第38話 東口Ⅰ
キーーーーーーーーン!(キーーーー・・・ン)
王都の結界に魔物が接触した!
「アルク様!東口の方角に魔物が接触したようです。」
アルク様に声をかけるが、アルク様は固まったまま動かない。
「アルク様?どうかされましたか?」
「今、2重で耳鳴りが聞こえなかったか?」
2重?
「いえ、私には東口の方角のみ聞こえましたが。」
「まずい。もしかしたら・・・・・。」
アルク様の顔色が悪くなる。
「私は村に帰る!ウォルト殿は王都を頼む。」
「村で・・・・何かあったのですか?」
私は慌ててアルク様に尋ねた。
「わからない。でも村の結界に何か反応したかもしれない。確定ではないのだが。」
「ならば先ほどの東口の魔物をライトと倒してから帰りなさい。」
王女様が私とアルク様の真後ろに立っていた。
ライト様と瞬間移動で私達のところまで来ていた。
後、少しでアルク様は城を出るところだったのだが。
「確定ではないのなら、王都の魔物を優先せよ。今回の魔物はAクラスの魔物です!ライト1人では、厳しいでしょう。他の騎士団も太刀打ちできないくらいです。」
「しかし、村が襲われていたら。」
アルク様は言いづらそうだが、村の人達を見捨てられない。
すると、王女様は城の壁にアロニーの村の周辺を『透視』で映し出した。
村の中はアルク様の結界で見えないが、村周辺をパッと見ただけでは、魔物はいないように見えた。
「村は騒いでいません。王都の魔物を倒してから、帰っても間に合うでしょう。」
王女様は無表情で、答えた。
「俺1人で倒せないのか?村が万が一危なかったら、王女は市民を見捨てるのか?」
ライト様が自分の不甲斐なさもあってか、つらそうに話す。
「王都の民も危険な事がわかりませんか?民は平等に守らなければなりません。村に今魔物の気配がなければ今は、目先の魔物退治でしょう!」
王女様が言う事はもっともな話しだが。
ハナがあの村にいる以上、私も心配でたまらない。アルク様が間違えるだろうか?アルク様が気になるのならばそれは疑いではなく、現実。
王女様の透視鏡に映らなかったのは、大きな魔物じゃないから?
「では、私が東口に行きます。なのでアルク様を村へ帰して下さい。」
「ダメです。ウォルト殿も東口に行って下さい。3人と魔術騎士達を連れても、倒すのはやっとでしょう。陛下と王妃様は私が側で守ります。あなた方は早く東口へ行きなさい!」
「東口の魔物を倒したら瞬間移動で村にアルク様を送ってもいいですよね!!」
私は苛立ちながら王女様に頼んだ。
王女様は少し考えて、
「瞬間移動はライトも使えます。ライトに連れて行かせましょう。」
そうか。ここまで、ハナに私を会わせるのが嫌になったんだな。最初はライト様の気が散るからと、ライト様とハナを会わせたくなかった方なのに。
私の想いがバレているんだな。
それでも、アルク様が村に早く帰れるならそれでいい。
「わかりました。ライト様アルク様急いで東口に向かいましょう。」
私はライト様とアルク様の手を掴んだ。
一瞬で私達の足元に魔法陣を出し、瞬間移動で東口に行った。
3人を見送った王女様が
「ウォルト。ごめんなさい。」
普通の少女がそこには立っていた。
側近のルイスが優しく王女様に話しかける。
「ウォルト様もわかってくれます。さぁ陛下のところに参りましょう。」




