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北の国➅

リュート様はウンウンと大きくうなずいていらっしゃる。

時折、両手を眺めては私の方を見てウンウンと何か確認しているようだ。

いつもなら絶対止めて来そうな双子サマたちも、さすがに今回のことに関してはスルーした様子。

まあ、気持ちはわかるけどね。



「リュート、どうだった?私の言ったことは本当だったろう?」


大叔父様の言葉にリュート様は目を輝かせて答えている。


「はい、父上! まさか本当だったとは……疑ってしまい申し訳ございません。」


冗談……を言っている雰囲気ではないよね?

これ、大真面目で言っているよね?

ちょっと笑えない状態になっているんですけど。

逆にこの国の貴族の女性を、この目で見たい気持ちが湧き上がってくるよ。

私の気持ちが手に取るようにわかったのか、お祖母様が私に小さな声で教えてくれた。



『あのねリリーナ、この国の貴族の女性の美しさって何ていうか……ちょっと他の国と違うの。まず求められるのは家族を守れる強さ、それを目指した結果が……えーっとね、ちょっとだけたくましい女性が良しとされるようになっちゃったのよね〜。たぶんパーティーに出たらあなたたちは確実に固まるわよ。舞踏会が武闘会になっちゃうようなところだから。』


それって……ええ、本当にびっくりとしか言いようがない。

でも、それだとお祖母様はかなり異質だったのでは?

気になった私はお祖母様に聞いてみることにした。


「あの、お祖母様。今のお話しが本当だとすれば、お祖母様はこの国の貴族の女性の見た目では……その何て言いますか……」


私が上手く言葉に出来ないでいると、代わりにお祖父様が言葉を引き継いでくれた。


「ああ、そうだ。この国の貴族の女性に求められる体格ではなかったからなリーフィアは。ただ、それをなかった事にするくらいの『力』はあった。この場合の力はもちろん物理的な意味だぞ。この見た目で圧倒的な力、そりゃ『妖精姫』なんて呼ばれることになるさ。」


なるほど。

まだ見ぬ貴族女性から見れば、お祖母様は妖精に見えてしまう程華奢だったのね。

私が納得しているとお祖母様が聞き捨てならないことを言ってきた。


「あら、リリーナ。他人事のように聞いているけど、もしもあなたが大会に出るのなら私と同じようにきっと渾名がつくわよ。他国の貴族の女性が出場するのも珍しいのに、体格がこの国の平均からしたら大きく下だもの。もちろんアンジュやアレンもそうね、サスケは出ないんでしょ?」


お祖母様の言葉に私とアレン君、アンジュさんはバッチリ固まった。

そうか……そうだよね、冷静に考えればわかったことなのに。

それまで私たちのやり取りを見ていた、大叔父様とリュート様も会話に参加してきた。




「おお、リリーナやお友達も大会に参加するのかい?きっと今回の大会は盛り上がるだろうな〜〜。何たって『妖精姫』の孫の参加ですぞ。私たちの世代は今も『龍神』と『妖精姫』の話題が出ることがありますからな。若い世代は知らない者もおりますが、今回はそうした者たちにも良いアピールになりますな。」


いや、いやいやいや、大叔父様待って。

今ならまだ間に合う、参加しない方向でも。

試合はしたい、だけどもれなく付いてくる『渾名』という名の恥ずかしい名前。

無理だよ、私にその手のモノは扱えないよ。

お祖父様、お祖母様クラスじゃなきゃ。

私のココロの声は何故か届かず、リュート様が嬉しそうに話しを拡げている。


「リリーナ様も伯母上のようにお強いのでしょう?……その体で……ぜ、是非戦っているお姿を拝見したいです!得意な武器は何ですか?もし良かったら私の武器コレクションも見てみませんか?」



本来貴族の女性に得意な武器を聞くものなんでしょうか?

いや、私はイイですよ、私はね。


そして、コレクションって普通は美術品とかではないんでしょうか?

うん、女性を誘うのに武器コレクションって初めて聞きました。

たぶんだけどリュート様に下心とかはない、純粋に武器について話しをして、武器コレクションを見せてからそれについて話しがしたいだけのようだ。


何より私がそのお誘いに乗りたくてしょうがない。

だって今までそんな風に言ってくれた人などいないもの……って普通いるわけないよ。

うう〜〜でも私もコレクションが見たい。

これはお祖母様にお伺いを立ててみようかしら?



「お祖母様、私、リュート様のコレクションを拝見させていただきたいんですが、良いですか?」


「ふふ、良いわよ。見に行ってきなさい。リュート、リリーナを案内してくれるかしら?」


お祖母様は快く許してくれた。


「はい、わかりました。さあ、リリーナ様どうぞこちらです。……うん?ああ、すまない、えーっとアレン殿とアンジュ嬢、それにサスケ殿、皆さんももし良かったら見に来ませんか?いろいろありますよ。」


リュート様は笑顔でみんなも誘ってくれた。

対してみんなも見に行くことにしたらしい。

よし!みんなでコレクション見学に行こう!


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