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薄幸少女の終活  作者: 夕暮れ
病院編
15/47

幕間 メリークリスマス!!

前作を読んでくださった皆様、そしてブクマしてくださった方々ありがとうございます。クリスマスということで、シキ達にもクリスマスを過ごしてもらいました。

「メリークリスマス!!女の子なサンタさんだよ!!今年もいーーーっぱいプレゼント持ってきたからみんな喧嘩しないでね!!」


「「「はーい!!」」」


 ううぅぅテンション高めで千夏さんが話してて、それに合わせて動きを加えているけどけど恥ずかしいよぉ〜。こんな格好して、ちっちゃい子達にプレゼントあげるなんて.........。


 え?なんで私がサンタさんしてるかって?聞いてよ!!いきなり千夏さんに頼まれたんだよ!!........千夏さんのお願いだから断りづらくて、受けちゃった.........うぅぅちょっと後悔中。ちっちゃい子達とふれあえるのは楽しいけど、格好が恥ずかしい!!!


 なんで私がサンタの格好をするかっていったらそれは今日の朝まで遡るの。



 ――――――――――――――――――――――――



 今日もいつも通りの時間に起きて、朝ごはんを食べて、ゆっくりしていたら千夏さんがやってきた。


「ねぇシキちゃん今日元気?」


『?まぁはい。いつも通りだけどどうしたの?』


「えっとねお願いがあるんだけど聞いてもらえない?」


 いつになく真剣な表情だなぁ。私にできることなら手伝いたいけど、私できることって限られてるからなぁ。


「今日ねうちに入院してるちっちゃい子達に向けての軽いクリスマスパーティをしようと思うの。パーティって言ってもプレゼント渡して、少しお話するくらいだから、そんなに身体に負担かけないから大丈夫なんだけどね。それでね普段だったらサンタ役を看護師の誰かがやることになるんだけど、シキちゃんやってくれない?」


『え!?なんで私なの!?他にも人いっぱいいるんじゃないの?』


「それがね、いるにはいるんだけどシキちゃんにサンタの服が似合いそうっていうのと、少しでも知らない人と話した方がいいかなって私思ったの。だってシキちゃん高校に行くんでしょ?だったらその練習だと思ってさ、いろんな人と話して他人に慣れればいいじゃんって思ったからお願い!!」


『確かにそうだけど.........でもサンタさんの格好するのは恥ずかしいよ。それに私話せないから無理だよ』


「大丈夫。私がとなりにいるから話さなくても大丈夫。シキちゃんはニコニコしながら子供達にプレゼントあげればいいだけだから」


『でも.........ううんいいよ。私やってみる』


「本当!?ありがとう!!さすがシキちゃん!!」


『でねどんな衣装なの?』


「これだよ」


 千夏さんが取り出してきたのは、スカートタイプのサンタ服だった。スカートはふわふわしてて、裾には白のモコモコしたものがついてる。ノースリーブワンピースにポンチョを羽織ったやつだから全体的にふわふわしてて可愛い。でもポンチョタイプっていっても、胸の下あたりまでしかないから、腰がスマートに見えるからそこもいいポイントだなぁ。


 .........ってこれ着るの!?無理無理絶対無理!!!こんなの恥ずかしいよ!!それに少しスカート短くない!?これじゃ見えちゃうよ!!子供達でも見られるのは恥ずかしい!!


『ちょ、ちょっと千夏さん!!さすがにこれは無理だって!!スカート丈短いし、それに恥ずかしいよ!!』


「え〜シキちゃんなら可愛く着れるのにな〜。それにスカートの下にショートパンツ履けば見えないから大丈夫!」


『たしかにそうだけど、でもそういう問題じゃないの!!もうちょっとシックなのなかったの!?』


「あったけど、せっかくシキちゃんが着るなら可愛いものじゃないとね」


『もう........私やっぱりやめようかな?こんなの着たくない』


「えぇぇぇ!?お願いシキちゃん!!」


『だってこんなの着たくないもん』


「サンタさんがいないと子供達が悲しんじゃうからお願い!!!それにシキちゃんのお願い1つならなんでも聞いてあげるからお願い!!」


『うっ.............もう今回だけですよ。子供達には笑顔でいてほしいですもんね』


「ほんと!?ありがとうシキちゃん!!」


『でも!!ちゃんと私のお願い叶えてくださいね』


「もちろん!!私に叶えられる範囲ならね」


『じゃあそれ貸してください』


「え?まだ着替えるには早いよ?」


『だってこんなの着たことないから慣れないといけないらですよ』


「そうだね.........慣れてた方が楽そうだもんね。じゃあはいどうぞ」


 そう言って千夏さんは服を渡してくれる。はぁ、本当は着たくないけど、入院してる子供達のためだったら少しくらいは恥ずかしい思いしてもいいかな?少しでも今日のクリスマスを楽しんでほしいから


「ありがとう」



 ――――――――――――――――――――――――



 それから子供達を集めてプレゼントを渡し始めたの。


 みんな入院してるせいなのかな?表情が暗かったけど、サンタさんの格好をした私と、いつもの格好の千夏さんを見たらパアァって花が咲いたように笑ってくれたの!


