝君がいるのは嫌だとか言っていたじゃん。」
「まあ、確かにそうだが...それでも『LYric/MUsic』に入りたい、そう思った。」
しかしその言葉を友凪は信じることが出来なかった。その為、事前に用意していた質問を立輝にぶつける。
「じゃあさ。質問するね。」
「君の趣味は何?」
「.....授業をサボる事。」
「......じゃあ、好きな事は?」
「ゲームとか?」
「君が心を奪われたのは?」
「『art&RPG』といいうゲームだな。」
その言葉を聞いた友凪は苦笑いしていた。
「ええ?君、全然音楽の事、話さないじゃん。」
「まあ、いいや。それじゃあさ。」
「──君、音楽は好き?」
その質問は以前の立輝ならすぐには出ないだろう。だが今は違う。
「ああ。特に昨日見たライブでその気持ちが強まった。」
その言葉はすぐに出た。
「....合格。」
「は?」
「君が音楽とかにやる気あるのか確かめていたんだよ。でもその調子なら何も問題ないね。」
「うん。良いよ。君はリリックミューに入って良いよ。」
「...!ありがとうな!」
「じゃあ練習は放課後ね。遅刻は出来るだけしないでね?」
「あ~はいはい。」
そして友凪は待たせてしまった友達と話しに行った。
「(よし!これで俺も音楽ユニットの仲間入りなんだ!)」
「(いや~やっとこのクソみたいな学園で楽しい事が見つかった!その点では兄貴に感謝だな!)」
「(それじゃあ、放課後の為に授業はサボって体力を温存しよう。)」
そして立輝は殆どの授業を寝て一日を過ごした。
先生達には注意されたが立輝は全く「はい」とも「分かった」とも言わなかった。
そして遂に立輝のお楽しみの時間がやってきた。
~放課後~
~空き教室にて~
「立輝~こっちこっち!」
「わ、分かってるって!それより厳しいアイツもいるんだろ!?静かにしろ!」
「そう言いながら立輝の方がうるさいよ?まあ紀宝君も根は優しいから大丈夫だよ。」
「──やあ、リリックミューの皆!」
二人は空き教室に入って行く。
「......加賀谷来たか。其れで隣の奴は?」
「阿久津立輝だ。昨日のライブを見てこのユニットに入りたいと思った。」
「はあ~~~~なんでよりによってきみなの...?確かにメンバーが来て欲しい気持ちはあったけど....」
衣与は長いため息をつく。
「おい、夢先。そんな言い方するな、阿久津もメンバーの一人になるんだぞ?」
「……お前が紀宝か。」
「そうだ。俺…私が紀宝静司だ。」
静司は立輝に真面目な性格をしていると思われていた。だが、昨日見たライブでその印象は変わった。
「俺は阿久津立輝。…突然だが俺を『LYric/MUsic』のメンバーにしてくれないか。」
「私は別にいい。メンバーが増えるのはいい事だ。…夢先と加賀谷も問題無いな?」
「僕は大丈夫だよ。」
「まあ…ホウさんが言うなら仕方がないけど…」
二人も賛成した。
「決まりだな?それじゃあ阿久津立輝を『LYric/MUsic』のメンバーにする。」
「連絡先を教えるから困った時はそれで連絡しろ。またメンバーからの伝達もしっかり見ておけ。」
「……さて、阿久津。いきなり入ってもらって突然だが…」
「お前がメンバー入りした記念でライブをやろうと思っている。」
その言葉を聞いた立輝は喜んだ。
「良いのか!?それは嬉しい!」
「無論、手を抜く事は許されない。阿久津、それは分かってるな?」
立輝は頷く。
「良い返事だ。それじゃあライブでやる曲と衣装などを決めよう。」
「スケジュールはと私、衣装は夢先、曲担当は加賀谷がやっているが…お前もやりたい事があるだろう。何をする?」
「曲担当。作詞、作曲全部。」
即答。衣与は特に驚いていた。
「ええ〜!?きみ、曲担当と言う大変な事、出来るの?トモ、全部やってるけど大変そうだよ?」
「俺は加賀谷みたいなマイペースな奴じゃないからな。興味のある事だったらすぐに仕上げられる。」
さらっと失礼な事を言う立輝。それを見た静司は提案する。
「…ではこれから1週間でお前が作曲、作詞を全てやれ。一旦、阿久津のやりたい音楽を作れ。」
その提案に立輝は賛成した。
「それ良いじゃないか。それじゃあ俺は家に帰る!」
その発言に皆が驚いた。
「えっ!?立輝!まだライブの日程とか詳しく伝えられていないし、場所もまだだけど…」
「トモ。あのひとに言っても無駄だよ。ホウさんにライブ関連のメッセージを送ってもらおう。」
