(29)アイリスの許嫁候補
今回はクラインの正体が明らかになります。
そしてリヒトにいちゃもんつけて襲いかかった理由も明らかに!
アイリスちゃんのお父さん、エルフの王も登場。
本編をお楽しみ下さい。
エルフの国の首都は自然に溢れた美しい街だった。
「美しい街だな」
「ありがとうございます」
「本当の事さ」
「ありがとうございます。リヒト様、王も喜ばれるでしょう」
嬉しそうに微笑む。
その横顔を、微笑ましげに3人で見る。
不意に香ってきた懐かしい香りに驚いた。
この懐かしい香り、味噌?
味噌と醤油の香りだ。
「味噌と醤油?」
「おや?リヒト様はミソとショーユをご存知ですか?」
「故郷の懐かしい味だからな。味噌も醤油も前世の故郷日本独自の調味料だ」
「そうなのですか?」
「あぁ多分、過去に俺のように日本人が転移してたんだと思う。そいつがエルフの国に広めたんだろう」
「なるほどそういう事でしたか。その可能性はありますね」
他愛ない話をしながら、王の待つ王宮に向かう。
しばらく町並みを堪能しながら歩くと王宮に辿り着いた。
自然と一体になったような美しい宮殿が現れた。
人の作る建物とはまた違う美しさがあるな。
感心して眺めていると、アイリスが微笑みながら腕を組んできた。
「リヒト様、王宮の造形が気に入られましたか?」
「うん、素晴らしく綺麗だね。自然との調和が素晴らしいよ。オーグの屋敷も素晴らしかったけど、また違う美しさがあるね」
「ふふふ、ありがとうございます。リヒト様」
嬉しそうに微笑むアイリス。
その隣でアリオスも満足げに微笑む。
「リヒト様、ようこそおいでくださいました」
執事服を着たエルフが出迎えてくれた。
どうやら侍従長らしい。
「侍従長を努めます。メイビスと申します。リヒト様方のお世話を担当させて頂きます。よろしくお願い致します」
丁寧に挨拶される。
「ありがとう。俺は笠霧理人。こっちは相棒のクロトだ。よろしく頼む」
「はい、よろしくお願い致します。では王の間にご案内致します」
頷きメイビスに着いていく。
しばらく続くと大きな扉の前に着いた。
控えていた衛兵が扉を開けてくれる。
「どうぞお通りください。中で王がお待ちです」
「どうもありがとう」
「いえ、同胞が失礼いたしまして申し訳ございませんでした」
どうやら、自分達の同胞が俺達にしたことを聞いているらしい。
申し訳なさそうに謝ってくれた。
「もう気にしてない。気に掛けてくれてありがとう」
笑顔で答えると、尊敬の眼差しで見られた。
「いえ、お心の広いお方で感激しました。流石女神様の使徒様です。私はアインこちらはルカと言います。よろしくお願いします」
「アインとルカだね?覚えておくよ」
感激する二人。
「リヒト様、参りましょう」
「あぁ、ごめん。行こうか?」
メイビスに促され中に入り進む。
「第18王女アイリス様お戻りになられ、転生の女神アレンシエル様の使徒様、リヒト様とお仲間のクロト様がお越しになられました!」
メイビスが王に伝える。
「アイリス良く無事に戻った」
「はい、お父様。リヒト様がお守りくださいましたから、問題ありませんでしたわ。なによりもリヒト様の側以上に安心出来る場所はありませんわ。そんな事より、クラインに重い処罰を与えてください。お父様!あの男はリヒト様を殺そうとしたのですよ?許せません!」
「報告は聞いている。必ず処罰を与えると約束する。同時にクラインをお前の許嫁候補から外す」
「は?許嫁候補?あいつアイリスの許嫁候補だったのか?」
「黙っていて申し訳ありません。お父様が強引に決めたことなのです。リヒト様に嫌われたくなくて話せませんでした。申し訳ありません」
悲しげに目を伏せるアイリス。
