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決心

「歌…?」


「あぁ」

「いきなりそんな…」

「すぐ返事を期待してるわけじゃない。ただお前の書いた詩とオレが曲をつけたやつあっただろ?あれをメンバーに聞かせたら、かなり好評でな」

「そうなの?」

「あぁ、だから作詞とマネージャーみたいな感じでオレらのバンドにはいってくれないかなって思ってさ」


予想もしなかった突然の誘い。

僕がバンドの為に作詞?


「考えといてくれよ。オレは寝るから」

「僕もとりあえず今日は寝るよ」


ベッドの中で色々考えていた。学校のこともある。家のこともある。


僕にそんな大役が務まるのかな?そんなことを考えつつ目をつむった。



それから何日か経ち、心のバンドのメンバーと顔をあわせることになった。


バンド名は【WILL】

別に深い意味はなく、メンバーの一人が響きがいいからとなんとなく決めたらしい。

メンバーは心をいれて、4人。ギター兼ボーカルの心、その他に、もう一人のギター、ベース、ドラムだ。

その日の練習を終え、みんなで話をする。

聞けばみんな大学中退やら、高校行ってないとかそんな感じだった。

心も高校を卒業して、なんだかんだでこのバンドにはいったらしい。


みんな色々あるんだぁって思った。

でも確かなことはホントに音楽が好きなこと。

それだけはすごく伝わってきたんだ。

僕はそれを見て、いろんな意味で決心を固めた。


次の日、僕は家に足を運んだ。

全然連絡をいれてなかったから怒られるかもしれない。

それでも構わなかった。


ドアを開け、リビングに行くと両親ともテーブルについて食事をしていた。


「光…」

父親がまっさきに僕の姿に気が付く。

「光!どこにいってたの?連絡もしないで!心配したのよ?」


僕はこの時、凄まじいほどの疎外感を感じた。

以前とは僕を見る目がまるで違う。

なんていうか、よそよそしいようなそんな感じがした。

あぁ、もう昔みたいに笑ったりとかできないんだ。

戻ることなんてできないんだ。

そう思った瞬間だった。


だからといって、子供を心配しない親がいるはずがない。

でもここで僕が親元に帰ると、またいつどこで崩れるかわからない。。

もうここには帰れない。

僕は決心したことを行動にうつす。


「心配??ケータイに着信もメールもいれないで?」

これは事実。

たぶん親もいきなりのことで混乱し、僕と何を話していいかわからなかったと思う。


「いや、それは…」


「僕、家でるね。大学もやめるから。手続きとかもあるから、ちょくちょくは顔だすけど、そのつもりでいて」

僕はそれだけ言うと玄関へ向かった。


「ちょっと待ちなさい光!!あの時は私たちも気が動転していて…」


「もう決めたことだから」


そして家を出た。


これが今僕にできる唯一の親孝行だ。

この家にいるとまた家族を壊しかねない…


僕は…いないほうがいいんだ。

心の部屋に戻り、これからのことを考えた。

バイト変えなきゃだめかなぁ…


あのことがあってから、みんなの視線は痛いくらい僕に集中してる。

やりにくさは日に日に増してる感じだ。


とりあえず由樹に言わなきゃ。

僕はメールを送り、会う約束をした。



「ホントにやめちゃうの?」

「うん。やっぱりやりにくいことは確かだし」

「私はやめてほしくないけど、でも光が決めたことならしょうがないよね…」


「そんな顔しないでよ。会えなくなるわけじゃないんだからさ!」

「うん…。そうだよね!」


「とりあえず新しいバイトさがさなきゃな…」



由樹と別れ、部屋に戻ると心が帰ってきてた。


「おかえり。どこ行ってたんだ?」


心に今までのことを話した。


「そっか。ずいぶん思い切ったことしたもんだな」


「うん。自分でも驚いてる。でも後悔はしてない」

「それならいい。まぁ住む場所はここで問題ないけど、バイト先は自分で見つけろよな」

「うん。わかってる」


「じゃあ気晴らしにカラオケでもいくか?!」

「カラオケかぁ…久しぶりだなぁ!いくぅ!」

「よし!」



駅前のカラオケボックス。久しぶりだから何歌おうか迷っちゃうなぁ。


「先いれるぞ」

「うん」

相変わらずうまいなぁ。

なんていうか安らぐ歌声って感じだなぁ。。



「次、光だぞ」

「う、うん」


うまい人のあとに歌うのってきんちょうするんだよね…

あぁ、恥ずかしい!

いきなり音はずした!

この歌好きなのにぃ!


でもだんだん調子でてきたぁ!



とかやってるうちに終わっちゃった。。

あれっ?次の曲が入ってない…

やばい…あんまり下手すぎてショックうけたとか!?

恐る恐る心の方を見ると、なんともすごい顔で僕を見ていた。

あぁ!やっぱ下手すぎてびっくりしてんだ!


「心…ごめんね。下手すぎて言葉もないよね…?」



するといきなり心は僕に抱きついてきた!


「えっ!!何なに?!」

「何が下手だよ!!逆だよ逆!お前うますぎだよ!オレの周りでこんなにうまいやついねぇよ!」

「またまたぁ…うそでしょ?」

「いやマジで!!…これならいけるかもな…」

「えっ?なんか言った?」

「ううん!次これ歌ってよ!」

「う、うん」


そんな調子で心のバイトの時間まで二人で歌いまくった。

僕そんなにうまかったかなぁ…?

悪い気はしないけど!




でもまだ二人とも知らなかったんだ。

このことがきっかけで起きる事を…

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