プロローグ
俺の名前は『村野 優希』。
34才 会社員 独身男だ。
どうやら死んだらしい…。
どうやら?
なぜ?
確か、ペットの柴犬『小太郎』と日課の朝の散歩をしていたら、大型トラックが突っ込んできたんだ。
そこまでは確かに覚えている。
今?今はなんか森の中にいる。
ちゃんと小太郎も一緒だ。
思い返せば34年、まぁまぁ楽しい人生だったと思う。
小さい頃から、何でも『ソコソコ』に出来ていた。勉強、スポーツ、友達、仕事…。
所謂、『器用貧乏』とかいうやつだな。
何て言うか、平々凡々というか、普通の生活を送れていたと思う。
進学も就職も冒険せず、リスクを取らないように選択してきた自覚もある。
何でもソコソコ出来るが、トップにはなれないって奴だ。
正直心残りはある。
特に、30才で魔法使いになってしまった事とか、魔法使いとか、魔法使いとか…。
女運は下の下だったなぁ。
というか、親密にすらなってないから運もなにもないか…。
去年は色々諦めて、大好きな柴犬『小太郎(♂)』を飼い始めた。
小太郎はヤバい。
くそ可愛い!
家に帰ると千切れるんじゃないかと思うくらい尻尾を振って出迎えてくれる。
尻尾のモフモフとピンと立った耳をクリクリ触るのが唯一の癒しだ。
もう1つの心残りが昨日から仕込んでおいた特製(市販のルーを複数種類使った)カレーを食べて無いことだ。
趣味も浅く広くだったが、その中でも料理だけは、特に好きだった。
とはいっても、手の込んだものじゃなく所謂男飯ってやつ。
もちろん食べるのも好きだから、こんなことなら貯金なんかせずに高級肉とか色々食べればよかったなー。
「くっそー…。」
まぁいい、それはそれで、現状把握が先だ。
今の状況は、異世界転生って奴かな?
何故わかるかって?
「ステータスオープン」
まさかと思って、試してみたらゲーム画面みたいな奴が、出てきたんだ。
名前 村野 優希(♂)
年齢 17歳
身長 176㎝
体重 68㎏
種族 人族
職業 会社員
称号 異世界からの転生者
Lv 1
HP 15
MP 15
力 15
体力 15
魔力 15
器用さ 15
素早さ 15
ユニークスキル 器用貧乏
レアスキル 調味料 鑑定 アイテムボックス
ノーマルスキル 料理
…。
うん、これ強いのかな?
てか、戦闘系のスキル皆無なんだけど!
普通、異世界転生っていったら、強力なユニークスキルを駆使して、勇者になって魔王倒したり、国を作ったりするんじゃないの?
ユニークスキルが『器用貧乏』で、レアスキルに「調味料」とか、器用な料理人くらいしか考えられないんだけど。
俺らしいと言えばそうだけど、よりによって器用貧乏ってどんな効果だよ。
鑑定とアイテムボックスは、異世界転生の定番スキルだな。
職業も会社員のままだけどね。
あっ、年齢が半分の17才になってる。
だから、体が軽く感じるのか。
ちなみに、
名前 小太郎(♂)
年齢 8か月
種族 柴犬
職業 ペット(村野優希)
称号 異世界からの転生犬
Lv1
HP 7
MP 3
力 17
体力 5
魔力 2
器用 8
速さ 20
固有スキル 早熟
ユニークスキル モフモフ
ノーマルスキル 噛みつき 警戒
俺、小太郎より弱くない?
あと、種族が柴犬なんだ。
とりあえず、散歩中だったから荷物は腕時計(◯shock)以外何も持ってないし、お金もない。
早く食べ物と飲み物、もしくは人がいるところに行かないと、魔物とか出そうだし、夜の野宿は危険な香りがする。
この薄暗い森の中、今が何時なのか、更に言うと朝や夜があるのか等、わからない事だらけのこの世界、リスクをなるべく回避して生き残り、異世界ライフを堪能できるといいな。
始めての作品で、至らぬ所がたくさんあるかと思いますが、読んで頂けると嬉しいです。