メンタルスレイヤ
また遅くなりました・・・今回はメアメインです。どうぞ
街に魔人が侵入し数十分。魔人の数、そしてその力は少なくとも表側で街を警備する防衛軍の想像を越えていた。
魔人は街の郊外辺りを徘徊している。一部は軍と接触し、一部はコードセブンにより排除されているが。雪那達の言う操作している者は見つかっていない。
街に無数に存在する建造物の、その一つ。丁度魔人との戦闘が行われている場所を見れる場所の屋上で、複数人の男達が、その様子を見ていた。
「やってるやってる。意外と楽な仕事だったな」
「ほんとにこれ見てるだけでいいのか?」
「それが条件だからな。・・・しかしこの街はこういう事が多く舞い込んでくるから苦労ないな」
男達の後ろには数体の魔人が控えている。
「な、なあこれ襲ってきたりしないよな?」
集団の一人が若干怯えながらリーダーらしき人物の男に訊く。
「大丈夫だろ。簡単な命令なら出来るらしいぞ?」
「むしろ盾になるって事か」
「そうだな。・・・ふん、もしあの餓鬼がいたらこいつでいたぶってやるのにな」
男は忌々しそうに顔をゆがめて呟いた。
「んー?その餓鬼っていうのは、もしかして私の事かにゃ?」
「!?」
突然、男達だけだったはずの屋上に、一人の少女、メアが男の横に現れていた。
「いつの間に・・・!」
「ん、さっき来たばっか・・・っていうのは冗談で、そっちが屋上に上がってくる前からいたんだけどね」
「な・・・」
平然として言うメアに、男達は戸惑いと焦燥を覚える。
「まさかあの時つるんできた連中が魔人を監視してた「買収された七区の人間」だったなんてね。あの感応装置を仕掛けたのも貴方達だったりするのかなあ?」
メアは余裕と嘲弄の目で男を見る。何人かを除いてその集団のメンバーは一度メアと会った集団だった。
「・・・てめえが何者かは知らねぇが、ここにぬけぬけと現れたのは失敗だったな!やれ!」
男が叫ぶと一体の魔人がメアに襲い掛かる。
「・・・ナイト」
その魔人を、一筋の「影」が両断した。
「!?」
その光景は、男達に恐怖を植え付けるのに、十分すぎるものだっただろう。
ナイトが、メアを背にして立つ。
「・・・でもよかった。貴方達に一回見られかけたもんねぇ」
その後ろでメアは蠱惑的な笑みを浮かべた。
「これで合理的にやれるね」
メアが立ち上がる。それに男達は身構えた。
「あ、そういえば・・・」
立ち上がってすぐ、メアはふと思い出したような仕草をして、天上を指さした。
「今空は何色?」
からかうようにメアはそう問いかけた。間の抜けたというより、最早意図すら分からない問にも思える。
「何を・・・言っている・・・?」
メアに対して警戒心を緩めず、何も言わない男達を見て、つまらなそうな顔をした。
「・・・はあ。こんな事なら能力使う必要も無かったかなぁ・・・ナイト」
そして再びナイトの名を呼ぶ。
硬直状態だった男達は、メアのその声に、反射的に反応をした。
「・・・!あの餓鬼を狙え!男の方に構うな!」
男の命令で我に返った他の男達は咄嗟に能力を行使し、残っていた魔人もメアに襲いかかる。
が。
「・・・ぐ、がああああ!?」
能力を行使した男達が、一斉に頭を抱え、苦しみ始めた。
魔人は地面から這い出た鎖に拘束された。
「な!?」
一人正気のリーダーらしき人物は、その状況を飲み込めないといった様子でいた。
「あ、そういえばその人達に呪術かけてたの忘れてたや」
「呪・・・術・・・?」
男が問う様に言うと、メアは嬉々として答えた。
「ん、貴方達が能力を使った時に精神が「ちょっと」、ね?」
メアは嘲笑を浮かべて倒れている男達を見ている。
「ね、ね。貴方達ってなんで屋上に来たの?」
そして再びそんな問をする。
恐怖の所為か、それとも抵抗が最早無意味という事を察したか。男はもう動こうとしていない。
