66話 休日
夕食を食べながら、ユリとサナに考えていた事を切り出した。
「王都への出発は3日後になるんだが、準備は既に終わってしまって、明日と明後日の2日間は予定が空いてしまったんだ。そこで、明日一日を休日にしようと思っているんだが、二人はどうだ?」
「「?????????」」
二人とも、目を合わせて頭の上に?をたくさん乗せているようだ。
「ユーキ様、休日とはなんでしょうか?」
なるほど…、休日という単語がないのか…。
「休日とは、お仕事をしなくて自分の好きな事をして良い日の事だよ。」
「ユーキ様、言っている事の意味がわかりません。私達はユーキ様の奴隷ですので、お仕事を休むという事は、奴隷商に売られるという事でしょうか?」
ユリとサナが突然、顔面蒼白になりながら俺の顔を伺っている。
「いやいや、そんな意味じゃない!!絶対にないから!!毎日働くのは大変だから、たまには仕事を休んで、リフレッシュして明後日からまたがんばろうって事だよ。」
「はぁ…?」
奴隷に休日なるものは存在しないらしいので、なかなか理解が追い付かないみたいだ。
う~ん、どういったら理解してもらえるかな。
「ご主人様!ボクは毎日働いている?」
おっと、
「サナは十分働いてくれているぞ!ダンジョンでも大活躍だったしレナの腕も再生したし、料理も上手に作っていたしな。」
そこまで、言って俺は思い出してしまった。
「あっ!!!」
ロックやレナのパーティーに挨拶してくるの忘れた…。
まぁいいか、こちらが恩を受けたわけじゃないし、縁があったらまた再会できるだろう。
ユリとサナも俺と同じ事を思ったのか、苦笑いをしている。
「とりあえず、明日一日休日にするから、二人とも好きな事をしていいよ。奴隷を解放したら好きなことが出来るんだし、練習だと思ってさ。」
ちょっと強引だけど、何回かやってみていけばそのうちわかるんじゃないかな。
「ご主人さま~、何してもいいの?」
「悪い事じゃなかったら、なんでもいいぞ。」
「うん、わかったありがとうご主人さま!」
ユリも考えながら頷いたので、
「とりあえず、明日はこれで好きな事をしなさい。」
と言って、金貨3枚ずつ二人に渡した。
「ユーキ様、これは頂けません。私は既に賃金を貰っていますので、自分のお金もあります。サナはまだ賃金を貰っていませんので、今回はサナだけにお渡しください。」
「いいんだ、今回初めての休日だし、記念に二人に俺が渡したいんだ。」
ユリも渋々承諾すると、お礼を言って自分の鞄に入れていた。
「サナ、例えば自分の好きなものを食べたり、服を買ったり、楽しそうな所へ行ったりしていいんだぞ。」
「うん!ボク屋台にいくんだ!」
既にやりたい事が決まっているサナ。
「ユリも明日まで時間がないけど、何か少しでも気分転換できるような事が見つかるといいな。」
「はい。少し考えてみますね。」
ユリも少し嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「ユーキ様は、明日は何をされるんですか?」
「う~ん。確かに俺の事は考えてなかったな…。」
3人で笑いながら、明日の休日に何をするか考えていた。
今日の夜もユリとサナが寝て、俺は一人でベッドに入った。
少し寂しい…。
悶々とした夜が明けて翌日。
結局、ユリはサナと一緒に屋台やお店を周ってみるとの事だった。
俺は、したい事が見つからなかったので、家でのんびりする事にした。
「それでは、ユーキ様行ってきますね。今日は休日を与えてくれてありがとうございます。」
「ご主人さま!行ってくるね~。」
「あぁ、楽しんで来いよ~!!」
二人を送り出した後、俺は家でのんびりしながら、アイテムボックスの整理をしていた。
時間が経過しないとは言っても、ずっと入っているものとか気持ち悪いからたまには出してあげないとね。
そして、昼過ぎ借家にお客が訪ねてきた。
「すみませ~ん。」
誰だろう?
「は~い。」
「あっ!!!!」
「おお!!やっと見つけたぞ!」
ロック達のパーティーだった。
あの後、俺達がダンジョン踏破した事を冒険者ギルドで聞いたものの、その後の足取りが掴めず、聞き込みをしてスードルに戻った事が判明。
スードルでも聞き込みをした結果、若い美少女2人を侍らせて借家を借りている若い冒険者がいるとの情報を得て、来てみたようだ。
やはり、そんな噂になっているのか…。
とりあえず、家に上がってもらい、ロックとレナを含めた全員から改めてお礼を言われた。
そして、謝礼の話になったので、
「謝礼は、本当にいいよ。俺達がいたのは偶々だし、前日にお世話になっていたしな。見ず知らずな奴だったら謝礼はもらうけど、ロック達のパーティーはいい奴ばかりだしさ。」
本来、腕を再生するような高度治療は、かなりの金額が必要となるので、ロック達も覚悟をしてここまで来たはずだ。
安く見積もっても金貨1000枚はくだらないはずだ。
Dランクパーティーに払える金額じゃないはずだし、俺達がいなくなったんだから、そのままにしていれば良かったものを、態々探してまで謝礼を払おうとしている。
いい奴に決まっているだろう。
「ハイヒールの事は、他言無用にしてさえくれればいいよ。」
念を押して謝礼は断った。
「わかった。ありがとうユーキ。」
改めて、お礼を言われると少し雑談をして帰っていった。
また、鍛えながらダンジョンに潜るようだ。
懲りない奴らだ。
夜になると、二人が帰ってきたんだが、少し様子がおかしい。
どうやら、喧嘩したらしい。
「ユーキ様、お願いがあります。今日一日だけ、宿に泊まってきてもよろしいですか?明日の朝必ず戻ってまいります。」
ユリが真剣な顔でそう言うと、俺は断り切れなかった。
宿まで一緒に付いていき、一部屋取れた事を確認してから家に戻るとサナと話しをする事にした。