俺はアイリスの頭を撫でる。
「アイリス、そんな事で嫌いになる訳ないだろ?ちゃんと隠さず話して欲しかったな。今度から話してくれ」
「はい、リヒト様」
涙ぐんだまま俺にしがみつくアイリス。
抱き締めて、宥める。
「大丈夫だからアイリス、落ち着いて?」
しばらくしてアイリスが落ち着いた。
「もう大丈夫か?」
「はい、リヒト様」
アイリスの涙を拭う。
俺たちの様子を見て王が何かを察する。
「アイリス、お前は使徒様が好きなのか?」
「はい、お慕いしております。お付き合いしてますわ」
「事後報告になってすまない」
俺が言うと、王が首を横に振る。
「いや、娘があなたに惹かれたのだ。あなたが気に病まれることはない。それに私の娘が選んだ相手なら文句はない。何より転生の女神様の使徒である貴方になら安心して預けられる。アイリスを頼めるだろうか」
「それは構わないがいいのか?俺と一緒にいると危険かもしれないぞ?」
「それでも、私はあなたについていきます!何があろうと離れません!」
「アイリス…」
「リヒト様は私に言いました!これからの戦いの支えになってほしいって!今になって私を離されるのですか?」
「いやそんなつもりはないんだが…」
「私を離さないでくださいまし!たとえ世界が滅ぶとしても、私はあなたから離れません!」
「アイリス…そうだな。俺は少し臆病になってたのかも。前世のように家族と引き離されたように、君とも引き離されるかもと心の何処かで怯えているのかもしれない」
「リヒト様…」
「ごめんな?アイリス…ごめん。」
アイリスを抱き締めて謝る。
「もうそんな事言わないで下さい。ずっと側に置いてください。リヒト様」
「うん、ごめん。アイリス。約束するよ」
誓いを立てる。
「リヒト、僕も離れるつもり無いからね?最後まで付き合うよ?」
「クロト…ありがとう」
クロトも俺に着いていくと言う。
「僕はどこまでもついていくよ。死ぬまで一緒なんだからね?」
胸を張っていう姿に、諦めの為息を吐く。
でも悪くないかな?
流石俺の相棒だ。
「使徒様は、お仲間や私の娘に強く愛されているのだな。この場で我が娘との婚姻を認めよう。今日この時を持って二人の婚約を発表する!」
わっと広間に歓声が上がる。
「おめでとうございます!姫様・リヒト様」
何かおかしな流れになってるような。
「そんな話より今一番大事な話があるんだけど?まぁアイリスとの事も大事なんだけどな」
「それはどういう事かな?」
「アリオスに忠告してたんだが、首都から近い街カサンドラでヴァンパイアに遭遇した。こちらに入り込んでいないとは限らない。だから、気をつけたほうがいい」
「なるほどたしかに重大な案件だな。直に対応しよう」
「アイツらは魔神の配下の下っ端だ。放置は出来ない」
「確かになクラインを呼べ!確認したい事がある」
直ぐ様クラインが呼ばれる。
「何でございましょう?王よ」
「そなたをアイリスの許嫁候補から除外する」
「な!?」
「そしてお前を警備隊長から除外。
平隊員に降格処分とする。今後アイリスへの接触を禁ずる!アイリスは正式に使徒様であるリヒト様との婚約が成立した。邪魔をする事は許さんぞ?」
「ぐうぅっ…」
悔しげに呻くクライン。
「誰か!使徒様を労いご迷惑をおかけしたお礼の宴を催す。準備せよ!」
王様の号令で皆が動く。
夕刻宴が開かれた。
俺はアイリスに導かれ彼女の自室へ向かう。
如何でしたか?
クラインは王様から厳しい沙汰が降りました。
リヒト君とアイリスちゃんの婚約が決まりました。
おめでたいです!
さて次回は更にアイリスちゃんとの関係に変化が!もしかして童貞卒業かな?
まぁ乞うご期待と言う事です。




