ゲームの世界へようこそ
「んっ…あ〜〜おはようマイエンジェル”リーちゃん”」
紅吉の朝は遅い。今日もいつも通り11頃に起床し最推しキャラクターである”リーちゃん”におはようの挨拶をするところから始まる。
言わなくてわかるであろう、引きこもり子供部屋おじさんだ、実際にはおじさんと言うほど年齢ではないのだがな、部屋にはたくさんの漫画本とアニメキャラのフィギアが置いてある。俺の宝物だ。
閉ざされた部屋で椅子に座りパソコンを起動しおもむろにゲームを始める、とりあえずログインボーナスとデイリークエストを慢性的に消化する。
「はぁ~〜あ。これからどうしよう、とりあえずこの前買ったゲームでもするかな」
俺の両親は事故にあって死んだのだ、あの時は葬儀やらなんやらで大忙しだった、そういえばアニメのイベント以外で久しぶりに外に出たな。
親が死んだことでこれからは収入がなく金を浪費するだけ、もちろん遺産と示談金はもらったしこの家も今や俺のものだ、しかもローンが全額返済されている。これほどまでに親に感謝したことがあっただろうか、いや……別にあったな、それよりもなんで事故ごときで死んだんだよ俺の世話は誰がするんだよという気持ちのほうが強い。そうだ俺には兄と妹がいるんだ……今はもうここにいないのか…そうか…そうだったな。
「なぁリーちゃん俺はどうすればいい?今のところつまらないんだけど」
「もう紅吉ったら心を明るくっだよ。これからおもしろいこと起こるって!それまでは私といっしょに頑張ろ」
「うん!元気を出そう、俺頑張るよ!」
”九鬼紅吉”は立ち上がりカーテンを開け日の光を浴びようとした。そうだこの部屋が暗いから心まで暗くなるんだ。
カーテンをシャッと開け窓から日光が差し込み俺の体を照らした、その瞬間俺は再び暗闇に閉ざされた。
暗い、前が見えない、熱い、痛い、苦しい、辛い、体の表面が焼けるように熱く肉体がえぐられる感覚がする。俺は死ぬのか。何が起きた思わず転倒し床に這いつくばる。
少し経つと痛みは収まり視界も回復した、今も少し全身がピリピリとした感じはするが見たところ特に怪我や火傷もない、それどころか元々足に擦り傷があったのだがそれもなくなっている。
顔に異変がないか確認しようとしパソコンの画面で自分の顔を反射させたが特に何もなかった、何もなかったというのは俺の顔に異変がなかったのではく、俺の姿が映らず服だけが浮いている状態だ、確かに思い返せばゲーム中も俺の顔が一度も反射して見えなかった気もする。
「これはどういうことかな、リーちゃんはわかる?」
「紅吉も薄々感づいてるんでしょ、回復能力に日光が弱点、自分の姿が映らないこれって吸血鬼の特性だよね」
「うん俺もそう思う。でもなんで俺が吸血鬼に?」
「私もわからない」
昨日の夜、今後のために闇バイトについて調べてたんだ、そのときに怪物になる代わりに10億円もらえるっていう…バイト?に興味半分で応募したんだった。
一応のために言っておくと闇バイトをしようと思ったのはお金の底が全部尽きてから最終手段としてやろうとしたのであって今すぐにしようとは思ってないからな。
ちょっとまて冷静に考えると俺はだいぶやばいな、いやそんなことよりもだ。
「はっ!…ってことは10億もらえるのかやったぜ」
俺が大金を手にしたと舞い上がっていたとき。誰かが喋りかけてきた。
「やっとお目覚めのようだね君が最後だ。では『Vampire :10 Billion Bounty』を始めようか」
急に話しかけられ驚いて振り向いたが誰もいない、話しかけられたというより脳内に直接話しかけられてる感じだ。それに始めようってなんだ?そもそもどうやって俺を吸血鬼にしたんだ?わからないことだらけだ。
「おい!詳しく説明しろ!」
怒鳴るように空に向かって叫ぶとまた脳内に語りかけてきた。
「そもそもお前が起きるのが遅いんだよ!9時にはルール説明をしたんだよ!ちゃんと9時には起床してるようにとバイト募集要項に書いてあっただろ」
はぁ?何いってんだよ俺のせいにするなよ。こいつ勝手に俺の体を操作しやがって何様だよ、そもそも募集要項なんて読んでないし10億に目が行ってポチったら勝手に登録されただけだろ。
寝ていたならその力を使って起こしてくれればいいのに。
「随分な物言いじゃねぇか、声に出してなくてもこっちに聞こえてるんだよ!」
はいはいそうですか喋らなくても伝わるなんて楽でいいですね、それよりも10億円くれないかな?俺は金が手に入れば十分だからさ。口座とか教えたほうがいい?それとも現生でもらえる?
「残念ながらお前はいますぐ大金を手に入れることはできない、10億を手に入れるためにゲームをしてもらう、そのゲームのルール説明を9時から始めたがお前は寝ていて聞いていなかった、もう一度説明をするのも面倒だから詳しくは記憶に送っておいてやったぞ」
何を言ってるんだこいつは?言っている意味がわからない。俺は10億がもらえるから吸血鬼になったというのにこのままだともらえない?それに記憶に送るってなんだよ。
「頭の中でスマホを想像して電源をつけろ、そうしたらこのゲームのルールとかカメラ機能とかいろいろあるから」
俺は言われた通りにスマホを想像すると確かにスマホの画面が表示された、メールにはルールが書かれたメッセージが送られていた。
「まぁ簡単にだが説明してやるよ。プレイヤーはお前を含めて全5人。初期費用として10ポイントずつ配られている。このポイントを1000ポイントを一番早く集めたプレイヤーの勝利だ。このポイントは日本円にして1ポイント100万円。脳内スマホのアプリには換金所もある。つまり1000×100万で10億円というわけだ」
あ〜もう説明終わったか?もう言うことがないなら頭から出ていってもらっていいか?お前が喋るとキンキンして頭痛が痛くなる。スキップ機能とかないのか?
「ちなみにプレイヤーを殺すと200ポイントもらえるから。まぁ死なないように頑張るんだな」




