391 フェスタの裏側で(2)
~とある掲示板にて(続き)~
名無しさん:このフェスを生放送しているテレビ局ないんだよね?
名無しさん:ない
名無しさん:さすがに無理でしょ。許可でるわけない
名無しさん:後日の放送はダイジェストだったよね。わたしもさすがにライブはないと思う
名無しさん:生放送は無理よね。そういえば昨日の夜、インタビューやってたじゃん
名無しさん:見た! あれは貴重な映像だったわ
名無しさん:男子高校生が普通にテレビに顔出しするなんて、滅多に見ないものね
名無しさん:インタビューは今夜も流すらしい
名無しさん:チケット取れなかった私たちにも配慮してくれるの、嬉しすぎる
名無しさん:それ! ……ところで入場した人はどうなったの? もうだいぶ時間経ってるけど
名無しさん:そういえば……どうした?
名無しさん:おーい(召喚の儀式をはじめる)
名無しさん:なむなむ(呪文を唱えてる)
名無しさん:キエーッ!(奇声をあげてるだけ)
名無しさん:最初のステージが終わった。なんだろ、時間が飛んでた。記憶は残ってるけど、時間だけが飛んだ感じ
名無しさん:おっ、召喚成功か。それで、時間が飛んだってどういう意味?
名無しさん:始まったと思ったら終わっていた。楽しい時間は早く過ぎるというのは本当だった
名無しさん:(笑)
名無しさん:内容は覚えている。ただ、出てきてきゃーってなったら、なぜかステージが終わってた
名無しさん:主観時間で一瞬だったのね。それで内容は?
名無しさん:パネルを使ったトークショーやった。どんな話かという……待って
名無しさん:ん?
名無しさん:んん?
名無しさん:どうした? 待ってるけど、一向に書き込みがないぞ
名無しさん:フェンスかじりつき組より報告。ステージは司会者のみ。休憩時間になったけど、その間にチケットの『同じ番号探し大会』がはじまった
名無しさん:???
名無しさん:意味分からん。くやしく
名無しさん:むきー、チケットに番号が書いてあるんだって。同じ番号を持っている人を探すと、次のクイズに参加できるみたい、ぐう、くやしいっ!
名無しさん:??? もっとくやしく
名無しさん:くっ、なんてこった! 同じ番号を持った人を五人以上集めると、クイズに参加できるだと!? キーッ、ビクンビクン、もう慣らされちゃう
名無しさん:休憩時間が一番休憩できないのかな?
名無しさん:突然みんなが一斉に喋りはじめて、通行人が飛び上がってた
名無しさん:会場内で同じ番号を持った人を探すなら、自分の番号を叫ぶしかないのか
名無しさん:プラカードを持っていれば書き込めばいいけど、都合良く持ってないからねえ
名無しさん:声の大きい人が勝つわけか。世の中と一緒だな
名無しさん:合ってるけど違う
名無しさん:五人集められなかった。……というわけで、ステージ下でクイズ実況する
名無しさん:おっ、残念。でも実況よろしく
名無しさん:どんなクイズだろ
名無しさん:クイズはじまった。小学校で所属したクラスをすべて答えなさいだって
名無しさん:結構簡単かな
名無しさん:どこかに載ってたね。丸暗記している人いるでしょ
名無しさん:すぐに答えがでた。次、ランニングコースの全長
名無しさん:これもジョギングルートの専用アプリ見れば書いてあるな
名無しさん:見学用のやつでしょ。視界に入らず、覗きにならず、近すぎず、遠すぎずのポイントが網羅されてるやつ
名無しさん:あれ、だれが作ったんだろう
名無しさん:どこかの有志だと思うけど、詳細は分からないわね
名無しさん:あのアプリ、スマホの位置情報使っているから、混み具合まで分かるのよね
名無しさん:そうそう。私はジョギング見学のために、すべてを捨てたわ。生活とか仕事とか
名無しさん:カッコイイこと言ってるけど、見学を止められなくなって仕事を辞めたクチか
名無しさん:そして、距離を当てられたことに動揺している
名無しさん:なにそれかわいい
名無しさん:なんてかわいいの
名無しさん:きゅんときちゃう
名無しさん:朝の見学組からしたら「いまさらか」になるけど、もしかして把握されているの気づいてなかったとか?
名無しさん:視界に入らないポジションが共有されているからね。その線もある
名無しさん:遊歩道とか隠れる場所多いしね
名無しさん:あそこはね。砂を蹴る音が聞こえてくるだけで幸せになれるわ
名無しさん:遊歩道は人気高いわよね
名無しさん:話を聞いていたら無茶苦茶行きたくなってきたわ。今度有給とって行こうかしら
名無しさん:それがいいかも。競争率高いけど、慣れればそれなりに場所確保できるし
名無しさん:ジョギングするのって、高校までかもしれないしね
名無しさん:卒業後もルーチンを続ける可能性だってあるはず
名無しさん:どうだろ?
