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『グランドファンタジア・闇の大地』をつくってみた  作者: 葉月 優奈
四話:秋田の魔城をつくってみた
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風のバリアの外は、勇者スピカと戦士デボネラ、それから魔女アルクが戦っていた。

見える戦況は、水色の栗鼠を彼ら三人……いや四人で倒していた。

スピカに手を貸していたのは、エフネだ。

魔力の高いエフネの加勢もあって、現在は四対一で対峙しているところだ。


チラリと横目で見ながら、俺は前を向いた。

目の前の恵太は、タブレットを赤いローブに隠した。

代わりに取り出したのは、細く長い剣だ。


「エンシェントレイピア、僕のお気に入りの武器だ。

この武器は優秀でね、精霊力をあげることが出来るんだよ。

精霊神官が使う、最強の武器だよ。

最も、これで僕は一度もモンスターを倒していないけど」

「精霊力を、高めるモノだな」

「君のデザインした武器だよね、男駆」

「そうだな」

キャラデザインをしたのは、俺の仕事だ。

キャラクターの持ち物も、デザインをしていた。

精霊神官のイメージ画像として、俺が描いた武器。

女性の絵を描くのが好きな俺だけど、イメージ画の精霊神官は男のケイだ。


「いい武器だよ、君を殺す上では」

「僕を、殺すって言うのか?」

「殺したくはない。なぜならば、君は一番の親友だ。

腐った現代の中で、僕は君だけを殺すことはしないよ」

穏やかな顔で、殺意をちらつかせた恵太。

だけど、その表情はどこか暗くて影が残っていた。


「だから、君も一緒に僕と世界征服をしようよ。

魔王バロルは、この現代でも負けない最強の王になるのだから」

「それはできない」首を横に振る俺。

「なんでだ?僕は君が好きだ。君を一番信用している。

|同人ゲーム制作サークル《インディケイター》が無くなっても、僕と君の友情は変わらないはずだ」

「分かっている。友情は、俺もそう思っている」

「ああ、君は本当にイイヤツだ」

エンシェントレイピアをしまい、両手を広げる恵太。


「その前に、恵太に聞きたいことがある」

「ん、どうしたんだい?」

「なぜ、五十土にバグの処理をあえてさせなかった?」

俺の言葉を聞いた瞬間、恵太の目が大きくなった。


「それは……」

「俺に内緒で、魔城トーリーにバグを一つ残した。

それは、あるはずのない人物をこの城に残したことだ」

「やめろ、それは……」

「妹慧風(えふ)は、エフネにそっくりだったのではないか?」

俺の追求に、目をつぶって笑っていた。

顔を上げて、小さく頷いた。


「そうだよ、エフネはバグだ。

ラストダンジョンの魔城トーリーが完成したときに、一つのバグを検知した。

その検知は、敵でも味方でもないNPC(ノンプレーヤーキャラ)が幽霊のように映り込んだこと。

会話文もないし、幽霊のようなキャラクター」

「マップデザインは、五十土の仕事だったしな」

「だけど、見えてしまったんだ。あの現像に、慧風の姿を」

恵太の死んだ妹に似ていて……俺は偶然に彼のアルバムで見た事があったからだ。


「それがどうした?」

「慧風とエフネ。二人の類似点こそお前が残した、メッセージだったんじゃないかと思った」

「何のメッセージだよ?」

「親友の俺に、お前を止めて欲しいというメッセージだよ」

俺は、はっきり言い放った。

それを聞いて、右手を強く握った恵太。

そのまま、岩の精霊を一瞬で呼び出して大きな石を俺に向けて投げつけてきた。


投げつけた時速200キロ超えの石は、俺の真横をかすめていた。

顔は引きつった恵太は、明らかに怒っている様子だ。


「なぜ、そう思う?」

「君は、見たかったのだろう。慧風と父の、穏やかで幸せな世界を」

「幸せも何も……僕はゲームを使い、この世界を滅ぼすために」

「よく、隣を見てみろ!」

「隣?」恵太が、視線を風のバリアの外に向けた。

そこでは大きな若い魔王が、小さな娘エフネと会話をしているのが見えた。



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