 1人1人にプレゼントを渡していく。本当は子供達とおしゃべりしたいけど、私は声が出せないから代わりに千夏さんが話してくれる。


「ねえね?なんでサンタさん女の子なの?」


「ん?それはねここに来てくれたのがたまたま女の子のサンタさんだからだよ。サンタさんにもいろんな人がいるからねぇ」


「サンタさん!トナカイさんはどこ?」


「トナカイさんはねちゃんといるよ。でもねここに連れてきたら危ないから違うところにいるの」


「なんで?」


「だってトナカイさんはは大きいでしょ?それがたくさんいたらどうなると思う?」


「んーとね。お部屋が狭くなる?」


「そうだね。お部屋が狭くなるね。そしたらみんなが怪我しちゃうかもしれないから、トナカイさんはきてないの」


「んーそうなんだ」


 なんかさっきから千夏さんすごく喋ってるなぁ。しかもちょっと慣れてる?.........あれ?これってもしかしたら、本当は千夏さんがサンタさん役する予定だったけど、こんな格好するのが嫌だから私に押し付けた?


 違うよね?違うって言ってよね千夏さん。でも、もし本当だったら覚悟しといてね!!お願いの時遠慮なんかしないよ!!!


 全員にプレゼントを渡し終えたら、子供達はプレゼント開けて喜んでる。


 良かった。みんな笑顔になってくれて。


 すると私達の所に何人ものお母さん達がやってくる。


「あの、今日は本当にありがとうございました」


「久しぶりにこんなに笑ってくれたわね」


「せめて病室でそれっぽいことしようとしたけど、ここまでやってくれるなんて感謝しかありません」


 全員からお礼を言われるけど、私病院の関係者じゃなくて、ただの入院患者ですからお礼なら千夏さんに言ってください。でも、私は声が出せないから、そのことも伝えられてないし、返事も伝えられない。無視するのは失礼だって分かってるけど、私にはどうしようもない。


 オロオロしながら、千夏さんを見ると分かってるって言いたげな目をされた。


「いえ、たとえ病院の中とはいえど今日はクリスマスですから。1人でも多くの子供達には笑顔になってほしいですから、感謝されるようなことではありません。むしろいつも治療のためとはいえ、子供達には辛い思いをさせてしまっているので、今日ぐらいはさせてください」


「本当にありがとうございます!!.........ところで隣にいる人は?看護師というには若すぎる気がしますが........」


「紹介が遅れて申し訳ございません。彼女の名前は翠宮シキと言います。彼女は今回のイベントの助っ人です」


「まぁそれはまた。あなたもありがとね」


 感謝を言われても私には返す方法がないよぉ。とにかく頭を下げとけばいいかな?


 ペコリと礼をしておく。ごめんなさい。私話せないからこれぐらいしかできないんです。


 怪訝そうな顔をされたから、どうにか説明したいけど私じゃ無理だから説明できないよぉ。


「ごめんなさい。できれば言いたくはありませんでしたが彼女、シキさんも同じくここに入院している患者さんです。彼女は現在も精神的に不安定で、過去のトラウマのせいで、未だに会話ができない状態です。それでも今日彼女は勇気を振り絞って私と一緒に立ってくれました。彼女も返事をしたいと思っているでしょうが、声を出すことができないので許してください」


 そう言って千夏さんも頭を下げる。ごめんなさい千夏さん。千夏さんが謝る必要なんてないのに。


「それはごめんなさい。シキさんでしたっけ?あなたも大変な目にあったのでしょう?詳しくは聞かないけど、それでもトラウマができるほど追い詰められるなんて..........。本当にかわいそうに。まだこんなに若くて可愛いのに.........」


 大丈夫ですよ。私は今ちゃんと生きてます。過去に何があっても今を大切に生きることが今の私にとっての幸せですから大丈夫です。少し怖い思いもするけど、トラウマだっていつかは克服できるから、私そんなに深刻に考えてなんかないですよ。


 それから千夏さんがもう少し保護者さん達と話をしてから、今回のイベントは終わりを迎えようとしていたの。


 最初は笑顔もなくて、退屈そうな顔をしていた子供達だったけど、今じゃみんな笑顔ではしゃいでいるから、こんな顔を見れて私は嬉しい。恥ずかしい思いはしたけど、それ以上に心が満たされた。


 私は笑顔で手を振りながらその場を後にする。もちろん千夏さんも一緒。


 私はもうサンタさんのお世話になるような歳じゃない。だって私はもう子供というには大きいし、大人というには少し幼い年齢だけど、今年のクリスマスはお願いしてみる。


 多分心優しいサンタさんなら私みたいな人のお願いも叶えてくれるから。


 今日は聖なるクリスマス。どうかあの子達の病気が治りますように。


 それが私のサンタさんへのお願い。


次回以降前書きは無くそうと思います。それでは25日のクリスマスを家族や友人、恋人などと楽しくお過ごし下さい。

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