兄妹
「いったい今何時だと思ってんの!」
家に帰るなり玄関先で妹の涼子に雷をおとされた。
怒り心頭といった面持ちで睨まれてしまった。
こいつはなんで玄関に居るんだ?まさかここで帰りの遅い俺を待っていたのか?
別に部屋で待っていても変わらんだろうに、2DKなんだし玄関開けたら即台所だぞ。
そんなに腹が減ってるのか?春とはいえこの時間にもなればまだ寒いだろうに。
たまには自分で作ってみろ、俺は食わないが。
「なによ、その失礼なことを考えてる顔は。」
どんな顔だよ、適当言うな。
まあ当たってるけどさ、勘の良い奴め。
「心配掛けてすまないな、ちょとしたゴタゴタがあってな、すぐに飯の支度するからちょっとだけ辛抱してくれ。 という顔だよ。」
言いながら玄関から中に入る。
「嘘ばっか、そんな顔してないじゃない。 それと別に心配なんかしてないわよ!馬ッ鹿じゃないの?バーカバーカ。」
クッ、ム、ムカつく。
いや待て、そんな複雑な顔わかんのかお前は。
それにしても心配くらいしてくれてもいいだろ、なんせ死にかけたんだから。
「兄ちゃーん、帰って来たの?早くごはーん。」
「おお、スマンな蓮璽。」
奥の部屋から襖を開けてでてきたのは弟の蓮璽だ。
「今すぐ支度するからな!」
「俺もう腹ペコだよー。」
「全くよもう、可愛い妹たちを飢えさせる気なの?」
「お前は一食抜く位ダイエットに丁度いいだろ。」
まあ必要性は感じないが、たんなる軽口のつもりだ。
カチーンという音が聞こえた気がした。
「マジで最ってー!馬ッ鹿じゃないの!私太ってないもん!」
若干涙目だ、そんなに怒らんでも…ウソデスヨリョーコさーん。
「もう知らない!ご飯もいらない!」
そう言って涼子は奥の部屋に入っていってしまった。
ただの軽い冗談なのに情緒不安定な奴だ、年頃か?
「あーあ、兄ちゃんは馬鹿だなぁ。」
むっ、蓮璽、お前まで言うか。
「ちゃんと謝っときなよ、それよか早くごはーん。」
「ああ、分かったよ。」
仕方ない、悪気があったわけじゃないんだが、なんか軽いもんでも作って謝っとくか。
蓮璽に晩飯を渡してからすぐに涼子のもとに向かう。
「おーい涼子ー、開けるぞー。」
「ちょ、まっ、」
どうやら着替えの最中だったようだ。
「さっきは悪かった、ほんの冗談のつもりでな。」
何やらパジャマで身体を隠しながらプルプルしている、何だ?
「うん、こうして見る限りダイエットの必要は無さそうだな、軽い飯を作ったから気にせず食べっ!?」
顔面になにかがぶつかった、枕か?
「もーっ!信じらんない!馬鹿なの?死ぬの?いやもうほんと死んで!このスケベエロ変態!」
「変態とはなんだ変態とは!ちょっと着替えを見ちゃっただけだろ、いつものことだろが。」
「もー、死ねー!」
やれやれという蓮璽の声が聞こえた。