「・・・」
ただ、その問の意味が分からない男は沈黙したままでいる。
「・・・ちぇ。じゃあ、貴方達はどうしてこの建物から移動していないの?監視対象の狂魔モドキが「いなくなっている」のに、どうして屋上に上ってきたの?」
「・・・!?」
「貴方達が屋上に来た時、夕方なのにさ、空は暗かったでしょ?貴方達はそれに何も感じなかった?」
そこまでメアが言うと、ようやく男は、これまでの違和感と、メアの問の意味を理解し始めたように、眼を見開いた。
「・・・貴方達はさっきまで、「何」を見てたのかなぁ?」
「・・・ま・・・さか」
「ようやく気付いた?よかったよかった、気づかないままでいられるのもなーんか嫌だしね」
そう言って笑いながら、メアは手をかざす。
その手に合わせるように、ナイトが形を変え、鎌をかたどった。
「・・・!や、やめろ・・・!」
それが何を意味するのかは、いくら緊迫した状況の中で、恐怖に襲われている男にも分かった。
「ま、魔人なら停止させる!お前の事も口外しない!だから・・・っ」
「メアはさ」
男の弁明を、メアの冷たく通った声が遮った。
「ナイトがいればいい。紫苑がいればいい。剱がいればいい。
・・・コード・ゼロ(この場所)があれば別にいい。今この時、この場所が、私は好き」
「・・・わ、わかった、もう犯罪組織に加担しない!情報があれば報せても」
「だからさ」
メアが、鎌を水平に掲げる。
「ひっ・・・!?」
「この場所を冒す者は、何であれ排除する。まして何の刺激にもならないモノになんて興味ない」
そこまで言うと、メアは躊躇なく鎌を一閃した。
「つまらない玩具は、壊れてどうぞ」
黒い刃が、男達の首を通るように放たれる。苦痛に喘いでいた他の男たちもろとも倒れていく。ただ男達に外傷は無かった。
「・・・どう?ナイト」
『・・・いまいちだな。まあこの程度の雑兵に期待はしていないが・・・数日分は補充できたか』
鎌のままのナイトにメアは話しかける。
「そっか・・・まあこれで街の邪魔者は一通り片付けたかな?」
『ああ。しかしこんな連中に狂魔モドキを使わせるとはな。いやに雑な計画だな』
鼻で笑うようにナイトは言う。
「ま、それは剱に任せよ。とりあえず一段落」
「あは、なるほどなるほどねぇ」
ふと、メアの背後から少女の声が聞こえて、メアは振り返った。
「私の探知でも分からない精神干渉・・・または領域干渉、か。貴方面白いね、メ・ア・ちゃん?」
そこにいたのは。
「・・・あ、桜花」
改造された巫女装束を身にまとった桜花だった。
「不思議な子だなって思ってたけど。まさかここまでとはね」
「んー・・・そっちはコード・セブンのお仕事?」
「あ、やっぱり分かってるのか。そ、この辺りで魔人を操ってる奴らを見つけてたんだけどー」
桜花は何処か惜し気に苦笑をこぼした。
「先越されてたってわけだ」
「あ、ごめん取っちゃてた?」
「いいよ、私の役目は片付いたわけだし。・・・それじゃ、私は他の所行くね」
「そう?じゃあねー」
「・・・逃がすんだ。ほんと怖いねぇ、「貴方達」は」
表情には出さないが、桜花はまいったように言った。
「まだ私やる事あるからさ。それじゃあこの騒ぎが終わった後くらいにー」
そう言うと、メアは桜花を背にして去っていった。
「・・・てごわそーだなぁ・・・」
その後を見ながら、桜花は一人そう吐き捨てた。
なんだか作業効率が落ちている気がする・・・文体とかいちいち気にしてると三千文字程度でも結構時間かかりますねぇ・・・と、遅くなった言い訳をしている黒雪です。大賞出す前にせめてあと一話は投稿しておきたいと思っています。今週末MHW出ますしね、不味い不味い。まあそれまで小説に打ち込もうと思ってます。
それでは今回も最後までありがとうございました。




