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プレゼント

【WILL】にはいってから数か月がたった。

メンバーとも仲良くなり、活動もいい方向に進んでいた。

バンドの方針みたいなもので、リーダーは決めないようにしてるみたい。

でも実質仕切っているのは心だった。

みんなもそれで納得とゆうか、満足そうだった。



「じゃあ今日の練習はここまで」


『うぃーッス!!お疲れぇ!』


みんなでジュースやお菓子を食べながらいろんな話をする。練習も大事だけど、この時間も僕はすごく好きだったんだ。

高校や大学でのことを思い出していた。




「そういえばライブの日きまったんだって??」


メンバーの一人が言う。


「そうだった。今から二週間後にやることになったんだよ」


『おぉ!』


『久しぶりじゃん!よっしゃ!やったるでぇ!』


「ねぇ?心ライブって?」

「あぁ小さいライブだけど、やらせてもらえることになったんだ」


「すごいねぇ!やったじゃん!」


「年にちょくちょくしかないから、みんなその一日一日に懸けてるんだよ。小さいライブだけど業界の人とか見にきてるかもしれないからな」


「そうなんだ。じゃあ頑張らなきゃだね!僕もサポートするよ!」


「あぁ。曲数は全部で3曲。最初の2曲はオレらの作った曲で、ラストは光の作詞とオレが作曲したやつでいこうと思う」


「……えぇっ!!人に聞いてもらうの!?」


「そうだ。前に言ったろ?なかなか好評だったって?」



「いやそうだけど…」


「それはメンバーに了承済みだ。あとは…光ちょっとこの曲みんなで演奏するから、歌ってみてくれよ」


「はぁ!?僕が歌うの!?」


「あぁ。この前カラオケでお前の歌聞いたとき、これだって思ったんだ」


「無理だよ!恥ずかしいし、そんなの!」


「大丈夫だよ。無理そうだったら、曲は変えないけどオレが歌うから。試しにみんなの前で歌ってみなよ」


「うん…わかった。それなら…」




みんなそれぞれ配置につき、準備が整う。


「じゃあいくぞ」


「えっ!ちょっと待って!」


僕は大きく深呼吸をした。


「…うん。いいよ」


演奏が始まった。

この曲は僕が心の家に行ったとき、初めて聞かせてくれた曲だった。

覚えててくれたのか分からないけど、これを選んでくれたのがすごく嬉しかった。

そのおかげか、リラックスして歌うことが出来た。


「どうだ?みんな!!」


『う、うん。すげぇうまいよ』


『あぁ。。心よりうまいかもな』


「だろう!?やっぱ光はうまいんだよ!そこらのやつじゃ足元にも及ばない!」


「そうかなぁ?」

みんなの言葉を聞いて、なんだか自信がついたような気がした。

でもやっぱり恥ずかしい。

その恥ずかしさのせいでメンバーの様子に気付けない僕がいたんだ。

この時からすでに亀裂が生じていることを僕はまだ知らなかった…


「じゃあ予定どおりラストは光でいこう!」


「えぇっ!?無理だよ!」

「大丈夫だよ。今だって歌えたじゃん!」


「今は人少なかったからだよ…」


「あとはその場の雰囲気でなんとかなるって!はい、決まり!」


こうして半ば強引にラストを歌うことになった。



家に戻り、僕は夕飯の支度をしていた。

心は帰りに何か食っていこうって言ったけど、あんまりお金がないから家で食べることにした。



「なぁ、光?」


「なぁに?」


「お前ギターやんないか?」


「えっ?ギター?だってメンバーにできる人いるじゃん」


「いやそれはそれだよ。家にいるとき二人でひけたら楽しいじゃん!」


「まぁ確かに…」


「だろ?じゃあ明日オレ休みだから買いにいこう!」


「気が早いなぁ」


「善は急げって言うだろ?」


「でも僕あんまり貯金残ってないよ。それにバイトも決まってないし」


そうなんだ。もうバイトやめて結構経つのに心に甘えてバイトをやらず家事ばっかりやってる。


「オレ給料はいったばっかだし、安いやつだけど買ってやれるからさ」


「もったいないからいいって」


「もったいなくないよ。オレも光ができるようになれば嬉しいしさ!それに光に何か買ってあげたことなかったからプレゼントだと思ってくれればいいから」


「うん…。わかった。じゃあ明日行こう」


「よし!決まり!」




次の日僕らは電車に乗って心がよく行ってる楽器屋に来た。

顔馴染みらしく、そこの店長とは気が合うらしい。


「ちわーッス!」


「おっ!来たな!くそガキ!」


くそガキ…?

いきなりなんだこの親父は!?


「ギター買いに来たんだよ。くそ親父!」



なるほど。この二人の会話はこれが普通なのか。


「ギターって…お前のギター壊れたのか?」


「違う違う!こいつのだ!」

心は僕の方を見る。


「ほう。そっちの小僧のか」


小僧って…。

この親父は初対面でそれかい!


「小僧、経験は?」


「いえ、初めてです…」


「そうか。じゃあこれなんかどうだ?」


「あっ、はい。ねぇ?心?僕わかんないよ」


「そうだよな。いきなりどうだって言われてもわかんねぇよな。じゃあオレが選んでやるよ」


「うん。よろしく」



こうしてギターも決まり僕は自分のギターを手に入れた。

心からもらった初めてのプレゼント。

大事に…大事にしなきゃ。


それからは歌、歌、歌の日々だった。メンバーとは練習をして、家に帰ると心にギターを教えてもらう。

最初は全然できなかったけど、心は嫌な顔ひとつせず教えてくれた。


なんだかんだで2週間はあっという間に過ぎてしまい、ライブ当日を迎えた。

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