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  作者: 堀 雄之介
47/50

第47話 融合

「お前は消されたはずだぞ。なんでここにいるんだ」


 アキヒデは、もがきつつ叫ぶ。


「ここは平山の夢の世界だ。なんでもありでいいじゃないか」


 相変わらずの鼻につく口調だったが、平山には懐かしく、そして心地よく聞こえた島津の言葉だった。


「それに、消されたんじゃない。姿を変えられただけだよ。僕はずっと、この世界の中にいた。君たちふたりの行動も、ずっと監視していたんだよ」


 島津を再びこの世界に呼び出したのは、平山自身であった。無意識のうちに、島津の姿を思い浮かべ、その姿形を創造していた。現実世界で意識を失う寸前、島津の顔を鏡の中に見つけたときに、そうすべきことは分かっていた。アキヒデに対抗できるのは、彼をおいて他にはいない、と。


「まあいい、ところでお前、いまさら出てきて何をするつもりなんだ? まさか、オレを消そうってんじゃないだろうな。そんなことはさせねえよ。オレはようやく自由になれたばかりなんだ。まだまだ遊び足りねえ」


「消し去るつもりはないさ。僕には君を消すことなんかできない」


「じゃあなんだよこれは。早く放せよ」


 アキヒデの言葉を無視し、島津はさらに締め付ける力を強めた。アキヒデの顔が苦痛に歪む。


「放せ放せ放せ放せ……」


 狂ったようにアキヒデは叫び続ける。


 平山は、島津が羽交い締めにしている腕が、アキヒデの体に吸い込まれてゆく様を見た。腕だけではない、アキヒデの背と、島津の腹も溶け合ってゆく。


「イヤダイヤダイヤダいやだああ」




「怖がることはない。元に戻るだけじゃないか」




 島津がそう呟くと同時に、二人の体は完全に融合した。


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