突然の告白
暖かくなって来たとは言え、夕方にもなるとやはりまだ肌寒い。
部活を終えて、本多のケツをバットで引っ叩いてから俺は帰途についた。
電車で4駅歩くこと15分、我が家であるアパートが見えてきた。
腕時計を見ると、時間は午後7時ちょっと前。
いつもの事ながら、これから晩飯の支度をするのは少々遅い気もするが仕方ない。
妹や弟もお腹をすかして待っていることだろうが、いい加減小学生の弟はともかく、
二つ下の妹には料理を覚えてもらいたいものだ。
と、視線を前に戻すと、すぐ目の前に美少女がいた。
誰あろう、見間違えることも無い転校生の三神さんだ。
え?なぜここに?いやいつの間に?
直前までは誰もいなかったはずだ。
それが、ちょっと時計を見ている間に急に人が現れるなどという事があるだろうか?
しかも世を絶したかの如くの美少女であるところの三神さんが…いや無いな、これはあれだ、本日2度目の幻覚だな。
俺はそんなにイカれちまっていたのか。
まあ、幻覚でもなんでもいいや、いいもんが見れた眼福眼福。
せっかくだから消えるまで眺めているとしよう。
………いや、存在感あり過ぎだろ。
これを幻覚とするにはやはり無理がある。
「藤正…藤太君」
シャベッタァァァァァァ。
やはり幻覚などではない、しかしでは何故?何故にフルネーム?いやそうではなく…
「突然でビックリさせちゃったかも知れないけど…」
ビックリさせちゃった、で済む話ではないよな。
もちろんビックリしたけど。
「ふんふんふん、なるほどー。」
一体何がなるほどなのか、俺を凝視する超人的な究極美少女三神さん。
「かなり身体は鍛えてるようね、それに知能も相当で手先も器用……」
見ただけで俺の何が分かるというのか、大天使いやさ熾天使三神さんレベルの美少女にはなんでもお見通しなのだろうか、そうなのだろうか?
「うん、合格!」
どうやら何かに合格したようだ、なんか嬉しい。
「単刀直入言うわね。」
私と付き合って、とかいう幻聴が聞こえた気がした(意味不明)。
いやこれは願望…というか妄想だな。
事実彼女の口からはそんな甘ったるい言葉は出てこなかった。
「死んでもらってもいいですか?」
次話投稿確認です。