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はじめに

常世の国物語が始まります。

 常の世と書いて常世とこよと読む。現代では、常にある世の中と解釈されそうだが、古代の人はそうではなかった。頭で描いた理想の世の中と解釈していたようです。その常世の国とは、不老不死の妙薬が存在し、海の彼方にある国。中国の秦の始皇帝と徐福の話に出てくる国のことです。常世という言葉は、中国の道教の神仙思想からきています。その思想では、現世の反対語として使われ、死後の世界とか現実にはない世界を常世と言いました。その中国の思想が、古代の日本に入って、常に住むことができる不変の国と古代人が考え、理想の国と解釈しました。それが死後の世界なのか、現在で言われるユートピアの世界なのか。その古代人が思い描いた世界を常世とします。この常世を扱った歌集としては、奈良時代に高橋虫麻呂という詩人がいました。その人物が『万葉集』の巻9-1741の歌「常世辺に住むべきものを剣大刀己が心からおそやこの君」を読み上げました。現代の言葉にすると、「永遠の世に住むはずであったものを 他でもない剣刀 そなたの心によって空しくなってしまった 愚かなことよ この君は」となります。この高橋虫麻呂は、物部氏から分かれた高橋氏の出身で天平時代に常陸国に地方官として着任し、『常陸国風土記』の編纂に参加したとも言われています。

 常陸国ひたちのくには、常世の「常」の一字を取った陸地の国といった名称で大化の改新以後に名付けられた国名で、その当時の朝廷によって名付けられました。大化の改新以前、常陸国は日高見国ひたかみのくにと言われて、この常陸国が日本で一番東にあって、最初に朝日が上がる土地だったからです。常世の国物語は、4世紀のヤマト王権下での常陸国を舞台にした物語です。そして、物語の出来事は、ヤマト王権の朝廷から送られた地方官と地元でのやり取りを、時代背景は崇神天皇から倭の五王とします。よく言われている「失われた4世紀の時代」を背景にしています。

 晋が316年に滅亡して、中国の北部では五胡十六国時代が始まり、晋国の武帝(司馬炎)の子孫で、中国の南部に司馬睿が東晋を317年に建国し、そして420年に滅亡し、中国の南北朝時代がはじまるまで。日本と中国の交渉が絶たれた時代です。そのため、中国の歴史書には日本のことが記載されていません。そのため、日本では何が起こったか明白な事実がないのです。その間、奈良時代に編纂された『古事記』や『日本書紀』に記載されているその当時の出来事を探るしかありません。これらの記紀が変色され、記載されているので、本質を掴めないのが正直なところです。そのため、『常世の国物語』では架空の物語を作ることにしました。

 東晋の詩人、陶淵明の著書『桃果源記』で武陵の漁師が桃の花の林に迷いました。その村を常世の国としました。その村は、現実の世界とはかけ離れた平和で豊かな村で、もう一度行こうとしても果たせなかった夢物語の土地です。桃源郷と言って、理想郷のことです。常世の国もヤマト王権の朝廷が地方官に派遣された主人公達は、常陸国を理想の国にしようと考えました。その人達が考えた理想の国をこの物語で描きたいと思っています。


この物語は、ヤマト王権が関東平野を支配するために派遣した人々の物語です。

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