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Read New World  作者: りのあ
過去の産物 -Past of product-
20/55

十八話 「ノアの記憶」

 そういえば、

 昔から疑問があった。


「そういえば…」


 なぁ…


「なぁ…」


 なぁ…!


「なぁ…!」


 なぁ!


「なぁ!」

「!?な、何だよ!」

「この世界はゲーム、なんだよな?」

「私たちからしたら現実だけどな」


 なら、

 最初から狂っていたのはこの世界じゃないか。


「このゲームを作ったのは誰だ?」

「…」


 カタナの刃を押し付けるように前に押してデリトと距離をとる、

 俺がフラッシュスタンスを解除するのをわかっていたようにデリトも解除する。


「答えろよ、誰なんだ」

「それは…」

「言えッ!!」

「それは、お前が一番よく知っている人物だよ!!」

「何ッ!?」


 俺が一番よく知っている人?

 まさか…いや、

 そうかもしれない…


「Tか…!」

「…ッチ!」


 デリトは何も言わず、

 舌打ちだけして俺に斬りかかってきた。


「Tか!そうなんだな!?」

「うるさい、うるさい!!」

「なんで…どうしてTが!」

「お前の、お前の所為だよ!お前が約束を破ったから…!!」


 約束…?




 ―数年前


 俺は、高校にも受からずずっとゲームやネットで心を満たしてきた。

 このゲームで生きていけると思っていた。

 そして俺がいつも通り俺がゲームをプレイしていた時だった。


「あ、痛ッ!!」

「おいおい、大丈夫か!」

「あ、あぁ。すまない、ありがとう」

「そりゃあ、目の前で転ばれちゃあな。手を貸さないわけにもいかないだろう」


 そういえばこの人、

 今「痛い」って……


「君、名前は?」

「え?えーっと、僕の名前は…」

「あ!いや、いいよ。ステータス画面で見れたから」

「あ、そう…」


 えーっと、なになに…

 "Test"…?


「恰好悪いだろう?」

「いや、英語ってところがカッコいいな!俺なんてノアだよ(笑)」

「ノアか、箱舟を思い出すね。」

「あぁ、だってそこから取ったんだもん。どうだ?カッコいいか…って初対面のプレイヤーに聞くことじゃないよな」

「いや、いいんだ。でも、それじゃあ"物語に沿って君が生きているみたい"じゃないかな…ってね」

「え~、それじゃあどうしろって言うんだよ」

「じゃあ、僕と一緒に世界を作ってくれないかな?」


 うーん、

 まぁ、俺も暇だしいいか。


「あぁ、いいぜ!ヨロシクなTest!」

「あぁ、よろしく」

「でも俺、レベル15だぜ?」

「ハハッ!僕なんてまだレベル10だよ」

「なんだよ~ちょうどいいじゃないか」


 二人は笑った、

 大いに笑った。




 二人が出会ってからしばらくの年月が経ち。


「なぁ、俺たちでギルドを作らないか?」

「あぁ、いいね。僕もやってみたかったんだよ」

「あ、それはそうと。お前って常にログインしてるよな、眠くなったりしないのか?」

「え?あ、あぁ。ノアが寝ているときに僕も落ちているからね」

「それもそうか」


 そして俺たちはギルドを作った。


「メンバーは二人…か」

「でも、なんかワクワクするね」

「あぁ、たしかにそうだな!」


 その後、初めて入団希望リストに乗った名前は"ジャスティン"だった。


「うおー!新メンバーきたぁぁぁあああ!!」

「やったねノア、これでギルドも一層賑やかになるよ。」

「えっと…初心者のジャスティンッス!よ、ヨロシクお願いするっス!」


 今思えば、

 昔のジャンもビートさんみたいなしゃべり方だった。


「そんなにかしこまらなくてもいいよ」

「あぁ、くつろいでくれよ!」

「う、ウッス!」


 そして、

 俺たちは三人で強くなっていった…




「…っていうことだろ、約束ってなんだよ!」

「そこじゃない!お前がTと別れるときだ!!」


 俺がTと別れたとき…




 ◆ ―ラクスラズル― ◆


 俺たちはレベルも上がり、

 とうとうラクスラズルに到着していた。


「う、うーん!!いやぁ~絶景!!」

「あぁ、そうだね…」

「お?どうしたT、なんか元気ないな」

「いや…ちょっとね」

「そうか?」

「あぁ、そんなことより楽しもう。」


 しかし楽しみも長くは続かなかった。




 ゲーム内での早朝、

 まだ太陽のオブジェクトが昇っていないころだ。

 勿論、ジャンは寝落ちしているので俺だけがTestに呼びだされた。


「おいおい、なんだよこんな時間に」

「あぁ、最後に話しをしておきたくてね」

「お、おいおい!最後って何だよ?冗談はやめろよな!」

「冗談じゃないさ、ここでお別れだ。」

「え?」


 どういうことだよ…

 ここでお別れ?

 何言ってんだよTest…


「実は僕はもう生きていないんだ、このゲームを完全にする前に死んでしまってね」

「え?で、でも!お前は実際に俺の前に…」

「これもデータだよ。僕の脳内をそっくりそのまま上書きした人工知能ってやつさ、つまり僕のいままでやってきたのはこのゲームのデバックってことだね」

「そんな…じゃあ、じゃあ!俺たちの旅は?冒険は?どうなるんだよ!!」

「それも、きっと僕とともに君の目の前から消えるだろう。でも、もしも君が覚えていてくれたなら…忘れないでいてくれたなら、約束してくれるなら…」


 忘れない、

 忘れない!!


「僕に名前をくれないか?君の名前『ノア』を」

「あぁ、やるよ…やるから!忘れないって…信じてくれ…」

「そして、君にも僕の名前を託すよ」

「え?」

「さすがに折角貰ったあだ名の"T"は譲れないけど…残りのE・S・Tをあげるよ」

「e、s、t…?」

「そう、それと君の冒険がほかの誰のものでもない。君だけの、君から始まった冒険だということの証として『0(ゼロ)』を」

「0…」

「そうだなぁ…、組み合わせて『seto』ってとこかな。」


 0をO(オー)と読むのか、

 やっぱりTestはちょっと珍しいかな…


「そして、僕の欠片が2つ、精霊としてこの世界に残る。それを見守っていてくれないか?」

「ああ、約束だ…!」

「あぁ、あともう一つ。例外があるんだ、実は僕のなぜか肉体と記憶の両方を持ったデータがあってね。まぁ、消すつもりはないけど一応つたえておくよ。名前は…」




「思い出した…全て!」

「そうだ、その二つの欠片というのはこの世界の精霊ってわけだ。あのころからすでに私とリンクの戦いは始まっていた、カルマはまだ作っていないけど」

『話は聞いたぞ』


 セトの持っている壊世が光りだす。


「何ッ!?」

『よぉ、デリト。よくもまぁ殺してくれたじゃねぇか』


 そこには肉体はなく、

 本当の霊のように透けてはいるがsetoがいた。


「な、なぜだ…?」

『アナライに俺の壊世を預けたときに壊世に精霊石を埋め込んでもらったんだよ。自らの魂をも分割できるお前ら精霊なら、俺の魂を分割することくらいわけなかっただろうからな』

「いい加減、しつけぇんだよッ!今度こそその剣ごとぶっ壊してやるよ!」

「やってみろ!いくぜ俺!」

『あぁ、へまを踏むなよ俺』


 壊世を振るい、

 デリトへと光速で飛び込む!


「『うぉぉぉおおおおおおおおおッ!!』」

「ヴァァァアアアアアア"ア"ア"ア"ア"ッ」

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