「………全く彼奴は問題児だな。」
静司はそう呟くが、メンバーが増えた事は嬉しそうだった。
そして立輝の家にて…
〜阿久津家〜
〜立輝の部屋〜
「(…いきなり家に戻ってきたが…どんなテーマで作ればいいかは詳しくは言われなかったな。)」
「(まあでも紀宝がお前のやりたいようにやれって言ってた気がする。)」
「(自分の気持ちに従ってみるか。)」
そして曲を作り始めて数時間後…
「『音に出会った 自分 まだ見ぬ夢へ 向かっていく』」
「『それも怖くない だって 自分が 信じた道だから』
「『地獄のような 日々で 見つけた 希望』」
「『最初は学園が 楽しくなかった』」
「『話は長くつまらない どうしてこんなに 楽しくないの?』」
「『嫌な上の立場の人物 向き合おうともせずに』」
「『ただ 人に文句を言うばかり』」
「『青い春を楽しめと言うけれど…』」
「『それを壊す that guyの』」
「『foolish word』」
「『but 自分の兄が教えてくれた』」
「『この学園は楽しい事もある、と』」
「『君も探して欲しい、と』」
「『その頃から 変わり始めたココロ』」
「『そして出会った 演奏隊 永遠に楽しみたい音楽』」
「『その輝きを 僕も(俺も)続けていきたい』」
歌詞と作曲はある程度出来てきた。
「おおっ!これかなり良い歌詞じゃないか?プロには敵わないけど!」
「そして曲調も良いな!初めてにしてはだが!」
「(加賀谷のも送られてきたけどまあ、アイツらしくはあるな。…最も俺の方がいずれ上手くなりそうだけどな!)」
「(明日、学園に持っていこうっと!)」
そして翌日の放課後…
〜代々木音楽学園 空き教室〜
「来たな。それじゃあそれぞれどんな曲を作ったか、発表しろ。」
「まずは僕からかな?僕は……」
友凪の曲の発表が終わる。
「流石トモ。いつも曲作ってるだけあるね。」
「そうだな。加賀谷は安定しているな。」
「……さて、きみ。阿久津立輝の番だけど…大丈夫?」
「ああ、心配するな。俺、かなり良いものが出来たからな!」
そして立輝は自分の作った曲を聞かせた。
その反応は──
「凄いね、立輝!」
「へえ〜?きみ、中々やるじゃん。初めてにしては、」
「…阿久津、お前は私が思うよりも音楽を気に入っているようだ。」
好評だった。
「な、そうだろ!?俺の音楽ならライブもきっと盛り上がる!」
「残念だったな!加賀谷!お前の歌詞も悪くないが、俺の方がその能力が高いようだな!」
「きみ?トモはそう言う風に見せているだけできみよりも伸び代はあるよ?」
「…衣与君、そんな事ないよ。僕は本当に普通の作詞しか出来ないからね。」
「でもフォローありがとう。」
その一言でメンバーの雰囲気は良くなった。
「ともかく、だ。」
「阿久津の曲、歌詞は良いものだった。記念ライブはこれをベースにしよう。」
「それじゃあこの曲はお前達のファイルに送っておく。ライブの時間まで練習をしろ。」
「私は生徒会の仕事があるからな。申し訳ないが、練習は各自、家等でやってくれ。」
そう言った静司は急いで生徒会室に向かっていった。
「紀宝って、忙しいんだな。」
「そうだね。…それでこれから各自、家に帰る?」
「衣与は家に帰る。トモもきみ…りっきーも帰るよね?」
「ああ。俺も家に帰っておこう。今日はなんだか疲れた。」
「正直、衣与の方が疲れたけどね。」
彼は呆れながら言った。立輝は何だとと感じたが、何処か微笑んでいた。
「……それじゃあ僕は帰るね!お疲れ様!」
「お疲れ様〜それじゃ衣与も帰ろ。」
「ああ、俺も学園を出よう。」
そして現在。
「…平和だな。と言うかお前の作曲とか作詞とかか?凄いなァ?」
「はは。まあ僕の特技ではあるので。」
「(…でもコイツの話だと、その平和が崩れ去って…突然、変わってしまった。)」
「でも....それは突然無くなってしまったんです。」
立輝は表情が暗くなる。
「(…表情が暗くなった。それでも俺はコイツの話を聞くんだ。)」
「それからかなり時間が経って──」
皆さん、こんにちは。小山シホです。さて。 今回は、阿久津立輝の過去です。と言っても、最初らへんは明るいですが、次回からは暗くなります。
果たして彼らはどうなるのでしょうか?
次回予告
順調に進んでいたユニット活動。しかしとあるトラブルが起きてしまう。 そして、ついに立輝は…




