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Snow flakes   作者: 山吹 ことり
うさぎ編

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153/158

幕間|戻る場所

 スタジオの床に、

 段ボールが並ぶ。


 開封済みの箱。

 まだ閉じたままの箱。


 同じロゴが、

 何度も目に入る。


「……数、合ってる?」


 ハヤテがチェック表を見ながら言う。


「多分な」


 ヒナタは、

 中身を一つずつ取り出して、

 また戻す。


 Tシャツ。

 タオル。

 CD。


 ビニールの擦れる音だけが、

 途切れず続く。


「これさ」


 ハヤテが一枚持ち上げる。


「一枚持ってく?」


「誰に」


 コウタが言う。


 少し間。


「……思いつかん」


「じゃあ家に置くか」


「邪魔じゃない?」


「実家送る?」


「絶対困る」


 くだらないやり取り。


 ヒナタは、

 自分の名前が入ったグッズを一瞬だけ見て、

 何も言わず、

 箱に戻す。


 コウタは、

 CDケースを一つ開ける。


 ランダムフォト。


「……あ」


「誰?」


 ハヤテが覗き込む。


「ハヤテ」


「当たりじゃん」


「推し?」

 

「違う」


 笑いが起きて、

 すぐに止む。


 作業は続く。


 夜になる頃には、

 箱の山は半分になっていた。


「今日さ」


 機材を片付けながら、

 ハヤテが、いつもの調子で言う。


「帰ったら、ちゃんと飯あるんだよ」


「当たり前みたいに言うな」


 ヒナタが返す。


「当たり前じゃなかった時期もあるからさ」


 ハヤテは肩をすくめる。


「誰かが待ってるとか、

 大げさな話じゃなくて」


 一瞬、手を止める。


「ちゃんと、戻る場所があるって感じ」


 コウタがちらっと見る。


「それ、幸せじゃん」


「……そうだな」


 照れたみたいに笑って、

 また手を動かす。


「前はさ、

 楽しい瞬間が全部だったけど」


「今は?」


「楽しいのが、

 続いてる感じ」


 言葉にしてみて、

 少し驚いた顔をする。


「俺、今、結構幸せだわ」


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