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薄幸少女の終活  作者: 夕暮れ
高校編
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起きるけど

「ハロ〜ねえ起きてよ[シキ]。あなたが起きないと何も始まらないよ?」


 誰?私の名前を呼んでるのって誰?それにこの声ってどこかで聞いたことがあるような気がするけど、少なくとも今の私の近くにいる人の声じゃない。


「いつまで引きこもってるの?そこにいていいのは私。あなたがそこにいてはいけないよ。あなたは表の世界で生きる人だから。裏の世界にいていいのは私。だから早く目を覚まして」


 どういうこと?私がいていい場所じゃないの?こんなに居心地がいいのに?


「居心地がいいのはここはあなたの心の中だから。でもあなたは外に出ないといけない」


 なんで?私だってこっちにいてもいいじゃない。ここはいいね。何も感じないし何も聞こえない。もうあの苦しみを受けなくていいって思ったら、なんだかここから出たくないな。


「ダメだよあなたはそれとちゃんと向き合わないといけないよ。向き合ったうえで乗り越えないといけない」


 これを経験したのは私じゃないよ。でもねよく夢で見るの。まるで私が本当にされてるんじゃないかって思うくらいリアルに感じるんだよ。他人ごとなのに他人ごとのように思えないの。それが辛い。受け入れようにも受け入れられないのが辛いの。


「たしかにあなたはそれを夢でしか経験してない。でもねそれでもあなたは前に出なくちゃいけない。怖いかもしれない。記憶にないのにそれをリアルに見るってことは本当に辛いと思う。でもね、それを経験してるのはあなただけじゃない」


 どういうこと?


「知ってる?シィーちゃんはあなたがシィーちゃんを受け入れるまで毎晩1人で泣いてたのよ。お姉ちゃんごめんなさい。私が悪いの。私が弱いからお姉ちゃんをこんな目にあわせるんだ。ごめんねお姉ちゃん。ってずっと泣いてたんだよ。それに知ってる?あなたが慰み者になる前に見つけてくれたのはシィーちゃんだよ。それにあなたが自殺を図った後病室で意識の戻らないあなたをずっっと心配してた。面会時間ギリギリまでずっっっっとあなたの手を握ってた。あなたが起きてからは1日たりともあなたから目をそらしていない。今度こそあなたを守るために」


 そうなんだ。シィーちゃんごめんね。そんなに迷惑かけて。


「お姉ちゃんだってそう。 あなたが傷ついていたことに気付いてあげられなかった。自殺するまで追い込まれてたことに気付かなかった自分を責めてた。お姉ちゃんは自分は泣く資格がないって言って一度も泣かなかった。それぐらい自分に対してお姉ちゃんは絶望してるんだよ。今はあなたが起きたから良くなったけど、もしあなたが起きなかったらどうなったか分かる?お姉ちゃんは自分を責め続けて、最悪死んだ方がマシっていうくらいのことを自分にするかもしれなかったんだよ」


 そんな.........お姉ちゃんは悪くないのになんで?私が死んじゃったとしても私のせいだから気にしなくてもいいのに。


「ねえそれ本気で言ってる?本気で言ってるならあなたってアホでバカなんだね」


 なによいきなり!別に私はアホでもなければバカでもありません!!


「ふーんどの口が言ってるのかな?..........いい?あなたは愛されてるの。家族からものすっごくね。で、愛する人が死んだらどう?悲しいでしょ。悲しくて寂しくてどうにかなりそうでしょ。それが病気ならまだいいかもね。諦められるから。でもね事故とか自殺なら『あの時こうすればよかった』っていう後悔がでるよね。シィーちゃんとお姉ちゃんはまさにそう。あなたが自殺したのは、自殺するまで追い込まれてたのにそれに気付かなかった自分が情けないから。独りで逝かすのは嫌だから。悲しくて寂しくて虚しくて..........そんな気持ちが今も溢れてるんだよ。だからあなたがさっき言ったことは最低なことなんだよ」


 そうなんだ.............。ごめんねお姉ちゃん、シィーちゃん。私気付かなかったよ。私も2人のこと大好きだよ。だからもし2人が傷ついたらって考えたら多分私も同じことするんじゃないかな?それだけ私にとって2人はかけがいのない存在だよ。


「よし!そこまで気付いたなら大丈夫そうだね。...............じゃあもう一回聞くね?あなたは表に出ますか?それとも一生ここで引きこもりますか?」


 表に出るよ。ここじゃ2人には絶対に会うことができないから。やっぱり私にとっての1番は家族だから。


 もう迷わない。私は私。過去になんか縛られない。あんな夢見たとしてもなんとも思わないようにしないと。それが怖くても克服しなきゃ。


 それがシィーちゃんとお姉ちゃんに対するお返しになるから。


「よし!じゃあいくよ!!


 その瞬間私の視界は真っ白に包まれた。軽い浮遊感があるから本当に表に出てるんだろうな。


 遠くから声が聞こえる。「頑張れ。もうあなたは独りじゃない。家族がいる。友達がいる。だから今度こそ幸せになってね」


 多分さっきまで話してた「私」が言ったんだろうね。


 ありがとう。勇気をもらったよ。これからもあっちで頑張るから見守ってててね♪

補足です。[シキ]は今の人格。『シキ』はまえの人格を表します。

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