死闘 2
突進してくる田中唯に対して、ムークはレーザービームを放った。その攻撃を田中唯は左腕に作り出した小型の盾で防いだ。そして一気にムークとの距離を詰めると、右腕を剣の形に変形させ、斜めに振り下ろした。その斬撃をムークは自分の右腕を剣の形に変形させて受け止めた。そして左足で田中唯を蹴り飛ばす。
田中唯の身体はまた軽く吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。止めを刺そうとしたムークが倒れている田中唯に対して駆け寄っていく。僕はそのムークに向かってレーザービームを発射した。
すると、ムークは僕の発射したレーザービームを田中唯と同様腕を盾の形に変形させて受け止めた。そして続けざまに僕に向かってレーザービームを発射してくる。僕も慌てて盾を作り出して、レーザービームを防いだ。
作り出した盾の表面で爆炎があがった。
僕がムークの注意を逸らしているあいだに、田中唯はなんとか態勢を立直して立ち上がっていた。今は僕に対して注意が向かっているムークに対して田中唯は高速で近づき、腕を槍の形に変形させる。その槍があともう一歩でムークの身体を貫くと思った瞬間、ムークは後ろに向かって跳躍して、その攻撃を回避した。それから、地面に着地するのと同時に、レーザービームを再び田中唯に向かって発射する。
爆炎があがったけれど、田中唯が果たして盾でムークの攻撃をかわすことができたのかどうかは動きが早くて確認することができなかった。僕は慌てて、再びムークに向かってレーザービームを発射した。
今度は不意を突くことができたようで、僕の放ったレーザービームはムークに命中し、爆発が起こった。でも、それはムークに致命傷を与えることはできなかったようだった。ムークはレーザービームの着弾よって地面になぎ倒されていたけれど、すぐにその状態から身体を起こすと、忌々しそうな様子で僕を見据えた。
ムークは小うるさい蠅のようである僕をひとまずさきに始末することに決めたようだった。
銀色の巨体が僕に向かって突進してくる。
でも、そのムークの行動は命取りになった。
どうやら田中唯はさきほどのムークのレーザービームによる攻撃を上手く受け流すことができていたようで、自分に背を向けたムークに対してレーザービームを放った。
ムークはその攻撃をすぐさま感知し、咄嗟に作り出した盾でその攻撃を受け止めた。ムークの動きはそこまでは見事だといえた。
しかし、ムークは完全に近藤という存在を失念していたようだった。近藤は今までずっと密かにチャンスがやって来るのを待っていたらしかった。
黒い風のようにムークの背後に忍び寄った近藤が、飛び上がりざまに、腕に作り出した剣で、ムークの頭を切り落とした。
と、同時に青黒い血液がムークの首から吹き出し、ムークの巨体は地面に崩れ落ちると、しばらく痙攣したあと、やがて動かなくなった。
やっとどうにか僕たちは強化服を身に纏ったムークを仕留めることができたようだった。




