三、続 KiRaと紘斗
「で、どんな子なんだよ! あぁっ。クッソ!」
「だから、俺に勝ったら教えるって。晶楽君。会わない間に、更に弱くなった?」
「うるせ~! リア充のくせに、なんでバトルゲー強いんだよ! あぁ。まただ!」
バトルゲームを始めて、約一時間。
チーム戦をやるのかと思えば、ソロ戦で俺に勝てなかったKiRaの、二人。特に晶楽君が、バトルを挑んできた。
しかし、何回やっても勝てない晶楽君。
観戦している俺の兄貴と水希君は、大爆笑でうるさい。
「代われ、晶楽! 仇は取ってやるからな!」
笑いながら、水希君が晶楽君と代わる。
「これでKiRaの二人をコテンパンにしたら、次のライブチケット、奢ってやるぞ。紘斗」
「マジで良いのか?! 言ったな、兄貴!」
「まぁ、抽選に当たれば。の、話だけどな」
兄貴からの嬉しい戦利品話。
水希君との勝負に勝てば、KiRaのライブに行ける! かもしれない!
***
「あああぁ! 負けたぁ!」
その勝負は、バトルを始めて五分で、決まった。
「それじゃ。約束通り、奢って貰うからな。兄貴」
「わかったよ。しかし、抽選という狭き門が待っているだろ」
「その時は、その時で考える」
そう。勝者は、俺。
隣で悔しがっている水希君は、晶楽君と慰めあっている。
「悠斗~。お前の弟、強すぎなんだけど! なんとかしろよ~!」
「晶楽の言う通りだぞ! なんとかしろ! 悠斗」
「ムリムリ。こいつ、バトルゲーは得意分野だから」
「「なんでだよ~!」」
なんだか、可哀想になってきた。
仕方ないから、もう一戦やってもいいけど、何度やっても同じ結果だろう。
「わかったよ。特別に教えるよ。彼女のこと」
この一言で、表情が一気に変わった二人。
***
「まずは、お名前をお伺いします」
「一ノ瀬紘斗です」
「違う。紘斗じゃなくて、彼女の名前」
KiRaの二人からの、取り調べ。いや、尋問が始まった。
兄貴は、一人でゲームをしている。
「二木和葉ちゃん」
「出会ったきっかけは?」
「二年になってから、同じクラス。学校では俺、チャラ男で、ナンパばかりしてた。和葉ちゃんは俺のことを苦手だったみたいで、話したことがなかった」
「それなのに、付き合うことになったのは、何故?」
「ある日の放課後、俺がひとりで教室にいたんだよ」
「あー、いるよな。放課後の教室で、黄昏てる奴」
「紘斗もその口か」
静かに聞いてくれませんかね!? せっかく、話しているんだけど!
「続けていい?」
「「どうぞ」」
ふざける気を漂わせているから、俺は戦意喪失。
もう、話すのやめよう。