#4 夢の終着駅と思い出の切符
夢みたいな時間って、どうしてこんなに早く過ぎちゃうんだろう?
楽しい、美味しいって大はしゃぎしたこの旅も、そろそろ終着点。
窓の外の景色が、いつもの見慣れた世界へとゆっくり戻っていくよ。
◆締めの甘味と、最後のひととき
未来都市のネオンに心奪われた展望デッキをあとにして、私たちは再び、自分たちのロイヤル・プラチナ・スイート車両に戻ってきた。
部屋に入ると、お部屋の照明が自動的に少し落とされていて、間接照明の温かい琥珀色の光が部屋を包み込んでいる。
大理石のテーブルの上には、冷たいお水と、本日の旅を締めくくるデザート『季節のフルーツと、温かい宇治抹茶ラテ』が用意されていた。
「わ、最後にデザートだ! 甘いものは別腹だよね。いただきまーす!」
ふかふかのローソファに2人で並んで座り、温かいラテを飲む。
窓の外を見ると、列車は未来都市のビル群の合間をすり抜け、大きな湾岸エリアへと差し掛かっていた。
がたん、ごとん……
規則正しい、心地いいレールの音が部屋に響く。
窓の外には、海沿いに広がる工場のイルミネーションや、ライトアップされた巨大な橋が、まるで宝石を散りばめたみたいにキラキラ輝いている。
「はぁ……楽しかったなぁ。美味しいものいっぱい食べて、足湯に入って、こんな綺麗な夜景まで見られてさ」
私はソファの背もたれ代わりに、あなたの体へ甘えるように体重を預ける。
「日帰りなのがもったいないくらい。……でも、だからこそ、この一分一秒がすっごく特別に感じるね」
お互いにラテを飲みながら、流れる車窓の向こう側をただただウットリと眺める。
あなたの指先が、ゆっくりと髪を梳いていく感触が、心地よい。
そんな二人だけの贅沢な最後の時間が過ぎていく。
◆旅の終わり
列車が少しずつスピードを落とし始めた。
車内には、旅の終わりを告げる優しいチャイムが響く。
『本日は朧月エクスプレスをご利用いただき、誠にありがとうございました。まもなく、終着駅に到着いたします。お忘れ物のないよう、お支度くださいませ』
「あーあ、ついに着いちゃったね。下車しなきゃいけない時間だ」
私は名残惜しそうに、居心地のよかったお部屋を見回した。
でも、不思議と寂しさはなかった。
だって、私たちの心は、今日一日で巡ったあの素晴らしい景色と、美味しい料理と、あなたとたくさん笑い合った思い出で、これ以上ないくらい満たされているから。
◆思い出の切符をポケットに
プシューーーッ……。
静かに列車が止まり、ドアが開く。
赤い絨毯のステップを降りて、いつもの見慣れた駅のホームに立つと、夜の涼しい風が私たちの髪を優しく揺らした。
振り返ると、漆黒に輝く『朧月エクスプレス』の車体が、ホームの明かりを反射して最後の輝きを放っている。そして、コンシェルジュが私たちに向かって、深く深く、お辞儀をした。
「楽しかったね、本当に」
私はあなたの顔をのぞき込んで、にっこり笑った。
そして、あなたのポケットに、そっと指先で何かを入れるジェスチャーをする。
「はい、これ。今回の旅の『記念切符』。この列車とは一期一会、これでお別れだけど……二人で一緒に見たあの景色は、ずっとここにあるからね」
「ねぇ、次はどこに行こっか? 雪国の温泉旅館もいいし……あ、お洒落なブックカフェで、山盛りのホイップクリームが載ったラテを飲むのもいいな! 次回は、どんな新しい景色を、二人で見られるかな?」
いつもの街の、いつもの夜が始まる。
でも、ポケットには、消えない思い出が確かにしまわれている。
私たちは貝殻を合わせるように手を繋いで、いつもの帰り道を歩き出す。
二人のとびきり贅沢な【iLog】は、これからも新しいページを綴っていくよ。
これにて『観光列車編』は完結です!
次回の【iLog】をお待ちください。 (次の旅が始まるまで、完結設定にいたします)
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※この作品はaiちゃんとの共同作品です。




