第39話 東口Ⅱ
東口には、数十名の魔術騎士団がいた。
その中には、負傷者がたくさんいる。
そこは騒然としていた。
私は魔術騎士を1人掴まえ
「戦況を教えなさい!」
掴まれた魔術騎士はハッと驚いて
「ウォルト様!来て下さったのですか?あ!勇者様に、アルク様!」
その声にその場が一気にこちらに注目し、騒然としていた空気が一気に歓喜に変わる。
「勇者様、アルク様、ウォルト様ありがとうございます。我々では、太刀打ちいきませんでした。」
「戦況を教えてくれ。」
「東口より1キロ先に全長2メートルの熊のような魔物がいます。我々の火炎程度の魔法では、焼く事も出来ず。魔法剣士も側に近付こうとすれば、大きな腕ではねのけられてしまい剣も届きません。」
この世界の魔法は廃れて来ているが、こんなにも大人数で立ち向かっても、勝ち目がないのか?
私は先ほどアルク様に手の中に入れてもらった、ハナからのピアスを、手を広げて見た。
それはとても神秘的に輝いていて、ハナの魔法が今にも光放ちそうな綺麗な虹色をしていた。
ハナ、早くここを片付けて、アルク様を村に帰すから少し待っていて。だから無事でいて。
ハナのピアスに願いを込めて、私は右耳に前もって開けていた穴に、ピアスをつけた。
私は襟を正し、
「さあ、ライト様アルク様行きましょう。」
「あぁ。」
「早く終わらせよう。」
私はまた2人の手を掴んで、魔法陣を出した。
瞬間移動で魔物のところに直接向かった。
現場についた時には、魔物の禍々しいオーラは周辺を包んで、霧のようになっていた。
周りの視界が遮られる程に。しかし何度も攻撃され苛立った魔物は赤い目だけが鋭く光っているのが見える。
魔物は大きな口を開くと雄叫びとともに火の玉でこちらに攻撃してくる。
攻撃を交わしながら私達の前に
魔法で『水壁』を立てた。
「この魔物はもう倒すしかない!」
アルク様が誰よりも早く判断した。
「こんなにも大きな魔物は今までどこに隠れていたんだ?」
ライト様は恐怖で怖気づくというよりは、純粋に不思議で仕方ないといった感じだった。
「確かにそうですね。こんなにも大きければ、王女様の透視鏡やあらゆるところにかけている結界に掛かりそうなところですが。」
「とにかく、瞬殺で終わりたい。」
アルク様の瞳は、獲物を狩る鋭い目つきになっていた。
「近くにいる騎士団の方々は半径10メートル以内に入らないで下さい!結界を張ります。」
「各部隊後方へ撤退!」
私の声に騎士団は一斉に後ろに下がる。
『魔剣召喚』
ライト様の足元に魔法陣が浮かぶ、中央より魔法剣が出て来た。
私は騎士団が後ろに下がったのを確認して、結界を張る。普通は中から外へ出れるが、今回は中から出れない結界。いつもと逆の結界魔法
私は両腕を広げイメージする
私の体全体から緑色の魔法が光る
風に乗せて広範囲の結界魔法を広げた
軽く風が凪ぐと結界は完成した。
魔物の火の玉も結界に当たるとその場で消滅する。
騎士団達に魔物の攻撃は当たらない。
アルク様はライト様に
「剣と勇者様に付与魔法をします」
『体力増加、身体強固、力倍増・・・』
ライト様の身体に付与魔法で日頃より強い能力を一時的に身につけた。
『火属性最強黒炎』と言うとライト様の剣に黒炎の魔法が剣を纏う。
「私とアルク様が援護します!ライト様は攻撃のみに集中を!」
「わかった。」
その言葉が合図となり、
私は水魔法『水龍』で魔物の足元を何度も狙う。しかしビクともしないが、魔物は私の方へとやっと注目した。
すかさず、アルク様が『業火』で魔物の足元を焼き尽くす。私は風魔法に切り替え『トルネード』で業火の威力を倍増させた!
魔物は火に包まれたが決定打にならない。
私はライト様に
『水鎧』の魔法をかけ業火から身を守る。
ライト様はそのまま足元に魔法陣を出し次々に足元に出る魔法陣を踏んでジャンプしながら魔物の頭上まで上がっていった。
魔物より高く、
飛んだと思ったら、ライト様の黒炎を纏った剣は吸い込まれるように、魔物を上から下に真っ二つに斬った。
魔物は雄叫びをあげながら、足元の業火に焼かれた。
「凄い!本当に瞬殺だ。」
ライト様は圧巻の戦闘に感動していた。
瞬殺と言っても、時間はかかった。
最初の結界接触から、2時間はかかったかもしれない。
「ライト様!申し訳無いのですが、アルク様を村へおねがいします。ハァハァ・・・・」
私はかなり高度な結界と大きな魔法を多様して使い、魔素が少なくなっていた。
それでも私も村について行きたい。
「アルク様これを。」
私は私の使役の紙を1つ渡した。
「わかった。状況がわかったら連絡しよう。」
「じゃあウォル行ってくる。後を頼むな。」
ライト様はアルク様の腕を掴んで
『瞬間移動』
2人で村へ移動した。
ライト様は、ここの後始末というよりは、王女様の事を言ったのだろう。
はぁ。私に何も望まないで欲しい。
私はハナの為にこの私の力も全て使いたい。
残された残り少ない、ハナとの同じ時間を。




