(31)歪んだ愛情
今回は、前回の続きでクラインの暴走です。
リヒト君がクラインにキレてます。
では、本編をお楽しみ下さい。
クラインの逃亡により、王宮は騒然としていた。
元とはいえ、警備責任者だった男が逃亡した上、ヴァンパイアに身を落としている可能があるのだから当然だな。
俺もアイリスとクロトを連れてクラインの探索をする。
MAPをフル活用してクラインを探す。
「見つからないね」
「一つ手がある。クラインは、俺とアイリスを狙ってる筈だ。俺達が囮になる。そうすれば、奴を捉えることができるだろう」
俺のこの提案を受け、中庭に俺とアイリスが囮で立つ。
「リヒト様」
アイリスが不安げな目で俺を見上げる。
「大丈夫、君は俺が守るから」
俺の言葉に笑顔で頷き返すアイリス。
俺達が二人で話していると背後に人の気配を感じ振り返るとクラインが立っていた。
「貴様!アイリス様から離れろ!アイリス様、今その人間からお救いします。そして永遠の時を共に生きましょう」
自分やがりな歪んだ愛情をアイリスに押し付けるクライン。
「ふざけるな!そんなの愛情じゃない!ただの押しつけじゃないか?それにアイリスは俺の恋人だ。お前に渡した覚えはない!アイリスが愛してるのはお前じゃない!俺だ!アイリスへの思いなら誰にも負けない!お前なんかに渡すか!!」
俺が一括すると、顔を真っ赤にしてキレ始めるクライン。
「黙れ!人間!アイリス様は私のものなのだ!お前にこそ渡すものか!」
「パーン!」
乾いた音が響く。
アイリスが怒りの顔でクラインの頬を力一杯叩いた音だった。
「ふざけないで!私が愛してるのはリヒト様ただ一人!あなたではないわ!本気で私が愛したのはこの世でリヒト様だけです!」
アイリスが涙ぐみながら言う。
その体を後ろから抱きしめる。
「アイリス、落ち着いて。俺はわかってるから、君を信じてるから大丈夫」
「リヒト様」
俺の首に腕を回して抱きついてくるアイリスを抱きしめる。
それを見て豹変するクライン。
「おのれぇ、もう良い!殺してヴァンパイアとして蘇らせてから、我が妻に迎えればいい」
「おい…今なんて言った?」
クラインの言葉を聞いて、プツンとキレてしまった。
地を這うような低い声が自分の口から出る。
「アイリスを殺すだと?そんな勝手を俺が許すと思ってんのか?斬り殺すぞ?」
本気の殺気と威圧をクラインに加減なく放つ。
それを受け、膝をつくクライン。
「俺の本気の殺気に飲まれ膝をつくような弱い奴が、アイリスを殺すだと?笑わせるな。クズが」
鋭く睨みつける。
「お前は俺が滅ぼしてやる。二度とアイリスに対して暴言を吐かせない!吐こうものならその喉斬り裂いてやる」
「ぐうぅっ…」
身動きが取れないクライン。
そうしていると、クロトが王や衛兵たちを連れて駆けつけてくる。
「リヒト!アイリス!」
「クロト、こいつは俺が滅ぼす。お前は、紛れ込んでるヴァンパイアを滅ぼせ!この場で2体程紛れ込んでる。倒し方は覚えてるな?首をはね心臓を潰せ!日の光にさらせばさらに効果的だ!俺のMAPをお前も遠隔で使えるようにリンクさせる。それで奴らを見つけて倒せ!」
「わかった!」
「衛兵達は、固まって行動しろ!魅了耐性を上げる魔法が使える者又は状態異常を防ぐすべを持つものは、他の者達に補助魔法をかけて魅了を防ぐんだ!ミカエラ!アイリスと王を頼む!」
「わかりました。リヒト様」
「承知致しました!」
全員が直ぐ様行動に移す。
俺もすぐにMAPを操作し、クロトが使えるようにする。
それが終わると刀を抜き、素早い動きでクラインの間合いに入り、刀を一閃する。
すぐに回避したようだが、交わしきれず左腕が斬り飛ばされる。
「ぐうぅっ…」
傷口を抑える。
「チッ浅かったか」
更に数合打ち合う。
俺は刀でクラインは片手用直剣で打ち合う。
だが俺は無傷だがクラインは打ちあえば打ち合うほど、傷だらけになっていく。
技の練度が俺の方が上だからだ。
次第に押されていくクライン。
「クライン、最後の手向けだ。最大の奥義で倒してやる。美鏡古神剣術・最終奥義・天照!!」
八百万の最高神の名を関するこの技は、この世界において、光属性と聖属性2つの特性を持つ技へと昇華されている。
目が眩むような眩い光が無数に降り注ぎ、聖属性の宿る刃が神速で駆け抜け体を真っ二つに切り裂いた。
同時に俺はもう一つの奥義を放つ為、血糊を飛ばして刀を鞘に納める。
「美鏡古神武術・最終奥義・秘拳・黄龍!!!」
黄金の龍を模した気の塊がクラインの心臓を完全に潰す。
「があっ!?」
苦悶の声を上げ倒れるクライン。
目だけを彷徨わせ、アイリスを見るとアイリスの名を口にする。
「クライン、お前の気持ち全てを否定する気はない。だがアイリスの心を無視したお前の言動は認められない。アイリスを害する言葉もだ。だから俺はお前を許さない。その深い罪と共に滅べ」
俺のその言葉を聞きながら、静かに灰ヘと変わるクライン。
「リヒト、終わったよ?」
「お疲れ、クロト」
「リヒト、君のせいじゃないから。これは彼が選んだ結末なんだ。だから、自分のせいなんて思っちゃ駄目だよ?」
「ん、ありがとう」
クロトの肩に寄りかかる。
クロトの言葉と存在が有り難い。
俺はいい友を持った。
そう思ってると、王様がアイリスを連れてやってくる。
「リヒト様、クロト殿の言う通りだ。あれはクラインの自業自得だ。あなたに責はない。そのような事を言うものが居れば私が許さん.どうかご自身を責めないでほしい。アイリスの為にも」
「リヒト様!!」
アイリスが俺の胸に飛び込んでくる。
アイリスを抱き止め、ぎゅっと抱き締める。
「アイリス、心配掛けて済まない…」
「いえ、私のせいでご心痛かけて申し訳ありませんでした」
「違う!アイリスのせいじゃない!そんな事言うな」
しっかりと抱きしめて言う。
「誰の責任でもないよ。ただもっと早く気づけば死なせずに済んだのかもしれないと、そう思ったんだ」
「リヒト様」
「ごめん。情けないな」
「そんな事ありません!情けなくなんかないです」
ぎゅっと俺を強く抱きしめるアイリス。
「アイリス、ありがとう」
アイリス、クロト、王様、みんなに出会えて良かった。
彼らがいるから、俺は知らないこの世界でも生きていける。
改めて、この世界で出会った全ての人に感謝した。
これから数日後ヴァンパイアロードが動き始める。
今は嵐の前の静けさだった。
如何でしたか?
今日は、クラインの暴走にリヒト君がキレまくってましたね?
まあ、クラインの自業自得でしょうね。
さてさて、次回はヴァンパイアロードがでてきます。
次回を乞うご期待ください。