名無しさん:もはや本人がブランドだし、不用意に外へ出ない可能性もあるのよね
名無しさん:ジョギング中に話しかけたりできないの?
名無しさん:複数人が見守っているのよ? 知り合いじゃない人が話しかけたら即通報、動画を証拠として提出案件でしょ。特区外退去&ブラックリスト入りよ
名無しさん:ガクガク(( ;゜Д゜))
名無しさん:もし襲われたら、私が身を挺して助けに入るわ
名無しさん:わたしだって、五体投地でもなんでもする
名無しさん:つか、付近にいる女性全員が救出に向かうでしょ
名無しさん:襲った人フルボッコ確定ね
名無しさん:いいとこ見せようとしてここぞとばかりに(ゴクリ)
名無しさん:ガクガク(( ;゜Д゜))
名無しさん:安全が守られていることはよくわかったわ
名無しさん:安全見守りといえば、通学時間もそうなのよね
名無しさん:まあ、特区内で問題起こすのはリスクが高いし、彼の場合はとくに周囲が注目しているから、滅多なことはおきないでしょう
名無しさん:学校内は……さすがに生徒は弁えてるか
名無しさん:入学前に面接もしっかりやってるし、人格的に問題のありそうな人は弾かれているでしょ
名無しさん:共学の小学校なんだけど、入試あるじゃん。あれ面接の比率がすごく高いらしいのよね
名無しさん:学力よりも人柄が重要だから当然なんじゃない?
名無しさん:最近は対策する子がほとんどだから、演技力のある子が通りやすいんだって。だから、芸能事務所へ一時的に所属して、子役レッスンを受けたりするそうよ
名無しさん:小学校に入るのに子役レッスン……
名無しさん:納得してしまった
名無しさん:それが現実か。たしかに笑顔でハキハキ答えられたらポイント高いだろうね
名無しさん:それをプロのもとで指導を受けるわけか
名無しさん:面接だけだと、腹の中までは分からないものね……嫌なことを聞いた気分だわ
名無しさん:特区外に住むわたしたちには関係ない世界だけど
名無しさん:確率ゼロの世界の住人ですからね、私たち
名無しさん:男性がせめていまの十倍……百人に一人くらいだったらワンチャンとか考えたかもしれないけどね
名無しさん:共学に通っている子たちは、そのワンチャンがあるのよね
名無しさん:うらやましい
名無しさん:そういえば共学校ってさ、中の話って聞かないよね。やっぱり、情報制限かかってる?
名無しさん:特定されること書くと通報する人がいるでしょ。書いた人のアドレス辿られて、情報漏洩が酷ければ学校に連絡入ったり、逆に個人情報流れたりしてリスクばかり高くなるから
名無しさん:たまに正誤不明の情報はあるよね
名無しさん:ガセなこと多いし、信用度は低いんじゃない?
名無しさん:結局、妄想するしか残されていないわけか
名無しさん:だから仮面動画が貴重なのよね
名無しさん:動画をファンタジーだと思って見ていたら、さいたまでフェスが行われるなんて
名無しさん:ファンタジーが現実になったのよね
名無しさん:クイズ終了。同時に入場ゲートが騒がしくなった
名無しさん:入場ゲート? なんで?
名無しさん:招待した小学生が入ってくるんじゃない?
名無しさん:おお、昨日のインタビューにあったあれか
名無しさん:前情報なかったから、ガセかと思われていたあれね
名無しさん:守秘義務すげーと思ったけど、事前に漏れたら大変なことになるし、秘匿して正解か
名無しさん:いいなぁ……(マジうらやましい)
名無しさん:特区の外にある小学生にまで目を向けてくれるなんて、なんて慈悲深いのかしら
名無しさん:やっぱりファンタジーなんじゃないかと思えてくる
名無しさん:それな
名無しさん:それな!
名無しさん:願わくば、このファンタジーが永遠に続きますように
名無しさん:第二回、第三回としっかり続きますように
名無しさん:私たちの希望の光が消えませんように
名無しさん:なむなむ(願い事を唱えている)
名無しさん:あっ、お姉さん出てきた
名無しさん:三つ目のステージがはじまるのね
名無しさん:わくわく
名無しさん:わくわく
名無しさん:そして伝説が紡がれていく……
掲示板回はこれでおしまいで、次回から武人くん視点のお話に戻ります。
フェスも終了して夏休みもあとわずか。新学期はもうすぐですね!
さて、お彼岸に入りました。
ここ四年ほど、コロナ禍だったので互いの家を訪問してもすぐ失礼していたのですが、いまは通常に戻った感じです。
久しぶりに聞く話はどれもおもしろく、ついつい長居してしまうわけです。
それでは引き続き、よろしくお願いします。




