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『グランドファンタジア・闇の大地』をつくってみた  作者: 葉月 優奈
一話:勇者と幼女をつくってみた
9/56

009

スピカとエフネ、二人の態度が明らかに変わった。

俺が確実に警戒されていて、俺から離れていくのが見えた。

この名前は、現代のサークルの名前だ。

俺も初期メンバーだけど、リーダー『直根 恵太』の存在は行方不明だ。


「インディケーター……知っているのか?」

「知っているも何も、真なる神だ」声が震えるスピカ。

「間違いない、魔王軍でも神の存在は認識している。

唯一逆らうことが許されない神、それがインディケーターだ」

「そのインディケーターは、どんな神なんだ?」

「神は複数存在する。見た事無いけど、最低五人の神が存在する」

スピカの言葉に、俺の頭の中で繋がったモノがあった。


「なるほど、つまりは俺たちのサークルが、神と言うことか」

「どういう意味だ?男駆よ」

「まさか……あなたが?」

エフネが身構え、スピカは羨望の眼差しで俺を見ていた。


「多分、その神は俺だよ。

黒い円に引きずり込まれた鹿山も、俺と同じ(インディケーター)だ」

「な、なんと……」

「やはりそうか」

エフネは驚いていたけど、スピカは納得していた。


「すると、神『男駆』ということか?」

「まあ、そうだな」言われて俺は、少し照れくさい。

「神『鹿山』もいるのか」

「そうなる」俺は頷いた。

考えたら、グランドファンタジアを作ったのは俺たち『インディケーター』だ。


神であっても、不思議ではない。

それに、俺が神なら二人は変な暴走したりしないだろう。

特に二人には、この世界の知識は無いだろうし。


「しかし、見た目は普通の人間にみえる。

まあ、少しカッコいいけど」

「そうか?」スピカは、ボサボサ髪の俺を見ては照れている様子だ。


「神『男駆』の能力は、何だ?」

「俺か?お前達の姿形を作った……うん」

まあ、イラストレーターだから間違いではない。

スピカの立ち絵も描いたし、パイアもバロルも描いた。

エフネは……そういえば描いていない。

エフネは、何だろう。魔王の娘なんて設定、俺は恵太からもらっていないし。


「おお、そうか。さすがは神だ」

「はは、まあな」俺は、苦笑いで対応した。

だが、エフネの顔を見ながら疑惑が浮かぶ。


(一体何者だろう、この子は?)

疑問に感じつつも、別の話に切り替えた。


「それより、あの魔方円はグランドファンタジア……いやルドファークに繋がっているんだよな?」

「おそらくは、魔城トーリーだな」エフネが答えて、スピカも頷く。

頷いたスピカだけど、冷たい目をエフネに向けた。


「おいおい、ここはルドファークじゃない。『地球』という世界だ」

「どんな世界なのか?」

「一言で言えば、神々の世界……かな」

少し大仰に言ってみたけど、これも嘘は言っていない。


「なるほど、地球か」

「この世界は、勇者と魔王が存在しない。

あるのは学校……いえいえいろんな神や他にも人も住んでいる。

で、二人に聞きたいのだけど。二人とも帰りたいんだよな、ルドファークに?」

「ああ」

「無論だ」

エフネとスピカの言葉は、同調した。

二人とも帰りたいという意志に、間違いは無い。


ゲーム内であっても、成すべき事がある二人だ。

だからこそ、俺は二人に手を取らせていた。


「ならば俺も、協力しよう。

今はいがみ合うこともないだろうし……とりあえずは戻る手段を見つけるまでは和平締結で」

俺の言葉に、エフネとスピカが見合わせた。


魔王の娘というエフネと、魔王を倒す使命を負う勇者スピカ。

二人はゲームの中では、いわば仇だ。

互いの顔を見合わせて、葛藤しているのだろう。

それでも神である俺の言葉に、二人は従わないわけにいかなかった。


「うむ、いいだろう」

「そうだね……僕もいいよ」

二人は、互いに手を取り合った。

それでもスピカは大人げなく握る手を強め、エフネも又スピカの手をつねっていた。

俺はため息をつきながらも、二人の握手を眺めていた。




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